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97話 夜空の下で…… その3
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「だっはっはっはー! そいつは災難だったな」
特に、何か深い考えがあった訳ではないのだが、俺は愚痴も兼ねて親父に村長との会話をぽつりぽつりと話して聞かせた。
別に何か意見や良い解決案が欲しかったとか、そういう訳ではない。
ただ、誰かに話を聞いて欲しかっただけだった……
居酒屋でくだを巻くサラリーマンは、こんな気持ちなのかもしれないな、とふと思う。
とはいえ生憎と、前世の俺には飲みに誘えるだけの親しい同僚なんて一人もいなかったので、誰かと連れだって居酒屋になんて行ったことは一度もない。俺はいつだってカウンターで一人酒だったからな。
別に同情して欲しくて話した訳じゃない。慰めて欲しくて話した訳でもない。
だが……
どういう訳か、話を聞き終わった後で親父は大爆笑していた。
「ちょっ……笑うとか酷くね? 結構真剣に悩んでるんだけど俺」
「いや……すまんすまん。
まぁ、なんと言うか……あの人らしいとな、と思ってな」
訳知り顔でそう言う親父に、俺はどういうことだよ? と視線で尋ねた。
親父も、俺の意を酌んでくれたようで、そのまま話を続けてくれた。
「バルトロさん……村長は、昔から自分が気に入った奴を見つけると、とんでもない無理難題を押し付けてくるんだよ。
あの偏屈じーさんに目を付けられた時点で、天災や事故みたいなもんだと諦めるしかないな。
現に、お前以外の村の子は、誰一人としてお前と同じような目には遭っていないだろ?」
「まぁ、ね……」
親父は“俺以外の子どもは”と言ったが、大人を含めて考えても村長の俺に対する態度は他とは違っていた。
少なくとも、俺は俺以外の誰かが、村長に無理難題を吹っ掛けられている姿というのは見たことがない。
村長は……少しだけシルヴィには厳しいような気もするが、それを除けば誰に対しても至って普通の対応をするのだ。子どもには子どもの、大人には大人の。
その中にあって、俺への態度だけが異色だった。
それにしても、まさか村長のアレが、災害レベルで認識されているとは……なんとも傍迷惑な話だ。
地震、雷、火事、オヤジ、ってか?
親父がそう言うってことは、おそらく村では広く知られている事実なのだろう。
「ここしばらくは被害者も出ていなくて、静かなものだったんだがな……」
被害者って……
親父はそう言うと、冗談めかしてニカッと笑った。
「なんで自分が村長に目を付けられたのかは……お前自身が一番分かってるんじゃないのかロディフィス?」
「うっ……まぁ、そりゃ……ねぇ……」
今まで自分が致して来たあれやこれやを考えれば、心当たりがない、というにはあまりにも無理があった。とはいえ、だ。
村長の、いろいろ出来るんだからなんとかしろ、という論法にはやはり納得出来ない部分だってあった。
勿論、自分が行って来た行為の結果、周りから何かを求められるだろうことは端から念頭にはあったことだ。
洗濯機のときや、水路のときなんかはいい例だろう。
だが、それだって周囲の生活環境が向上することで、巡り巡って自分の為になるという考えがあったからこそ、それもまたよしと受け入れて来たのだ。
情けは人の為ならず、という言葉もあるしな。
しかし……
それが、村という範疇を超えて、難民の救済にまで波及するというのなら、それは流石に俺には荷が重過ぎだった。
すべてを知らぬ存ぜぬで切り捨てられる、若しくは、世界のすべてを救済しようという熱血漢か……
どちら一方に偏っていれば、何の迷いも悩みもなかったのかもしれないが、残念ながら俺はそのどちらとも縁遠い人間だった……
「それにしても、村長がそこまで絡んでくるなんてな……お前、相当気に入られたようだなロディフィス?」
「こっちにしたら、ただいい迷惑なだけだよ……まったく……
てか、“ここしばらくは”って、それって以前にも俺みたいな目に遭った人がいるってこと?」
そう思うと、前回の被害者には同情の念を禁じ得ないものがあった。
そして……ふと、気になったのが、前回の被害者が誰だったのか、ということだった。
俺、その人とならうまい酒が飲めるような気がする……
とはいっても、まだ飲酒が認められている年齢に達していないので、それは少し先の話になりそうだがな。
ちなみに飲酒についてだが、この国には法による飲酒の制限……要は“何歳から酒を飲んでいいのか”、という厳密な決まりはない。
が、慣習では大体一五、六とされているのが一般的だ。勿論、それより若い年齢から酒を飲むケースだってある。
“お酒は二十歳になってから”というのは、あくまで日本の法律上の話だ。
国が変われば法だって変わる。それが異世界なら尚更だ。
……まぁ、それはさて置き。
「ん? ああ……パウロさんのことだよ。
今からもう十何年も前の話しだけどな……」
「棟梁が?」
意外な人物の名前に、少し驚いた。
「あの頃は俺もまだガキだったんだが……
そんなガキの俺の目から見ても、村長のパウロさんへの態度は相当キツかったからな。
今のお前の比じゃないくらいにな。
それが原因……か、どうかは知らないが、ある日突然パウロさんが村からいなくなって大騒ぎになった、なんてことがあったな……
今となったら、懐かしいだけの昔話でしかないけどな」
なにその話? 俺知らないんですけど?
棟梁は、普通に村を出た訳ではなくて、家出みたいな感じで村を出たといことなのだろうか?
なんだか、棟梁が村を出た経緯について頗る興味が湧いて来たが、ここで根掘り葉掘り話を聞くのも野暮なような気がした。
今度、直接本人にそれとなく聞いてみよう。話してくれるかどうかは別問題だけど。
それに、話の本題はそこではないしな。
「でも、なんで村長、わざわざそんなことしるてのさ?
他人いじめて楽しんでるとか?」
自分で言っておいてなんだが、あのSっ気のあるへそ曲がりジジィなら、それもあり得ると妙に納得してしまう。
「さぁな? あの人は何を考えてるのか分からんところがあるからな……
分かりはしないが、あの人はあの人なりの考えがあってのこと……だとは思う。それが何かなんて俺には分からん。
どうしても気になるってんなら、直接本人に聞くしかないが、あの偏屈ジジィが素直に答えてくれるかどうか……」
親父が、やれやれといった様子で肩を竦めてみせた。
確かに、何を聞いたところでのらりくらりとはぐらかされそうな気はする。
「まぁ、なんにしても、だ。
村長に何か考えがあろうとなかろうと、村長の言うことに素直に従うかどうかはお前次第だと、俺は思うがね」
そう言うと、親父は俺を真似るように隣でゴロリと横になった。
「まさか村長だって、お前みたいな子どもひとりに全てを任せよう、なんて本気で思ってはいないだろうしな……
取り敢えずやらせてみて、うまくいけば目付け物ってくらいにしか考えてないんじゃないか?」
「そうかねぇ……」
話していたときの村長の目は、割とマジだったような気もするが……
「そもそも、一番肝心なのはお前自身がどうしたいのか、てことじゃないのか?」
それは、村長にも聞かれたことだった。
結局、俺がはっきりと答えなかった問でもある。
あちらを立てればこちらが立たず……
俺自身がどうしたらいいのか、それが分からないが故に、こうして一人、悶々と思い悩んでいるのだ。
「お前はいろいろ難しく考え過ぎなんだよ。
もっと簡単に考えたらどうだ?」
「そうは言うけど……簡単に、言われてもねぇ……」
「そうだな……この際、助けるだとか、助けないだとか……そんな難しいことは今は一度忘ちまえ。
それ上で、お前自身がこれから何をして、どういう風に生きて行きたいかって考えてみたらどうだ?
……ロディフィス、お前は夢ってあるのか?」
「夢?」
「そう、将来こうありたいという願いだ。
なんだっていい……例えば、大きな町で暮らしたいとか、王都に行ってみたいとかな。
俺がお前くらいのときは、冒険者になって国中を冒険したい、ってのが夢だったな。
悪さをする魔獣を薙ぎ倒す、そんな物語に出て来る勇者みたいな冒険者に憧れたもんさ」
「ぷっ、勇者って……また、なんとも頭の悪そうな子どもの考えそうなことで……」
そもそも冒険者ってのが、親父の柄じゃないだろ。
腕っぷしも剣術もからっきしの癖して、何を言ってんだと思ってしまう。
俺がクスクス笑っていると、隣で転がっている親父からぬっと手が伸びて、頭をがしっと掴まれた。
そして……
「あだっ! あだだだだっ! 痛い、痛いっ! 割れるからっ! 頭割れるからっマジで! ギブッ、ギブッ!」
万力のように、ジリジリと圧が掛けられたのだった。
「悪かったな、頭の悪いガキで」
それだけ言うと、親父はアイアンクローの呪縛から、俺を解放してくれた。
ジンジン痛む蟀谷を、俺はもみもみと揉み解す。
「まぁ、剣術の腕は昔から絶望的だったからな……
親父に今の話をしたら“お前が冒険者なんぞになったら、三日で死んじまうのがオチだから止めとけ”って言われたよ。
と言っても、そんなことを考えていたのはほんの僅かな間だけだったけどな……
時間が経つに連れて自分の力量ってのも分かって来て、次第にそんなことは考えなくなっていった。
聖王教学校を卒業する頃には、すっかり親父の畑を受け継ぐんだって漠然とそう考えていたよ。
俺の場合、兄弟がいないから村の外に出るって選択肢は、もともとなかったんだけどな。
そういうものが、お前にはないのか?」
夢……ねぇ……
少し考えてみるが、特にこれといったものはなにも思いつかなかった。
俺は劇的な人生なんぞ、これっぽっちも望んではいないのだ。
平和が一番。何事もなく平々凡々と暮らしていきたい。それだけだ。
そういう意味では、現状はまったくもって俺の意に反する状態な訳なんだが……
「特に何もないかなぁ……
町に出るって言っても、俺、人が多い所嫌いだし、わざわざ苦労してまで旅なんてしたいと思わないし……ってか、俺この村から外に出る気ないし。
強いて挙げるなら……一日中、家でゴロゴロして過ごすのが夢って言えば夢かな?
日向でお茶なんか啜りながら、のんびり暮らす……
働かず、飯はお腹いっぱい食べて、家でゴロゴロ……ビバッ! ニート生活っ!」
前世、ニートや引き籠りの話題がニュースなどで取り沙汰される度に、冗談抜きで羨ましいと思っていたものだ。
別に、FXや株の利回りだけで生活っていうのでも構わない。
とにかく、自分が血反吐を吐く思いで働いているというのに、これといった苦労も何もせずに生活している人がいるという事実に、怒りを通り越して憧れすら感じていたのだ。
出来ることならば、自分もそんな生活を送りたいと……
一度でいいから“働いたら負けかな?”って、リアルで言ってみたかったなぁ。
まぁ、会社を辞めてしまえば、万事解決する話なのかもしれないが、“辞めます”その一言が言えなかったばかりに、俺は結局、文字通り死ぬまで働くことになった。
そう考えると、今の状況というのは前世とは少しだけ似ているような気がした。
「ぶぅははははは!! 何を言い出すのかと思えば、働きたくないってお前……労働は人としての責務だって教会で教えられなかったのか? だから、ちゃんと働きなさい」
俺の答えを聞いて、親父が盛大に噴き出してから、そう諭して来た。
まぁ、二割くらいは冗談なんだけどな……裏を返せば、八割は本気ということだけど。
親父の言うように、聖教学の授業でそういう話は何度となく聞かされている。
“働かざる者、食うべからず”は異世界でも共通認識なのだ。
確か、似たような慣用句もあったような気がするが……どんなだったかは忘れた。
その後“にーと、ってなんだ?”と聞かれたが、取り敢えず働く意欲のない人間の総称、とだけ答えておいた。
「それに子どものくせして、なにを枯れたことを言ってんだか……死にかけのジジイかお前は。
親父だって、もう少し活気のあることを言うぞ?」
親父が、やれやれと言わんばかりの顔で俺のことを見ていた。
うるせぇ、ほっとけ。
「でもなんでまた急にそんな話を?」
「森の中を歩くとき、足元ばかり見て歩いていたんじゃ、簡単に道に迷っちまう。
気がつけば同じ所をグルグル回っている、なんてことだってあるんだ……今のお前みたいにな。
だから、時には足を止めて、遠くを見るんだよ。
自分が本当はどこに行きたいのか、どこへ向かいたいのかを確かめるためにな……
知っているか?
こうやって何気なく見てる星空だって、旅人にとっては歴とした道しるべになっているんだぞ?」
「ああ、知ってる。北の明星でしょ?」
所謂、北極星のことを、この国では“北の明星”と呼んでいるのだ。
明星というように、この世界の北極星はとても明るかった。なので、すごく簡単に見つけることが出来る。
前世では、北斗七星やカシオペア、オリオンなんて簡単な星座でさえ探すのに一苦労していた俺が、呆気ないほど簡単に見つけ出すことが出来るのだ。
前世の世界の北極星は二等星らしいが、この世界の北極星は一等星ほどの明るさを放っていた。
天の北極で堂々と輝いているその様は、まさに圧巻だ。
急に静かになった親父のことが気になって、ふと視線を向けると、なんだかすごくションボリしていた。
もしかして、講釈でもしたかったのだろうか?
「まぁ、なんだ……
大体、働かずに食っていきたいって……どうするつもりなんだよお前は?
そりゃ、楽が出来るなら誰だってそうしたいと思うだろうが……
怠け者じゃ、誰も助けてはくれんぞ?」
「そこは、まぁ、いろいろとね……財テクを駆使して、あれやこれやで」
俺がそう答えと、親父が“また訳の分からんことを”とぶつくさ言いながら、俺の顔を見てはため息を吐いていた。
とはいえ、株も不動産も、外国為替もないこの世界で、さてどうやって財テクをするのかという話ではあるが……
俺の人生目標をぶっちゃけていってしまえば“楽して暮らしていきたい”というこの一言に尽きる。
もっとぶちゃけると、それは金さえあれば叶う望みでもある。
しかし、その肝心の金儲けが難しいのだ。
今では、それなりの売り上げを出してはいるがそれでも一生遊んで暮らせるほどかというと、それには到底及ばない。
利益のすべてを独り占めして持ち逃げすれば可能かもしれないが、そんなことをすれば一大捜査網が引かれ、見つかり次第労働者の方々から吊し上げを食らってしまう。
あくまでクリーンな体制で、純利益を増やす……となれば、事業をもっと拡大する意外に手はない。
が、勿論それだけではなく、新商品の開発やら労働者の福利厚生やら……考えなくてはいけないこともまた増える。
確かに、収入は増えるかもしれないが、それは俺が望む“楽して儲ける”とは少し違う。
理想は、リバーシなどの権利販売による使用料の徴収とかなのだろうが、知的財産権などという概念そのものがないこの世界で、それはかなり難しい。
人材派遣業による中間マージンによる収入というのも、楽して儲ける一つの方法ではあるが、そもそも人手を必要としている所がないので成り立たない。
この国の、というかスレーベン領の一番の問題は、特にこれといった主要な産業がないことなのだ。
大量に人手を必要とする所がない。だから、人手の消化先がなく、飽和状態に陥ってしまう。
人手を必要とするところといえば、農業--この場での農業とは、畜産や林業なども含めた広義での意味だ--くらいなものだったが、農地の広さがそのまま税金に直結することもあり、広げるに広げられないのが現状だ。
また、酪農の場合も、小さな村では大量に家畜を飼うだけの飼料を用意出来ないので、そこから利益を出すのは正直難しい。
そんな状態では、当然村で養えなくなった人間は村を出ることになり、そういった人たちは職を求めて大きな町へと流れ込むことになる。
結果、待っているのは町に難民が押し寄せるという現実だ。
シルヴィたちが以前住んでいた町が、丁度そんな感じだったと話に聞いた覚えがある。
仮に、軍艦島のように炭鉱か鉱山が一つでもあれば、大量の雇用が生まれ、その大量の労働者を目当てにした商業が発達し、商業が充実することで、更に人が集まり様々な雇用が生まれる……といった好循環も期待できるのだが、生憎とスレーベン領にそんな都合のいい場所があるという話は聞いたことがない。
ちなみに、その成功例はアメリカのカリフォルニアだ。
あそこは、元は非常に小さな開拓地だったのだが、西部開拓時代のゴールドラッシュにより短期化で州にまで発展したのだ。
リオット村の問題も、突き詰めればこの問題の延長にあるといえた。
たとえ凶作だとしても、別の方法でお金を稼ぐことが出来れば、善後策を講じることも出来る。
月並みだが、単純な方法として出稼ぎに出る、とかだな。
そういう意味では、リオット村の人たちに食料を提供したところで、根本的な解決にはならないのだ。
スレーベン領全体がこんな有様では、第二第三のリオット村のような人たちがいつ来てもおかしくはない。
とはいえ、抜本的な解決を望むなら、それは即ちスレーベン領の社会システムを根底から作り直すことになり……それは尚のこと、俺が個人でどうこうできる問題では……
「…………」
今、ふと何かか引っかかった……ような気がした。
産業……雇用……商業……循環…………そして……権利。
「……おいどうした?
急に黙ったと思ったら、今度は急に立ち上がったりして……」
親父の声が下から聞こえて来たので視線を向ければ、俺は寝転がる親父を見下ろしていることに気が付いた。
どうやら、気づかぬうちに立っていたらしい。
「いや……なんでもな……」
座り直そうとして、思い止まる。
今、ここで座ってしまったら、この引っかかりは綺麗さっぱり消えてしまうような気がした。
……なんだか、無性に歩きたくなった。
「ちょっと、散歩に行ってくる……」
「あっ! おいっ! ロディフィスっ!」
後ろで親父が何か言っていたような気もするが、俺は構わず歩き出していた。
“足は第二の脳”と言われているほど、思考と歩くことには深い関係があるらしい。
それと何か関係があるのかは分からないが、こうやって歩くことで、この何とも形容詞しがたモヤモヤが、一つの形になるような気がしたのだ……
誰もが寝静まる夜。
俺はただ黙々と、村の中を目的もなくグルグルと歩き回るのだった。
余談だが……
このとき、後ろには親父が付いて来ていたのだと、あとで知った。
いくら何にもない村とはいえ、夜中に子どもを一人出歩かせる訳にもいかないってことで、親父が付き添っていたらしい……
ごめんよ……歩いているときは、全然気が付かなったよとーちゃん。
特に、何か深い考えがあった訳ではないのだが、俺は愚痴も兼ねて親父に村長との会話をぽつりぽつりと話して聞かせた。
別に何か意見や良い解決案が欲しかったとか、そういう訳ではない。
ただ、誰かに話を聞いて欲しかっただけだった……
居酒屋でくだを巻くサラリーマンは、こんな気持ちなのかもしれないな、とふと思う。
とはいえ生憎と、前世の俺には飲みに誘えるだけの親しい同僚なんて一人もいなかったので、誰かと連れだって居酒屋になんて行ったことは一度もない。俺はいつだってカウンターで一人酒だったからな。
別に同情して欲しくて話した訳じゃない。慰めて欲しくて話した訳でもない。
だが……
どういう訳か、話を聞き終わった後で親父は大爆笑していた。
「ちょっ……笑うとか酷くね? 結構真剣に悩んでるんだけど俺」
「いや……すまんすまん。
まぁ、なんと言うか……あの人らしいとな、と思ってな」
訳知り顔でそう言う親父に、俺はどういうことだよ? と視線で尋ねた。
親父も、俺の意を酌んでくれたようで、そのまま話を続けてくれた。
「バルトロさん……村長は、昔から自分が気に入った奴を見つけると、とんでもない無理難題を押し付けてくるんだよ。
あの偏屈じーさんに目を付けられた時点で、天災や事故みたいなもんだと諦めるしかないな。
現に、お前以外の村の子は、誰一人としてお前と同じような目には遭っていないだろ?」
「まぁ、ね……」
親父は“俺以外の子どもは”と言ったが、大人を含めて考えても村長の俺に対する態度は他とは違っていた。
少なくとも、俺は俺以外の誰かが、村長に無理難題を吹っ掛けられている姿というのは見たことがない。
村長は……少しだけシルヴィには厳しいような気もするが、それを除けば誰に対しても至って普通の対応をするのだ。子どもには子どもの、大人には大人の。
その中にあって、俺への態度だけが異色だった。
それにしても、まさか村長のアレが、災害レベルで認識されているとは……なんとも傍迷惑な話だ。
地震、雷、火事、オヤジ、ってか?
親父がそう言うってことは、おそらく村では広く知られている事実なのだろう。
「ここしばらくは被害者も出ていなくて、静かなものだったんだがな……」
被害者って……
親父はそう言うと、冗談めかしてニカッと笑った。
「なんで自分が村長に目を付けられたのかは……お前自身が一番分かってるんじゃないのかロディフィス?」
「うっ……まぁ、そりゃ……ねぇ……」
今まで自分が致して来たあれやこれやを考えれば、心当たりがない、というにはあまりにも無理があった。とはいえ、だ。
村長の、いろいろ出来るんだからなんとかしろ、という論法にはやはり納得出来ない部分だってあった。
勿論、自分が行って来た行為の結果、周りから何かを求められるだろうことは端から念頭にはあったことだ。
洗濯機のときや、水路のときなんかはいい例だろう。
だが、それだって周囲の生活環境が向上することで、巡り巡って自分の為になるという考えがあったからこそ、それもまたよしと受け入れて来たのだ。
情けは人の為ならず、という言葉もあるしな。
しかし……
それが、村という範疇を超えて、難民の救済にまで波及するというのなら、それは流石に俺には荷が重過ぎだった。
すべてを知らぬ存ぜぬで切り捨てられる、若しくは、世界のすべてを救済しようという熱血漢か……
どちら一方に偏っていれば、何の迷いも悩みもなかったのかもしれないが、残念ながら俺はそのどちらとも縁遠い人間だった……
「それにしても、村長がそこまで絡んでくるなんてな……お前、相当気に入られたようだなロディフィス?」
「こっちにしたら、ただいい迷惑なだけだよ……まったく……
てか、“ここしばらくは”って、それって以前にも俺みたいな目に遭った人がいるってこと?」
そう思うと、前回の被害者には同情の念を禁じ得ないものがあった。
そして……ふと、気になったのが、前回の被害者が誰だったのか、ということだった。
俺、その人とならうまい酒が飲めるような気がする……
とはいっても、まだ飲酒が認められている年齢に達していないので、それは少し先の話になりそうだがな。
ちなみに飲酒についてだが、この国には法による飲酒の制限……要は“何歳から酒を飲んでいいのか”、という厳密な決まりはない。
が、慣習では大体一五、六とされているのが一般的だ。勿論、それより若い年齢から酒を飲むケースだってある。
“お酒は二十歳になってから”というのは、あくまで日本の法律上の話だ。
国が変われば法だって変わる。それが異世界なら尚更だ。
……まぁ、それはさて置き。
「ん? ああ……パウロさんのことだよ。
今からもう十何年も前の話しだけどな……」
「棟梁が?」
意外な人物の名前に、少し驚いた。
「あの頃は俺もまだガキだったんだが……
そんなガキの俺の目から見ても、村長のパウロさんへの態度は相当キツかったからな。
今のお前の比じゃないくらいにな。
それが原因……か、どうかは知らないが、ある日突然パウロさんが村からいなくなって大騒ぎになった、なんてことがあったな……
今となったら、懐かしいだけの昔話でしかないけどな」
なにその話? 俺知らないんですけど?
棟梁は、普通に村を出た訳ではなくて、家出みたいな感じで村を出たといことなのだろうか?
なんだか、棟梁が村を出た経緯について頗る興味が湧いて来たが、ここで根掘り葉掘り話を聞くのも野暮なような気がした。
今度、直接本人にそれとなく聞いてみよう。話してくれるかどうかは別問題だけど。
それに、話の本題はそこではないしな。
「でも、なんで村長、わざわざそんなことしるてのさ?
他人いじめて楽しんでるとか?」
自分で言っておいてなんだが、あのSっ気のあるへそ曲がりジジィなら、それもあり得ると妙に納得してしまう。
「さぁな? あの人は何を考えてるのか分からんところがあるからな……
分かりはしないが、あの人はあの人なりの考えがあってのこと……だとは思う。それが何かなんて俺には分からん。
どうしても気になるってんなら、直接本人に聞くしかないが、あの偏屈ジジィが素直に答えてくれるかどうか……」
親父が、やれやれといった様子で肩を竦めてみせた。
確かに、何を聞いたところでのらりくらりとはぐらかされそうな気はする。
「まぁ、なんにしても、だ。
村長に何か考えがあろうとなかろうと、村長の言うことに素直に従うかどうかはお前次第だと、俺は思うがね」
そう言うと、親父は俺を真似るように隣でゴロリと横になった。
「まさか村長だって、お前みたいな子どもひとりに全てを任せよう、なんて本気で思ってはいないだろうしな……
取り敢えずやらせてみて、うまくいけば目付け物ってくらいにしか考えてないんじゃないか?」
「そうかねぇ……」
話していたときの村長の目は、割とマジだったような気もするが……
「そもそも、一番肝心なのはお前自身がどうしたいのか、てことじゃないのか?」
それは、村長にも聞かれたことだった。
結局、俺がはっきりと答えなかった問でもある。
あちらを立てればこちらが立たず……
俺自身がどうしたらいいのか、それが分からないが故に、こうして一人、悶々と思い悩んでいるのだ。
「お前はいろいろ難しく考え過ぎなんだよ。
もっと簡単に考えたらどうだ?」
「そうは言うけど……簡単に、言われてもねぇ……」
「そうだな……この際、助けるだとか、助けないだとか……そんな難しいことは今は一度忘ちまえ。
それ上で、お前自身がこれから何をして、どういう風に生きて行きたいかって考えてみたらどうだ?
……ロディフィス、お前は夢ってあるのか?」
「夢?」
「そう、将来こうありたいという願いだ。
なんだっていい……例えば、大きな町で暮らしたいとか、王都に行ってみたいとかな。
俺がお前くらいのときは、冒険者になって国中を冒険したい、ってのが夢だったな。
悪さをする魔獣を薙ぎ倒す、そんな物語に出て来る勇者みたいな冒険者に憧れたもんさ」
「ぷっ、勇者って……また、なんとも頭の悪そうな子どもの考えそうなことで……」
そもそも冒険者ってのが、親父の柄じゃないだろ。
腕っぷしも剣術もからっきしの癖して、何を言ってんだと思ってしまう。
俺がクスクス笑っていると、隣で転がっている親父からぬっと手が伸びて、頭をがしっと掴まれた。
そして……
「あだっ! あだだだだっ! 痛い、痛いっ! 割れるからっ! 頭割れるからっマジで! ギブッ、ギブッ!」
万力のように、ジリジリと圧が掛けられたのだった。
「悪かったな、頭の悪いガキで」
それだけ言うと、親父はアイアンクローの呪縛から、俺を解放してくれた。
ジンジン痛む蟀谷を、俺はもみもみと揉み解す。
「まぁ、剣術の腕は昔から絶望的だったからな……
親父に今の話をしたら“お前が冒険者なんぞになったら、三日で死んじまうのがオチだから止めとけ”って言われたよ。
と言っても、そんなことを考えていたのはほんの僅かな間だけだったけどな……
時間が経つに連れて自分の力量ってのも分かって来て、次第にそんなことは考えなくなっていった。
聖王教学校を卒業する頃には、すっかり親父の畑を受け継ぐんだって漠然とそう考えていたよ。
俺の場合、兄弟がいないから村の外に出るって選択肢は、もともとなかったんだけどな。
そういうものが、お前にはないのか?」
夢……ねぇ……
少し考えてみるが、特にこれといったものはなにも思いつかなかった。
俺は劇的な人生なんぞ、これっぽっちも望んではいないのだ。
平和が一番。何事もなく平々凡々と暮らしていきたい。それだけだ。
そういう意味では、現状はまったくもって俺の意に反する状態な訳なんだが……
「特に何もないかなぁ……
町に出るって言っても、俺、人が多い所嫌いだし、わざわざ苦労してまで旅なんてしたいと思わないし……ってか、俺この村から外に出る気ないし。
強いて挙げるなら……一日中、家でゴロゴロして過ごすのが夢って言えば夢かな?
日向でお茶なんか啜りながら、のんびり暮らす……
働かず、飯はお腹いっぱい食べて、家でゴロゴロ……ビバッ! ニート生活っ!」
前世、ニートや引き籠りの話題がニュースなどで取り沙汰される度に、冗談抜きで羨ましいと思っていたものだ。
別に、FXや株の利回りだけで生活っていうのでも構わない。
とにかく、自分が血反吐を吐く思いで働いているというのに、これといった苦労も何もせずに生活している人がいるという事実に、怒りを通り越して憧れすら感じていたのだ。
出来ることならば、自分もそんな生活を送りたいと……
一度でいいから“働いたら負けかな?”って、リアルで言ってみたかったなぁ。
まぁ、会社を辞めてしまえば、万事解決する話なのかもしれないが、“辞めます”その一言が言えなかったばかりに、俺は結局、文字通り死ぬまで働くことになった。
そう考えると、今の状況というのは前世とは少しだけ似ているような気がした。
「ぶぅははははは!! 何を言い出すのかと思えば、働きたくないってお前……労働は人としての責務だって教会で教えられなかったのか? だから、ちゃんと働きなさい」
俺の答えを聞いて、親父が盛大に噴き出してから、そう諭して来た。
まぁ、二割くらいは冗談なんだけどな……裏を返せば、八割は本気ということだけど。
親父の言うように、聖教学の授業でそういう話は何度となく聞かされている。
“働かざる者、食うべからず”は異世界でも共通認識なのだ。
確か、似たような慣用句もあったような気がするが……どんなだったかは忘れた。
その後“にーと、ってなんだ?”と聞かれたが、取り敢えず働く意欲のない人間の総称、とだけ答えておいた。
「それに子どものくせして、なにを枯れたことを言ってんだか……死にかけのジジイかお前は。
親父だって、もう少し活気のあることを言うぞ?」
親父が、やれやれと言わんばかりの顔で俺のことを見ていた。
うるせぇ、ほっとけ。
「でもなんでまた急にそんな話を?」
「森の中を歩くとき、足元ばかり見て歩いていたんじゃ、簡単に道に迷っちまう。
気がつけば同じ所をグルグル回っている、なんてことだってあるんだ……今のお前みたいにな。
だから、時には足を止めて、遠くを見るんだよ。
自分が本当はどこに行きたいのか、どこへ向かいたいのかを確かめるためにな……
知っているか?
こうやって何気なく見てる星空だって、旅人にとっては歴とした道しるべになっているんだぞ?」
「ああ、知ってる。北の明星でしょ?」
所謂、北極星のことを、この国では“北の明星”と呼んでいるのだ。
明星というように、この世界の北極星はとても明るかった。なので、すごく簡単に見つけることが出来る。
前世では、北斗七星やカシオペア、オリオンなんて簡単な星座でさえ探すのに一苦労していた俺が、呆気ないほど簡単に見つけ出すことが出来るのだ。
前世の世界の北極星は二等星らしいが、この世界の北極星は一等星ほどの明るさを放っていた。
天の北極で堂々と輝いているその様は、まさに圧巻だ。
急に静かになった親父のことが気になって、ふと視線を向けると、なんだかすごくションボリしていた。
もしかして、講釈でもしたかったのだろうか?
「まぁ、なんだ……
大体、働かずに食っていきたいって……どうするつもりなんだよお前は?
そりゃ、楽が出来るなら誰だってそうしたいと思うだろうが……
怠け者じゃ、誰も助けてはくれんぞ?」
「そこは、まぁ、いろいろとね……財テクを駆使して、あれやこれやで」
俺がそう答えと、親父が“また訳の分からんことを”とぶつくさ言いながら、俺の顔を見てはため息を吐いていた。
とはいえ、株も不動産も、外国為替もないこの世界で、さてどうやって財テクをするのかという話ではあるが……
俺の人生目標をぶっちゃけていってしまえば“楽して暮らしていきたい”というこの一言に尽きる。
もっとぶちゃけると、それは金さえあれば叶う望みでもある。
しかし、その肝心の金儲けが難しいのだ。
今では、それなりの売り上げを出してはいるがそれでも一生遊んで暮らせるほどかというと、それには到底及ばない。
利益のすべてを独り占めして持ち逃げすれば可能かもしれないが、そんなことをすれば一大捜査網が引かれ、見つかり次第労働者の方々から吊し上げを食らってしまう。
あくまでクリーンな体制で、純利益を増やす……となれば、事業をもっと拡大する意外に手はない。
が、勿論それだけではなく、新商品の開発やら労働者の福利厚生やら……考えなくてはいけないこともまた増える。
確かに、収入は増えるかもしれないが、それは俺が望む“楽して儲ける”とは少し違う。
理想は、リバーシなどの権利販売による使用料の徴収とかなのだろうが、知的財産権などという概念そのものがないこの世界で、それはかなり難しい。
人材派遣業による中間マージンによる収入というのも、楽して儲ける一つの方法ではあるが、そもそも人手を必要としている所がないので成り立たない。
この国の、というかスレーベン領の一番の問題は、特にこれといった主要な産業がないことなのだ。
大量に人手を必要とする所がない。だから、人手の消化先がなく、飽和状態に陥ってしまう。
人手を必要とするところといえば、農業--この場での農業とは、畜産や林業なども含めた広義での意味だ--くらいなものだったが、農地の広さがそのまま税金に直結することもあり、広げるに広げられないのが現状だ。
また、酪農の場合も、小さな村では大量に家畜を飼うだけの飼料を用意出来ないので、そこから利益を出すのは正直難しい。
そんな状態では、当然村で養えなくなった人間は村を出ることになり、そういった人たちは職を求めて大きな町へと流れ込むことになる。
結果、待っているのは町に難民が押し寄せるという現実だ。
シルヴィたちが以前住んでいた町が、丁度そんな感じだったと話に聞いた覚えがある。
仮に、軍艦島のように炭鉱か鉱山が一つでもあれば、大量の雇用が生まれ、その大量の労働者を目当てにした商業が発達し、商業が充実することで、更に人が集まり様々な雇用が生まれる……といった好循環も期待できるのだが、生憎とスレーベン領にそんな都合のいい場所があるという話は聞いたことがない。
ちなみに、その成功例はアメリカのカリフォルニアだ。
あそこは、元は非常に小さな開拓地だったのだが、西部開拓時代のゴールドラッシュにより短期化で州にまで発展したのだ。
リオット村の問題も、突き詰めればこの問題の延長にあるといえた。
たとえ凶作だとしても、別の方法でお金を稼ぐことが出来れば、善後策を講じることも出来る。
月並みだが、単純な方法として出稼ぎに出る、とかだな。
そういう意味では、リオット村の人たちに食料を提供したところで、根本的な解決にはならないのだ。
スレーベン領全体がこんな有様では、第二第三のリオット村のような人たちがいつ来てもおかしくはない。
とはいえ、抜本的な解決を望むなら、それは即ちスレーベン領の社会システムを根底から作り直すことになり……それは尚のこと、俺が個人でどうこうできる問題では……
「…………」
今、ふと何かか引っかかった……ような気がした。
産業……雇用……商業……循環…………そして……権利。
「……おいどうした?
急に黙ったと思ったら、今度は急に立ち上がったりして……」
親父の声が下から聞こえて来たので視線を向ければ、俺は寝転がる親父を見下ろしていることに気が付いた。
どうやら、気づかぬうちに立っていたらしい。
「いや……なんでもな……」
座り直そうとして、思い止まる。
今、ここで座ってしまったら、この引っかかりは綺麗さっぱり消えてしまうような気がした。
……なんだか、無性に歩きたくなった。
「ちょっと、散歩に行ってくる……」
「あっ! おいっ! ロディフィスっ!」
後ろで親父が何か言っていたような気もするが、俺は構わず歩き出していた。
“足は第二の脳”と言われているほど、思考と歩くことには深い関係があるらしい。
それと何か関係があるのかは分からないが、こうやって歩くことで、この何とも形容詞しがたモヤモヤが、一つの形になるような気がしたのだ……
誰もが寝静まる夜。
俺はただ黙々と、村の中を目的もなくグルグルと歩き回るのだった。
余談だが……
このとき、後ろには親父が付いて来ていたのだと、あとで知った。
いくら何にもない村とはいえ、夜中に子どもを一人出歩かせる訳にもいかないってことで、親父が付き添っていたらしい……
ごめんよ……歩いているときは、全然気が付かなったよとーちゃん。
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