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4巻
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しおりを挟む第一話 ブルージャスティス
『花の町』ミネットからウォルカに帰還して、もうすぐ一ヶ月。
僕ことミナトや相棒・エルクの生活はだいぶ変わっていた。
まず、毎朝の日課である朝練に、新たな参加者が一人増えたこと。
言わずもがな、ミネットへ向かう商隊の護衛任務で仲良くなった『ネガエルフ』のシェリーさんである。
僕の実力を知ったシェリーさんは、毎朝訓練に顔を出すようになり、その際、当然のように手合わせを申し込んでくる。嬉々として。
何せ彼女、戦闘狂なので。
まあ僕としても、彼女との手合わせはいい訓練になるので、度が過ぎないように相手をしている。さすがに真剣は使わないでもらってるけども。
そしてシェリーさんには、交換条件として、エルクの訓練を一緒に見てもらっている。
実力的に僕とエルクの中間に位置している彼女は、エルクと同じ刃物を使って戦うので、エルクの訓練にちょうどいいのだ。
もっとも、シェリーさんは他人に教えるのが苦手らしいから、主に組み手の相手だったり、細かい部分の指摘がメイン。
ネガエルフの隠れ里にいた当時から突出した才能を持っていた彼女は、今でもそのセンスに頼っていた。戦いのときにどう動けばいいか、それを感覚で理解してる。
戦闘をあくまで自然にこなす彼女は……それを言葉で説明するのが苦手、ってわけだ。
一方、これまで以上に訓練の効率が上がったエルクは、さらに勢いよく成長しつつある。シェリーさんも舌を巻いていた。
けどさすがに、冒険者ランクBの壁は厚いようだ。
僕に師事し始めてから、トントン拍子でランクCまで来たエルクだけど、さすがにリトルビースト級以上の魔物と戦うには、いよいよ力が足りなくなってきた。
そんなわけだから……彼女にとってももうすぐ行われる『訓練合宿』は、いい刺激になるんじゃないかと思う。
それとエルクだけでなく、フクロウのアルバにも変化が。
いや、変化というか、転機というか……何て言うべきか……。
ともかく、二週間前のことだ。
その時僕は、日課で魔法書物『ネクロノミコン』を読んでいた。ところが二千ページを越えたあたりから、奇妙な違和感を覚えるようになった。
読んでると頭の中に、もやもやしたものが湧き上がってくるというか……文字列に目を走らせているだけで、直接知識が流れ込んでくるような感じ。
よくわからない、今までで初めての感覚。それが何なのか気になった僕がエルクやシェリーさんに聞いてみると、二人はその正体を知っていた。
『グリモア』。別名『グリモワール』とも呼ばれ、特別な魔法書物に用いられる書式だ。
グリモアが記載されているだけで、その書物は数ある魔法書物の中でも、ダントツで激レアな部類に入る。
なんと『読むだけで魔法が使えるようになる』のだ。読んでいる者の脳内に、データをコピーするかのごとく、自動で魔法を刷り込むらしい。
何度も使えるものと、数回使うと効果が失われてしまうものの二種類があるそうだ。
古代文明の魔法使いによって作られたと言われるそれらは、ごくまれに遺跡などで見つかる程度で、製造方法は現代ではもう失われていた。
発見されると有力な貴族や王がこぞって手に入れようとするため、物によってはとんでもない高値で取引されるらしい。
冒険者仲間で情報屋でもあるザリー――分野にもよるがエルクやシェリーさん以上に博識――の話だと、最近開催されたオークションで、そこそこのレベルのグリモアが金貨数枚という大金で落札されたそうだ。
使用回数が無限のグリモアなら、記録されているのが初心者用の魔法だとしても、考古学的な価値があるので、金貨数十枚から数百枚は下らないらしい。
ただ、もともと魔法の才能がない、もしくは乏しい人が読んでも意味はない。
読んだからといって急に魔法が使えるようにはならないし、相性ってものがある。例えば、水の魔法をまったく使えない人が水魔法系のグリモアを読んでもムダだ。
なので、僕が読んでも違和感があるだけだったわけ。
エルクとシェリーさんは魔法の才能があるけど、相性が悪かったらしく、何も習得できなかった。まあ、これから先はわからないけど。
……ただ、うちには魔法の才能が高いやつがもう一人いる。
訂正……一羽いる。
僕の肩口に止まって一緒にネクロノミコンを覗き込んでいた、我らが超フクロウ君は、どうやら人語を理解できるだけじゃなく、文字も読めるらしい。
僕ら三人がグリモアについてあーだこーだ言ってるそばで、じっと文字列を見ていたアルバ。
翌日朝の訓練では、すでに魔法のレパートリーが増えていた。
言わずもがな、ネクロノミコンにグリモアで記されていたものだ。
心身共に未成熟なせいか、前日に読んだページのうち、アルバが習得できた魔法は半分以下だったけども、それでも十分すごい。
これからもっと成長すれば、使える魔法が増えていって……ゆくゆくはこいつ、この本の魔法全部使えるようになるかも。
そして、さっそく使い始めた魔法の中に……『重力操作』というのがあった。
かなり難易度の高い魔法なんだけども、アルバにはそんなことは関係なかったらしい。
ごく限られた範囲ながら、数倍の重力を発生させる魔法を、見事に使いこなしてみせた。
その重力魔法には、僕も訓練の時にお世話になっている。内容は簡単、アルバに重力魔法をかけてもらいながら筋トレやランニングをするだけ。
例えば重力が二倍になれば、体への負荷は二倍どころじゃない。時間や回数を増やすまでもなく、いいトレーニングができる。
アルバも魔法の練習になるし、一石二鳥だな。
そんな感じで、訓練合宿までの一ヶ月という時間を潰している僕だけど、ほかにはエルクやシェリーさん、あと時々ザリーとも一緒になって依頼をこなしたりしてた。
最近は洋館にいたころを思い出して、オリジナル魔法の開発なんかもちょこちょこ行っている。監督役の母さんがいないから、あくまで慎重に。
ここ三週間くらいで、三種類ほど使える魔法を増やしつつ……僕らは期待に胸を膨らませていた。
ギルド主催のイベント――職員や先輩冒険者の指導の下、新米冒険者達が己を高める『合同訓練合宿』の開始が、近づいていたのだ。
☆☆☆
いよいよ集合日の前日。
朝練中にやって来たザリーを加え、僕ら四人と一羽は、その準備をすることになった。
「……って、何で市場に来てんの? 何の買い物?」
「そりゃもちろん、訓練合宿に持っていくものだよ」
僕の質問に答えるザリー。
「ギルドには、『必要なものはこっちで用意するから、何も持ってこなくていい』って言われたんだけど……?」
「持っていかなくてもいいけど、持っていってもいいんだよ。後でいろいろと役に立つことも多いから」
「おやつとか、薬とかってこと? いいの、そんな適当で」
持ち込みNGみたいなルールないんだろうか? 例えば、関係のないものを持っていくと没収されるみたいな、修学旅行や部活の合宿みたいな決まり事。
「基本的にないよ。あくまで今回の『訓練』は、冒険者としての総合的な実力を鍛えるものだからね。その中には、事前準備も基礎力として含まれるわけ。何をどれだけ、どうやって持ってきても文句は言われない。もっとも……訓練中に強奪されることもあるんだけど」
「強奪……って、参加者同士で奪い合いでもさせるの!?」
ぎょっとしているエルク。その後ろで面白そうにしているシェリーさん。
なんでこの二人はいつも反応が対照的なんだか……いや、まあ、どっちが普通じゃないのかは、この上なくはっきりしてるんだけども。
「そういったケースもあるけど……」
あるんかい。
「いや、担当の教官――もちろんギルドの冒険者なわけだけど、中には盗賊の襲撃を想定するとか何とか言って、私物を寝てる間に奪ったりする人もいるから。もちろん、後で返してもらえるし、気づいて防げればそれでもOKだけど」
「なんちゅう物騒な……」
とんでもない鬼教官が出るんだな、この合宿。
まあ、先のことばかり考えていてもしかたないので、さっさと準備を進めることに。
ザリーによれば、毎年ばらつきはあれどそれなりに過酷らしいので、どんな状況でも対応できるような装備・アイテムを揃えることに。
まずは食料。
乾パン……というより、ライトミールブロックみたいなやつだ。時間がない時に、手軽に食べられそうなやつ。
それと、水。
地球では、冷蔵庫などの保存技術が未発達だった大航海時代、水の代わりに腐りにくい酒を船旅に持って行ってたらしい。
けどこの世界には、ちょっとお値段は張るけども、中の水が腐るのを防ぐ(防腐魔法とでも言うべきだろうか?)処置が施された特別な水筒が売られている。
もっと高級な水筒になると、収納魔法の応用で容量が何リットル、何十リットルもあるタイプもあったりするんだこれが。お金に余裕のある冒険者には、これを買う者も多い。
そこに、水に限らずジュースや酒といった好みの飲み物を入れて持っていくのが割と定番。
もっとも……その水筒に関しては、ノエル姉さんと知り合ったすぐ後に商会から買ったので、もう持ってる。
ちょうど迷宮の大蛇『ナーガ』を倒した報奨金が入ったところで、せっかくだしいい奴をってことで、金貨二枚ほどする数十リットルの水筒を買った。
『ブラックパス』のおかげで安くなるし、二人分買おうとしたら「無駄使いすんな」ってエルクに止められたので、二人で一つを使ってるけどね。
ちなみにシェリーさんも、さすがAランク冒険者というべきかそれなりに稼いでおり、立派な水筒を持っている。僕らが使ってるのよりは小さめで……中身は当然のごとくお酒だったけど。
というわけで、僕らが買うのはさっき言った携帯食料に、干し肉とかの日持ちする食料、それと水筒に入れる飲み物。
なじみの店のおっちゃんに声をかけて、いつものお茶を水筒に入るだけ入れてもらい、ティーバッグも購入。前世の麦茶みたいな味で好きなんだよね。
それに加えて、武器や消耗品の補充や整備も済ませる。エルクの投げナイフとか、照明のカンテラ用の固形油とか。
僕も姉さんの商会に寄って、注文していた手裏剣を買い足した。こいつだけは特注品で、ここに来ないと買えないからね。
それともう一つ、アルバ用の折りたたみ式止まり木を新調する。
アルバがさらに成長して、前に使ってた奴が小さくなったからだ。生まれた当初はハトより小さかったこいつも、今ではタカくらいの大きさになっている。
もっとも、実力はそれ以上の勢いで成長してるけども。
そんな感じで買い物を進めていた時だった。
場所は、酒屋。シェリーさん行きつけの店。
樽で酒を買おうとしているシェリーさんに呆れていると、何やら店の外から、もめているような怒声が聞こえてきた。
見ると、人だかりも出来ている。何だろ、ケンカかな?
樽一つ一つの酒をすべて試飲しているシェリーさんは、まだまだ時間がかかりそうだったので、エルクとアルバを連れて行ってみる。
人ごみの隙間から覗くと、気分の悪くなる光景が広がっていた……というか、繰り広げられていた。
ざっくり言ってしまえば、うずくまるみすぼらしい子供を、小奇麗な服を着た大人がガスガス蹴っている光景。
しかもちょっと程度の低い、そして容赦ない罵詈雑言のおまけつきだ。
どうやらこの、歯を食いしばって必死に耐えている少年は、ウォルカ郊外のスラム(そんなのあったのかこの町)に住む孤児らしい。
エルクに聞くと、一応スラムの存在は知っていた。
貧しくてその日の食事も満足に得られないような人々が暮らす地区で、大通りからはかなり離れてるそうだ。なるほど、なら僕が知らなくても無理ないか。
日雇いの仕事をしたり、犯罪に手を染めて生活してる人もいるらしい。治安が悪い、いわゆる無法地帯だ。
で、そこに住んでる人達は、スラムを出ると白い目で見られるだけだから、そこからほとんど出てこない。
その代わりってわけじゃないけど、スラムの中で、迷い込んできた人をカツアゲしたりするんだとか。
今目の前で蹴られている少年は、どうやら相手から、何かを盗もうとして失敗したらしい。
聞き耳を立ててみると、その相手は商人で、商品を盗まれそうになったようだ。
どうやら姉さんのマルラス商会じゃなく、もっと小規模な個人経営の商人っぽい。
損害に直結する窃盗未遂……しかも、犯人がスラムの孤児だってことも手伝ってるのか、手加減ないな。何度も腹を蹴ってる。
すると、固く握り締められていた少年の手が、蹴られた拍子に開いてしまい……何やら小さくてキラキラした、赤い宝石のようなものが転がり出た。
すぐさま商人が屈み込んで、それを回収する。そして、安心したようにホッと一息ついた。なるほど、アレか、盗まれた品物って。
その間、少年を助けてあげようとする人は、周囲に一人もいなかった。
僕も含めて子供を気の毒に思わないわけじゃないけど、野次馬全員の本音は、『あの子供は盗みを働いたんだから、自業自得』。それに尽きる。
もし、蹴られてる理由が理不尽なものなら違ったのかもしれないけど……今回の場合、商人にも言い分がある。
なので、下手に関わると面倒なことになりかねない。
死ぬことはないから、この世界の価値観どおり放っておく。おせっかいするにしても、警備兵を呼んで仲裁してもらう程度にしておけ、と、姉さんにも教わった。
最後に二言三言罵声を浴びせると、商人はその場を去ろうとしたが、よせばいいのに、うずくまっている少年がその商人の足のすそをつかむ。
何だろう、よっぽどあの赤い宝石(?)が欲しいのかな? まだ諦めようとしてないとこを見ると。
商人は、今度はつかまれた足で蹴り上げる。あーあー、子供相手にまた容赦ない……。
しかしこのままじゃあの少年、ホント死にかねないな。
もうそろそろ助けないとマズい……と、思ったその時。
「ちょっと待て! 何してるんだよ、あんた!」
そんな声と共に、野次馬の中から一人の若い男が飛び出してきた。
「!?」
周囲の野次馬が全員驚いている感じが伝わってきた。
僕やエルクとは逆サイドの人ごみをかき分けて出てきたのは、僕と同じぐらいの年齢の……『少年』と『青年』の中間、って見た目の男だった。
どちらかというと童顔(多分僕ほどじゃないけど)。多分一般的にはイケメンとか言われる部類。
髪の毛は青色で、頭の後ろで縛っている。
服や鎧は青と白を基調としていて、腰には一振りの剣。上品、かつ小奇麗な印象を受ける。そして、同じ配色のマントをまとってる。
僕よりは年上に見えるし、とりあえず『青年』とでも呼ぼうか――その青年は、騒ぎの中心にいる少年に駆け寄って抱き起こすと、心配そうな表情で呼びかける。
わずかに少年が反応したことで、一応意識はあって無事だということを確認すると、一瞬だけほっとした表情を見せ、続いて、その少年を蹴っていた商人をキッとにらみつけた。
「あんた一体何してるんだ! こんな小さな、無抵抗の子供に殴る蹴るの乱暴なんて……大人として恥ずかしいと思わないのか!?」
「なっ……何だてめえは!? いきなり横から出てきて……関係ねーだろ、あんたには!」
「関係なくても見過ごせないんだよ! この子がかわいそうじゃないか!」
「……今日び、いるのね。あんな、誠実を通り越して珍しいのも……」
僕の隣でぽつりと、周囲に聞こえないようにつぶやくエルク。
あ、やっぱ珍しいんだ? あの青年の、立派だけど酔狂なお節介さは。
周りが全員無視してるのに、構わず飛び出して子供を助けようとするという……道徳上は模範的でも、わざわざ自分から面倒事に首を突っ込む奇特な人。
「ええ、あんたといい勝負ね」
「……え、僕、あんななの? エルクから見て」
「二ヶ月前を思い出してみなさいよ。自分を騙そうとした女を、今もこうしてそばに置いてるあんたの考え方も、十分奇特でしょうが」
ひどいな、おい。
いやまあ、自覚はあったけど……あの時はきっちり理由があったから、僕はエルクを信頼したんだけど。実際、エルクの決意や覚悟は確認できたし。
そんなことを僕らが話している間も、道の真ん中でぎゃあぎゃあ言い合う二人。
「そいつは俺の商店から商品を盗もうとしたんだよ! 痛い目に遭わせるのは当然だろうが!」
「それは……確かに許される行為じゃないのはわかるよ。でも、こんな風に暴力を振るっていいわけないだろう! 相手は小さい子供なんだぞ!?」
「言っても聞かないんだからしかたないだろうが! 薄汚いガキのくせに、人様のものを盗みやがって……大人しく貧民街で物乞いでもしてればいいんだよ!」
と、その時。
「へっ、なんだ、やることも薄汚けりゃ言うことも薄ぎたねーんだな、あんた」
「ホントよ! 子供に対して何てこと言うのかしら!」
(増えた!?)
僕とエルクの心の声がハモった……と思う。
青い髪の彼が出てきた同じところから……また新たに二人現れた。
一人は黒に近い紺色のぼさぼさの髪をした、目つきの悪い男。
背丈は僕より頭一つ高いくらいで、背中に大剣を背負ってるところから考えると、戦士系なんだろうか。
そしてもう一人は、セミロングの灰色の髪に精悍な顔立ちの女性。
身長は僕と同じくらいで、気の強そうな目が特徴的だ。手にはワンド。魔法使い系かな?
どうやら、青髪の青年の仲間であるらしい。
そんな二人が加わり、さっきまでの延長みたいな口論が続く。「子供相手に」「盗んだんだから」「だからって大人が」……延々こんな感じ。
それを聞きつけたシェリーさん(酒を樽買いし終えた模様)とザリーも合流。僕が簡単に事情を説明していると、向こうの言い争いに動きがあった。
いや、厳密には……四人の傍で痛みをこらえてうずくまってた少年に動きがあった。
取り戻した商品――赤い宝石みたいな――を握り締める商人に突進すると、何とまあ根性のあることに、その商品をまた奪い取ろうとした。
一瞬だけその場を驚きが支配したけども、すぐにまた、商人の顔に怒りが浮かぶ。
思いきり振るわれた足によって、軽々と蹴飛ばされた少年は……あらまあ、こちらに向かって飛んできた。
そして、偶然僕の近くにあった露店の棚に突っ込む。うげ、まずい。
運の悪いことに……その露店は金物屋だった。しかも棚の中には、ハサミやらキリやら、尖ってて危険なものがわんさか入っていた。
その中身が激突の衝撃でこぼれ出し……地面に転がった少年と、たまたま近くにいた僕らのところに降り注いでくる。
その様子を、驚愕の表情で見ていた青髪の青年は……次の瞬間はっとしたように、ワンテンポ遅れて両手を広げ、こっちに走ってきた。
あれ? これはあれか? 少年を突き飛ばして自分が身代わりに――とか、そういうパターンか? 自己犠牲的な。
かなりの勢いでこっちに走ってきてるし……もしかしてアレ、僕らも突き飛ばすつもりで走ってきてない?
まあ、僕達も危険ゾーンにいるから、そういった思考になるのかもしれないけど。
ただ、別にそんなことしなくても平気……っていうか、このままだとムダに彼が怪我するだけなので……。
「危なああぁぁあいっ!!」
「いや、あなたが危ない」
ダッ!! ← 危険地帯にいる僕と少年を助けるべく跳躍する青年。
ガスッ!! ← 突っ込んでぶつかったものの僕がその場から微動だにせず、青年、墜落。
しゅぱぱぱぱぱっ!! ← 落ちてくる刃物を僕が空中で全部キャッチ。
「おぉぉお~~~……」
――ぱちぱちぱち……。
周りから、驚きと感心の入り混じった声と拍手。ありがとーありがとー。
ザリーとシェリーさんが笑い、エルクは呆れている。
そして、突き飛ばすつもりだったのに跳ね返された青年と仲間の二人は、あぜんとしてこっちを見ていた。
☆☆☆
応援ありがとうございます!
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