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襲撃
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ドラーク領の領都は夜も魔導具の灯りがともり、治安の維持に貢献していた。
そんな中、灯りから逃れる様に動く人影があった。黒いローブのフードを目深に被り、種族の特徴である長い耳を隠していた。
男達はハンドサインを巧みに使い、屋敷の周辺に集まってくる。街の闇に溶け込み集まった影の人数は三十人。サーリット王国諜報部【影】の実行部隊の精鋭。
しかし彼等は知らない。自分達の実力は兎人族の幼女にすら敵わないという事を。
その頃、屋敷の中ではカイト不在の中、エルとルシエルが指示を出していた。
「フーガ、予定通り食いついたわね」
膝をついて控える諜報部門のトップ、フーガに話しかけるエルレイン。
「はっ、エルレイン様。カイト様がわざわざ不在の隙を作って頂いたのですから、今夜で全て終わらせましょう」
そう、今日カイトが屋敷に不在なのは、サーリット王国からの賊を釣り出す為だった。
「フーガ殿、それで人員の配置はどうなっていますか?」
「ルシエル様、それは私から説明致します」
ドラーク伯爵家騎士団長ランカスが人員の配置を説明する。
「今回は今後の事も考え、騎士型ゴーレムと魔獣型ゴーレム、それに加えエピル達を主体に対応する予定です。一応バックアップのためにフーガ殿と諜報部がサポートします。あと私もお子達の部屋の中で待機します」
「そうね、部屋にはルフトに乗ったルキナも居るし、ユーファンも屋敷に居るんでしょう」
「はっ、ユーファンとバルデスが一応、使用人達のサポートに回るそうです」
この屋敷では、使用人と言っても護衛対象はエルレイン付きのアンナくらいのものだ。他の使用人はラミアやハーピーだから戦闘力は侵入者よりも高い。
「この布陣で問題ないでしょう。特にエピルは張り切っていますし、彼女の特技が今回は役立つでしょう」
ランカスがエピルの特技に言及すると、エルとルシエルが興味を示す。
「エピルの特技ですか?」
「ええ、それはですね…………」
「あっ、来たね。屋敷の裏に十人、左右に十人づつね」
エピルが子供部屋の中で、侵入者の人数を正確に見て来た様に言う。実はこの屋敷には、エピルの糸が張り巡らされている。その糸を感知に使用しているのだ。
「エピルお姉ちゃん、ルキナも悪いやつやっつける!」
ヤル気に満ちたルキナがナイフ片手にルフトに乗っていた。
「ダメよルキナちゃん。私達の訓練なんだから、その為にわざわざ侵入者防止の結界を張る魔導具を切っているんだから」
「そうよルキナちゃん。ここは私達に任せてちょうだい」
ラヴィンがそう言いながら侵入者の撃退の為に部屋を出て行く。彼女はラミアでチームを組んで撃退にあたる。
「むぅ~、じゃあルキナは赤ちゃんを見てるの」
ルキナはナイフを腰に戻し三人の赤ちゃん達と遊ぶ事にしたようだ。
エピルも部屋を出て侵入者の撃退に向かう。
フィーネ率いるハーピー達は、屋敷の屋根の上で侵入者を待ち受けていた。
襲撃者に対する訓練扱いされているとも知らず、影の面々が侵入を開始した。
三十人の襲撃者が屋敷の塀を超えて敷地内に入った時、音も無く何人かの姿が消える。しかし仲間が消えた事すら気付かない。
消えた襲撃者は蜘蛛の糸にグルグルに巻かれて転がっていた。
屋敷に近付こうとした侵入者がいきなり倒れる。
空中からハーピーによるナイフの投擲だと分かる前にどんどん数を減らしていく侵入者。
「なっ!」
「貴方は私がお相手するわね。エッチな意味じゃないわよ。私はカイト様一筋だから」
慌てて指示を出そうとした影のリーダーに横から女の声で話し掛けられる。
金髪の美しい女が立っていた。
ボリュームのある大きな胸に細い腰、張り出した腰と男の目を釘付けにするスタイルの美女。
「お、お前は!」
男が意識を保っていれたのもここまでだった。
ラヴィンの目が赤く光った瞬間、男の意識を刈り取った。
「呆気ないわね。カイト様なら私の魔眼なんて効かないのに」
ラヴィンが周りを見ると、他のラミア達も難なく侵入者を撃退していた。
結局、この日カイトの屋敷へ侵入した三十人の襲撃者は、アラクネのエピル、ラヴィン率いるラミア、フィーネ率いるハーピー、スーラが造った騎士型ゴーレムの活躍で、三十分も掛からずに処理を終える。
そんな中、灯りから逃れる様に動く人影があった。黒いローブのフードを目深に被り、種族の特徴である長い耳を隠していた。
男達はハンドサインを巧みに使い、屋敷の周辺に集まってくる。街の闇に溶け込み集まった影の人数は三十人。サーリット王国諜報部【影】の実行部隊の精鋭。
しかし彼等は知らない。自分達の実力は兎人族の幼女にすら敵わないという事を。
その頃、屋敷の中ではカイト不在の中、エルとルシエルが指示を出していた。
「フーガ、予定通り食いついたわね」
膝をついて控える諜報部門のトップ、フーガに話しかけるエルレイン。
「はっ、エルレイン様。カイト様がわざわざ不在の隙を作って頂いたのですから、今夜で全て終わらせましょう」
そう、今日カイトが屋敷に不在なのは、サーリット王国からの賊を釣り出す為だった。
「フーガ殿、それで人員の配置はどうなっていますか?」
「ルシエル様、それは私から説明致します」
ドラーク伯爵家騎士団長ランカスが人員の配置を説明する。
「今回は今後の事も考え、騎士型ゴーレムと魔獣型ゴーレム、それに加えエピル達を主体に対応する予定です。一応バックアップのためにフーガ殿と諜報部がサポートします。あと私もお子達の部屋の中で待機します」
「そうね、部屋にはルフトに乗ったルキナも居るし、ユーファンも屋敷に居るんでしょう」
「はっ、ユーファンとバルデスが一応、使用人達のサポートに回るそうです」
この屋敷では、使用人と言っても護衛対象はエルレイン付きのアンナくらいのものだ。他の使用人はラミアやハーピーだから戦闘力は侵入者よりも高い。
「この布陣で問題ないでしょう。特にエピルは張り切っていますし、彼女の特技が今回は役立つでしょう」
ランカスがエピルの特技に言及すると、エルとルシエルが興味を示す。
「エピルの特技ですか?」
「ええ、それはですね…………」
「あっ、来たね。屋敷の裏に十人、左右に十人づつね」
エピルが子供部屋の中で、侵入者の人数を正確に見て来た様に言う。実はこの屋敷には、エピルの糸が張り巡らされている。その糸を感知に使用しているのだ。
「エピルお姉ちゃん、ルキナも悪いやつやっつける!」
ヤル気に満ちたルキナがナイフ片手にルフトに乗っていた。
「ダメよルキナちゃん。私達の訓練なんだから、その為にわざわざ侵入者防止の結界を張る魔導具を切っているんだから」
「そうよルキナちゃん。ここは私達に任せてちょうだい」
ラヴィンがそう言いながら侵入者の撃退の為に部屋を出て行く。彼女はラミアでチームを組んで撃退にあたる。
「むぅ~、じゃあルキナは赤ちゃんを見てるの」
ルキナはナイフを腰に戻し三人の赤ちゃん達と遊ぶ事にしたようだ。
エピルも部屋を出て侵入者の撃退に向かう。
フィーネ率いるハーピー達は、屋敷の屋根の上で侵入者を待ち受けていた。
襲撃者に対する訓練扱いされているとも知らず、影の面々が侵入を開始した。
三十人の襲撃者が屋敷の塀を超えて敷地内に入った時、音も無く何人かの姿が消える。しかし仲間が消えた事すら気付かない。
消えた襲撃者は蜘蛛の糸にグルグルに巻かれて転がっていた。
屋敷に近付こうとした侵入者がいきなり倒れる。
空中からハーピーによるナイフの投擲だと分かる前にどんどん数を減らしていく侵入者。
「なっ!」
「貴方は私がお相手するわね。エッチな意味じゃないわよ。私はカイト様一筋だから」
慌てて指示を出そうとした影のリーダーに横から女の声で話し掛けられる。
金髪の美しい女が立っていた。
ボリュームのある大きな胸に細い腰、張り出した腰と男の目を釘付けにするスタイルの美女。
「お、お前は!」
男が意識を保っていれたのもここまでだった。
ラヴィンの目が赤く光った瞬間、男の意識を刈り取った。
「呆気ないわね。カイト様なら私の魔眼なんて効かないのに」
ラヴィンが周りを見ると、他のラミア達も難なく侵入者を撃退していた。
結局、この日カイトの屋敷へ侵入した三十人の襲撃者は、アラクネのエピル、ラヴィン率いるラミア、フィーネ率いるハーピー、スーラが造った騎士型ゴーレムの活躍で、三十分も掛からずに処理を終える。
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