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第二部二章 第三王家所領にてドラゴン退治!

3、第三王都に到着☆騎士団VSコウシャクドラゴン

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 スフィアレイクを出て北東へ。ボク達は、第三王都へ向かっている。

 はぐれドラゴンが住処として山と、第三王都の距離は60キロくらい。
 山を囲むように、北西と北東にも街道が延びている。王都から続く街道で、まだドラゴン被害の無い街道は、南東への街道と現在ボク達が行く街道だけである。

 街道を行く馬車を襲うドラゴン。第三王家としては、早急に解決しなければならない大問題だろう。
 ドラゴンの強さがどの程度なのか分からないが、案外と第三王都へ着く頃には退治されているかも知れない。

 進行方向やや左の、ドラゴンが住みついた北の山の方をときどき眺めながら進む。地上にいたなら地平線に隠れて見えなかっただろう。遠くに空を飛ぶドラゴンの姿を見えた。
 ある程度強化していた視力でも豆粒以下のサイズ。視力を最大まで強化して、ソフトボール大まで拡大して捉える。花音ちゃんにも見えるように念話でリンクして共有した。

「遠すぎて、強さは分からないね」

「……ですね」
『『『カイトの方が強い~』』』

『ほんとに?』

『『『カイトがいちば~ん!』』』

 三匹にもドラゴンの強さは、分からなかったハズなのだが? 三匹の絶対的な信頼が伝わってくる。キラキラした瞳でカイトを見てる。

『例えばボクと神様では、どちらが強いと思う?』
『『『女神様?』』』

『……ちがうけど、同じくらい強い神様では?』
『『『カイト~!』』』

 うん、これは妄信というものだ。ドラゴンとの戦いは、まだ保留にしておいた方が良いだろう。

 第三王都に着く。王都は期待と不安、微妙な緊張感に満ちていた。
 冒険者ギルドへ行き情報を仕入れると、どうやら第三王都の騎士団がドラゴン退治に乗り出したらしい。
  
 第三王都の人々は、騎士団のドラゴン退治の結果を待っていた。


☆☆☆


 コウシャクは、街道を行く馬車が少なくなったことに気がついた。少し遠出をしなければ、ならないかと思っていた頃に獲物を見つけた。
 しかし、やっと見つけた馬車はワナだったらしい。小賢しい……。

 なかなかに強いと感じるが、恐れはない。

 二台の馬車から兵士が出てきた。ドラゴンと戦うのは、選び抜かれた10名の騎士である。弱すぎては足手まといにしかならない。

 コウシャクは、自分を超える強さは感じていなかった。
 戦いが始まり、相手の強さの底が分かってくる。……勝てると安心した。

 コウシャクの体は、全長10mほどの巨体。その姿は羽の生えた二足歩行のトカゲ、西洋風のドラゴンである。

 コウシャクは、走りよって来る敵にブレスを吐き出す。
 障壁に防がれた。障壁の主は後方にいた。

「いけるぞ!」声が上がる。「おぅ」と答える幾つ者声があり、火の玉や弓矢が飛んでくる。

 ああ、人間は集団で戦うのだったな。
 しかし人間風情が、ドラゴンとなったコウシャクに逆らうか!
 大きく吼え声を上げる。

 一瞬のひるみに、公爵は逃げた。フィールドによる強化がされる場所まで……。
 逃げるドラゴンに、騎士団は勝利を確信して追う。

 そして追うことで陣形が崩れた。
 単体ではドラゴンに及ばなかった第三王家騎士団である。さらに、そのドラゴンは知らぬ間に強化されていた。
 倒された騎士の穴は埋まらない……。


 コウシャクは、体から溢れかえる力にレベルアップを確信した。

 馬車の近くにいる、戦闘に参加しなかった生き残りの人間を見る。弱い、レベルアップには貢献してくれそうもない。
 コウシャクは、鷹揚おうように逃げていく人間を見送り、馬車の中の食料をあさりだした。
 
 このままの生活レベルには、とても耐えられないとコウシャクは思っている。
 コウシャクは、人間の町を支配することを考えていた。


 空が暗くなる頃、第三王家騎士団の生き残りが第三王都の北門に帰還した。


☆☆☆


 翌朝、宿屋で目を覚ますと第三王都は騒然としていた。
 ドラゴン退治に出ていた第三王家騎士団の精鋭が敗れたのである。

「それで、これからどうなるんだ?」

「もう、第三王家にドラゴンに挑めるような騎士はいないからなぁ。……聖王家に助けを求める事になるんじゃないか?」

「でも、それで何とかなるのか?」
 
 絶望的な顔をした人も多い。町を離れる事を考える人が増えている。どうやら、ドラゴンの危険を説いて足止めをしているようだが……。
 このままでは第三王都は、ゴーストタウンになってしまうだろう。

 昼も過ぎると、ドラゴンを相手に良い勝負をしていたらしいと言う話が入ってきた。

「アールファン聖王国の力を合わせれば、ドラゴン退治も大丈夫だな……」

「第三王家騎士団が良い勝負をしたんなら、聖王家の騎士団だけでもいけるだろ」

 王都の人々の不安感を抑えるために、意図的に噂を流しているように思える。その真偽に不安を感じる。しかし、どうやら生き残りの騎士が審判者の前で証言をしたらしい。

 聖王家の騎士団は、いつ来てくれるのか? というレベルまで、王都の人心は落ち着いてきていた。

『『『カイト、ドラゴン退治する?』』』

『う~ん、聖王家の騎士団に任せるべきだと思うけど……。ドラゴン退治するなら、色々と訓練をしておかないとな』

『くんれん~!』『やる~』『うさ子も~』
『……はい』

 二人と三匹の連携訓練。そして……。
 もしもの時に、逃げられるようにしておかないと、ドラゴン退治なんて許可できない。


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