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第1章

58. サプライズ

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案の定、覗いてみたがミモザ様はおらず突然現れた下級生…さらに上級生には副会長様の関係者ということが知られているので注目されてしまった…。

「(ここでも僕は目立っちゃうんだ…。)」

そう思いながらもミモザ様がいないのを確認できたので次は前にミモザ様がお茶会をしていた裏庭に行くことにした。

僕は早々に教室を後にすると裏庭に向かって歩き出す。

少し委員長に会えなかったのは残念だったが、よくよく考えてみると

「(セージ・バークってことは会長と同じ苗字だ…。従兄弟か何かかな…?また会長に会ったら聞いてみよう。でも、会長に会うってことは副会長もセットってことだよね。フフフッ…またあの無自覚イチャイチャを見れるのかな…。)」

僕は副会長の態度には何度会っても戸惑いを感じるが2人のイチャイチャは見たいので、また生徒会室を訪ねてみようと思った。

「(そして手土産に何かクッキーを持っていって"あーん"をしているところを見なくっちゃ!)」

と少しテンションが上がりながら裏庭へと急いだ。





裏庭に着き、早速ミモザ様を探すと予想通りミモザ様は取り巻き2人を連れてテラス席にいた。前と違うのはそこに副会長ことロックも一緒にいたことだ。遠目から見ても険悪なムードが流れている。何かあったのかと思い気付かれないように近づいて行くとロックが声を荒げていた。

「あなたがフェンネル様に暴言を吐いたことは調べがついているんです。いい加減に認めなさい!」

「さあ…?なんのことかしら?たしかにフェンネル・ローランドと話したことは認めるわ。でも暴言を吐いただなんて…。そんなはしたないこと、この私がすると思って?」

と涼しい顔をしている。

その言葉を聞いたロックはキッとミモザ様を睨むと、その取り巻きでもある2人を睨んだ。

「アンジェリカ!エレミ!君達2人もそこにいたんだろう…?真実を言わなければ君達も同罪と見なす…!早く言わないとミモザの罪も重くなりますよ。」と話しかける。

すると2人は顔を見合わせ、

「いえ…私達はその場におりませんでした。」
「ええ、本当ですわ。」

と答えた。

「(確かにあの時はミモザ様だけに連れていかれたから2人は知らないかも。)」

と僕が思っていると、

「埒があかないな…わかった。3人は生徒会室に来て下さい。」

と3人を連れて生徒会室に行ってしまう。

僕はそれを眺めながら

「(あっ…ミモザ様に聞けないじゃん…。どうしよう…追いかけるべき?追いかけて僕が証言したら丸く収まるんだろうけど、またミモザ様に睨まれるな…。只でさえ、兄様のことで嫌われてるのにそんなことしたら余計、あの言葉の意味を教えてもらえなくなる…。ロック、ごめん!僕は知らないフリするよ!)」

僕はそう決めると帰路に着いた。






その日の夜、部屋にディル兄様が訪ねてきた。

「フェル~、最近元気がないみたいだね。僕が元気の出るおまじないしてあげよっか?」

と抱き締めてきた。

僕はディル兄様を見つめると

「(なんかディル兄様が言うといつもエロいことにしか思えないんだけど…。)」

そう思いつつも最近、タジェット兄様の件でしんどかったのは事実だし、落ち込んでいる僕を励まそうとしているのかもしれない。

なので、その申し出に快く了承した。

「そしたら目を瞑ってくれる?」

「(えっ!?嫌だ!絶対キスする気だ!どうしよう…今更もういいだなんて言えないよ。)
うっ…うん…。」

僕は渋々、目を瞑ると兄様が何をするのかドキドキしながら待った。

すると「ちょっと、そのままで待っててね!」と言ったディル兄様は部屋を出て行ってしまう。

僕は「(えっ!?どこ行くの!?僕このままなの!?)」と思ったが律儀に立って待っていた。少しすると部屋の扉が開く音が聞こえ、ディル兄様が「まだだよー!まだ瞑っててよー!」と言ってくる。

僕は「まだー?早くー。」と返事をし、ディル兄様から「もう、いいよー!目を開けて!」と告げたのを聞き目を開ける。

すると、そこには父様、母様、ロザリーナ姉様、アミリス・セイボリー様、カラマス君、マシュー先生、エリー、ランタナが勢揃いしていた。

僕は「えっ!?なんで!?」とこの状況に戸惑っていると、父様が口を開く。

「フェル、驚いたかい?今日は皆、お前の快気祝いに集まってくれたんだ。それに最近、元気がなかったからな、少しでも気が紛れる方が良いかと思って皆に声をかけておいた。今日は美味しいものをいっぱい食べてイヤなことは忘れよう!」

と励ましてくれる。

僕はその心遣いに嬉しくなり父様に抱き着いて、泣きながら「ありがと~!」とお礼を言った。

それから順番に皆にお礼を言うと、カラマス君から「じゃあお礼にフェルからキスしてくれ。」と言われ、照れながらも頰にキスする。

それを見たディル兄様とロザリーナ姉様が「カラマス君だけズルイ~。」と言い出し、結局全員にする羽目になってしまった。

そして母様、エリー、ランタナが用意した手作りの料理とケーキを堪能し、この時だけは沈んだ気持ちも忘れ、皆との時間を楽しんだのだった。
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