上 下
50 / 107

フューネの祝日・襲撃

しおりを挟む
伯爵家の馬車に乗り込み、ビル爺に大急ぎで帰って貰います。
事故らない程度ですよ?
馬車にはお姉様とガクとスケルも乗ってます。

伯爵邸に着くや否や、自分でドアを開け飛び降ります。
続くお姉様達。

「ビル爺はそのままカッツェの所へ!」

「……御武運を!」

「大丈夫だから心配しないで!お姉様、私は本館に居るチェリエの元へ向かいます!」

お姉様とハグを交わします。

「気を付けてね!」

「お姉様も!ガク、スケル、お姉様をきっちり守ってね!」

「給料分はきっちり殺る。」

「任せとけ~!」

因みにガクは大剣、スケルはロングソードと弓、背負ってます。
頼もしい!

セバスさんと目配せをし駆け出します!
お姉様達はそのまま突っ切り中庭へ。
私とセバスさんは階段を登って行きます。
チェリエが居るとしたら、私の部屋でしょうからね!




■■■黒い一団■■■
全身を黒一色で統一した集団が居た。
その先頭を行く2人の男。

「リーダー(笑)~?」

「……何だ?」

「思ったより人の気配がしないんだけど~?特にあっちの建物さぁ。ああ!でも、オレの勘が女の子だと訴え掛けてくる~。あっは、オレ、先にあっち見てくるわ~♪」

両腕を頭の上で組み、何でもない様にリーダー(笑)に話し掛ける。

「……ターゲットを優先しろ。」

「ああん?何?指図すんの~?オレに~?」

「ぐっ……リーダー命令だ!!」

ギリリと奥歯を噛み締めるリーダー(笑)に対して、少し先に行き立ち止まると、振り返りニヤリと笑う。
そこは丁度、伯爵邸に張られた結界のギリギリのライン。

「あっはっ、聞こえないな~♪」

「……ブィーア!!」

ブィーアと呼ばれビクリと反応する男。
ゆっくりとリーダー(笑)に向けて、右手を伸ばす。

「……死ねよ。」

ブィーアの言葉と同時に、リーダー(笑)の首に下から伸びた闇の手が締まる。

「ぐっ!?」

必至に闇の手を解こうともがくが、闇は掴めない。
目の前がチカチカし始めた頃フッと手が消え、リーダー(笑)は立っていられずその場に膝まづいた。

「げほっ……がっはあ、はあ、はあ」

「あっは!死ぬと思ったあ?あはは、殺さないよ~♪オレも怒られるのや~だ~し~♪」

両手を伸ばし、その場でクルリと楽し気に回る。
伸ばした手を腰に当て、前屈みになるとリーダー(笑)の顔を覗き込み、

「……行っても良いよね~♪」

「……好きにしろ!!」

「あっは!リーダー(笑)チョロ!じゃ~ね~♪」

笑いながら影の中へブィーアは沈んで行った。





■■■本館・チェリエ■■■
ミリアが舞踏会に出掛けてから、みんな出掛けて行きました。
ケイト達が気を使って、「一緒に行こう」「二時間は戻って来ないでしょう?」と誘ってくれたけど残りました。

嬉しかったけどね!

だって、ミリアの行動は読めませんからね。

最初はミリアのドレスをチクチク手直ししたりしてて、今はいっぱいになってしまったぬいぐるみを、箱に詰めています。

ミリアが孤児院に寄付すると言っていたので。

大きなパンダ?以外は要らないと言ってたから、それ以外をせっせと箱詰め……結構な時間が掛かってます。
早く終わると思ってたんですがね?
箱が2つ、3つと増えていきます。

…………どんだけだよ!!

て、思った時です。

「あっは~!やっぱり、女の子居た~。うんうん。オレの勘は当たるんだよね~♪」

いきなり、部屋の中で男の声が!?

見れば、全身真っ黒な服で鼻から下も布で覆っている為、目しか見えません。

……ミリアと同じ黒。

「あ、あああなた、誰何ですか!いったいどこから……!?ここが伯爵夫人の部屋と知っての狼藉ですか!!」

男はコテンと首を傾げて……笑いました。

「あっは~♪元気だね~?オレね、ブィーアとか4番目とか呼ばれてんの!ムカツクよね~?そっかぁ、ここ嫁ちゃんの部屋か~♪」

言いながら、男は部屋の中を物色し始めました。
止めさせなきゃって思うのに、身体が震えて立てません。

……ミリア、ごめん。
ごめんなさい。
なんか、この人怖い!!

怖い…………怖いよ、ミリア、ミリア、ミリア!!

涙が溢れて零れていきます。
声が震えます。

「で……で、出てって……」

「あっ!これって宝石箱~♪オレ、宝石大好きなんだ~。キラキラしててキレイだよね~♪……裏切らないし、動かないし、話さないし。コレはルビー、コレはトパーズ?サファイアに……木彫り?よく分っかんないけど貰ってくね~!君の瞳の代わりに……。」

男の顔がゆっくりと私を捕らえます。

「……ひっ」

「残念だよね~?茶色とか、もっと珍しい色だと良かったんだけど~。」

一歩ずつ男が近付いて来ます。

「あぅ……やっ…だ………来ないで!」

私は座ったままズリズリと後ろへ下がります。
でも、直ぐに背中に硬い物が当たり下がれなくなって……。

「……満たされないんだぁ。何をやっても……。犯して、目を抉って、肉を削いで、切り刻んで、殺して殺して殺してぇ!!何をやってもやってもやってもやっても満たされない!!」

男が私の側にしゃがみ、私の前髪を掴むと上向かせポロポロと涙を流す顔を見て笑います。

「君はこんなオレを満たしてくれるかな?」









しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:1,053

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,219pt お気に入り:93

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:1,643

処理中です...