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第1章 水と光、交錯の相愛編
12.蠢く闇の鼓動
しおりを挟む「繋がりましたぞ、我が君」
黒フードの男は、宙に浮かぶ形をゆるゆる変える玉を弄びつつ、フード越しに部屋の奥にいる男へ視線と声を向けた。
部屋は相変わらず暗く、光はほとんどない。
「思ったより時がかかったな。どことだ?」
「水のようですな」
キヒヒと笑う黒フードの男に、部屋奥の男はハッと吐き捨てるように笑った。
「想定内、といったところですかな?」
黒フードの男の問いに、男は軽く手を振る。黒フードの操る浮かぶ玉が、黒い刃のような衝撃波に切り裂かれ、バッと四散する。
「心中穏やか。…とは、まいりませぬか」
「軽口は好かん………」
クヒヒと笑う黒フードに、男の静かな声が向けられると、サッと黒フードはその場から一瞬で移動した。黒フードがいた場所で、玉を四散させた黒い衝撃波がシュルシュル音を立てわだかまり消えた。
「おぉ、恐ろしや。あなた様の能力を喰らえば、いかな私とて、タダではすみませんな」
言葉で言う程、恐ろしがってもいない黒フード。部屋奥の男も特に何も思うことはないとばかりだ。
「引き寄せまするか?」
「時期ではない。チカラがまだまだ足りぬ。我も……あれも。不完全なものに用はない。あれは、まだ」
「御意に」
クヒクヒ笑い、跪き頭を垂れる黒フードを一瞥し、男は視線を上げ、暗い部屋の奥を、赤く燃えるルビー色の瞳で睨みつける。
「どこまでも、忌々しい。昔も今も」
ーー静かな怒りを含んだ声が、暗い暗い闇に溶けて消えていったーーーーーー
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