黒の創造召喚師

幾威空

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3巻

3-1

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 第1話 国王からの招待状


 深緑の葉が視界を覆い尽くし、土の匂いがこうかすめる。茂る木々の隙間から数多あまたの動物たちの息遣いが聞こえる中、それにまぎれるようにツグナは静かに息をついた。

「……そろそろ頃合いかな?」

 ちらりと視線を上に向ければ、西の彼方かなたあかね色の空が見える。慣れた手つきで血振ちぶりを行うと、黒刀は本来の美しさを取り戻した。満足げにその輝きを確認したツグナは、腰に差したさやの中へと納刀する。

「さて、と。あとは……コイツをどう料理しようかね」

 振り向いた視線の先には、自身の倍以上もの体格を有する魔獣の息絶えた姿があった。アイテムボックスの中にしまい込んだその獲物について、頭の中で調理方法を思い描きながら、ツグナは森の中を歩き始めたのだった。


 リアベルの街に迫ったキメラロードとの戦闘から、早くも数週間が経過していた。現在は水の月の第一週目に突入してすぐの時節であり、ツグナのいた日本のこよみに合わせれば、丁度六月に差しかかった時期にあたる。
 日本では湿気の多い空気と降り続く長雨になんとなく気分もふさぎ込みがちであったが、ここではそうした気候にはならない。四季の変化こそ同じく見受けられるものの、梅雨とは対照的に過ごしやすい晴れ模様がしばらく続いている。
 ここは、イグリア大陸の中央に広がるカリギュラ大森林――別名「魔の森」。誰もがその名を聞けば一瞬たじろいでしまうほどの危険地帯として有名だ。
 既に陽も傾き、そろそろ地平線の彼方に沈む時間となっている。辺りが闇のとばりに包まれれば、危険度はさらに跳ね上がる。徘徊する魔物や魔獣の息遣いを耳にしながら、広大な森の中を僅かな星と月の光のみを頼りに進まなければならない精神的な負荷は計り知れない。
 そんな大の大人でも腰が引ける場所を、ツグナと、その仲間であるソアラとキリアの三人が、まるでピクニックを楽しんできたかのような雰囲気を醸し出しながら歩いていた。いや、実際に鼻歌交じりにスキップしながら歩いているのだから、そうとしか見えないのは仕方ないだろう。

「……ねぇ。そういえば、今日の夕飯って何にする予定なの?」

 吹き抜ける風に揺られる葉のささやきに乗せ、柔らかなキリアの声が聞こえてきた。

「う~ん……特には考えてないけど。何かリクエストある?」

 そう返事をしたツグナが周囲に目を転じれば、いろの夕陽を遮る木々によって作り出された光と影のコントラストが、幻想的な風景を描き出していた。

「はいはいはーいっ! 私はガッツリしたものが食べたいですっ!」
「私はあっさりしたものがいいわね」

 絵画のごとき景色を前にしてはしゃぐ三人の様子は、どこか微笑ほほえましい雰囲気に包まれている。しかしながら、事情を知らない赤の他人がその様子を見れば、思わず「何してんだこんな危ない場所で!」と声を張り上げて忠告するだろう。
 そんな当然のはずの忠告も、ツグナが次に発した言葉の前では滑稽こっけいなものに成り下がってしまう。

「ガッツリ、ねぇ……だったら、『熊牛グリズリーカウ』の肉でサンドイッチにでもするか? 丁度さっき仕留めたことだしな。あっさり系がお望みなら、湖で捕まえた『薄氷魚はくひょううお』をさばくけど」

 グリズリーカウとは名前の通り、熊と牛を足して二で割ったような姿をした魔獣である。今回仕留めた個体のレベルは43、ランクはB-であった。獲物に対して愚直なまでの突進攻撃を繰り出すのが特徴的だ。特筆すべきはその突進の速度で、分厚い城壁に穴を空けたという記録も残されているほどの破壊力を有する。
 一方の薄氷魚は気性の荒い淡水魚の一種で、一部の地域では「癇癪魚かんしゃくうお」などとも呼ばれる。最大の特徴は「氷凍杭アイシクルパイル」という魔法を放つ点だ。この魔法は直径十セルメラ、長さ三十セルメラにもなる太い氷の杭が一度に五本から十本も出現し、対象に襲いかかるというものである。
 薄氷魚自体はレベル37から40、ランクはC+という強さを持つ。しかしながらこれは、単純に倒すためならば、という前提であって、水中を泳ぐ能力に優れ、危機察知能力も高いこの魚を食用として生かしたまま捕獲するとなるとB-にまで格が上がる。
 つまり、どちらも簡単に食すことなどできない生き物なのだ。それを易々やすやすとメニューに挙げてしまうのだから、いかにツグナが幼い見た目と釣り合わない実力を有しているかが窺えるというものだろう。

「いつの間に……」

 キリアが目を見張りながらこぼした言葉に、ツグナは「二人が訓練してる間にちょろっと……ね」と笑みを浮かべる。

「確か、薄氷魚は今が旬の魚だったよね」
「まぁね。脂は乗っているけど、しつこくないし、煮ても焼いても美味しいね」

 ソアラはまだ見ぬ料理を想像して、狐人きつねびと族の象徴である狐耳とふさふさの尻尾をせわしなく動かし、言外げんがいに「早く食わせろ」と告げている。
 キリアはといえば、妖精エルフ族特有の尖った耳を一瞬ピクリと揺らすだけだが、続いて「くきゅうぅぅぅ……」と空腹を訴える音がツグナの耳に届けられた。その音に釣られて笑うツグナに、キリアは「うっ……」と言葉を詰まらせながら顔を朱に染めるのだった。

「ははっ。まぁ、今日は結構歩き回ったからな。帰ったらすぐに取りかかるよ」

 その顔に笑みをたたえながら、ツグナたちは帰るべき「家」に向かって歩を進める。

「うぅ~……ツグナのイジワル……」
「今日一日、戦闘の訓練をして、休む暇もなく動き回って……料理が出来るまでこの空腹と戦うのは……ある意味拷問ね」

 そんな女性陣の訴えに対して、ツグナは苦笑いを浮かべるしかない。彼女たちの言うように、今日はこの森林の中で戦闘訓練とフィールドの探索を主にして二人を鍛えていた。
 戦闘訓練ではソアラとキリアを前面に立たせ、その様子を見ながらツグナが指導を行った。この訓練の目的は、ソアラには魔法攻撃への対処を、キリアには接近攻撃への対処を身体で覚えさせることであった。
 魔物や魔獣と戦う場合と対人戦では、とるべき戦闘スタイルは明確に異なる。前者は本能的に襲ってくるために、いかに迅速な反応を取れるかが重要であり、後者にはどう裏をかいて自らの術中にめるか、という駆け引きがポイントとなる。
 探索は、今後のギルドの依頼クエストをこなす上で必須となる技術だ。今はまだツグナが主導でこなしており、一人に負担がかかり過ぎているきらいがあった。
 その負担を分散できるまでになれば、作業が効率化するだけではなく、一人一人の冒険者としての質の向上にもつながる。ツグナは自らが得た経験や知識を、実地を通じて連日この二人に叩き込んでいた。

「はいはい。分かったよ、二人とも。帰ったら特製のジュースがあるから、それでも飲んで待っててよ」

 そう答えたツグナは、アイテムボックス内の在庫を思い浮かべながら、「二人がねないようにデザートでも付け加えようかな」などと考える。
 夕焼けの下、目的地を視界に入れたのは、それからすぐのことだった。


  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 普段通りにぎやかな夕食を終え、片付けも一段落を迎えた頃。いつものようにリビングで紅茶をたしなみながら本を読んでいた、ツグナの師匠にして半妖精ハーフエルフ族のリリアは、「そういえば……お前にこんなものが届いてるぞ」とふところにしまっていた一通の封書をおもむろにツグナに差し出した。

「あ~うん……何かな、コレは?」

 白い横長の封筒には「ツグナ=サエキ様へ」と宛名が書かれているが、奇妙なことに差出人の名前が記載されていない。「変だな……誰からだろう?」と思いつつ裏面を見ると、その中央には獅子と剣のデザインが施された印で封蝋ふうろうがされていた。

「ははっ、見れば分かるだろう? 何のことはない、ただの招待状だろうさ。もっとも……気付いている通り、 『王国からの』だがな」
「…………」

 紅茶で舌を湿しめらせ、ニヤニヤと何かを含んだ笑みを伴って投げられたリリアの言葉に、ツグナはなんとも微妙な顔を浮かべた。ツグナもこの「獅子と剣」のシンボルが何を示すのかは、これまでに読んだ書物やシルヴィから学んでいる。この図柄は紛れもなくリアベルの街を含む「ユスティリア王国」の正式な意匠だ。他のメンツを見れば、デザートを頬張っていたソアラとキリアは呆けた表情のまま手を止め、シルヴィは「ゲホゲホっ! ……ちょ、ちょっと待っ――!」とむせながらもなんとか状況を整理しようとしていた。

「いや待て……本気か?」

 無意識にそんな言葉が口から出てしまったツグナだったが、リリアの表情にはいささかの変化もない。むしろ彼女が浮かべる意地の悪い笑みは、それが真実であるとツグナに余計に実感させた。

「嘘を吐く場面ではないのは分かっているだろ? その印を見れば、王国関係者から出された正式な手紙だということはすぐに分かる。もちろん偽造ということもあり得るだろうが、現状でそれを疑っても意味がない」
「う~ん……でもなんで、そんな偉い人が出てくるのかなぁ?」

 押し黙っているツグナの横から声を上げたのはソアラだ。あまりの衝撃に固まっていた彼女であるが、デザートをぱくつく至福の表情は保っていた。こんな状況でも手を止めないその食い意地には、ツグナとしても天晴あっぱれとしか言いようがなかった。

「それはもちろん、キメラロードを単独撃破した人物ともなれば、呼びたくもなるだろうさ。国民を預かる身として、あれほどの危機から街を救った者をたたえなければ、沽券こけんにもかかわるだろうからな」

 カップに注がれた紅茶をすすりつつ、リリアはさらりと自身の見解を告げる。だがそうして喉を潤した直後、彼女の口からは「まぁ、そんなものは所詮表向きの理由だろうがな」との言葉が添えられた。

「大義名分、本音と建前たてまえ……ですか」

 どこか煮え切らない顔で呟くキリアに、リリアは「どうだかな」と切り返す。

「ただ、彼らは恐れているのかもしれんな」
「恐れる……とは?」
「ふむ。そうだな……」

 キリアの反射的な問いかけに、リリアは落ち着いた調子で訥々とつとつと自らの考えを述べていく。その目はどこか遠くの景色を眺めているように、ツグナには感じられた。

「そもそもキメラという生き物は、古くから災厄として扱われるほどの力や性質を持っている。しかもそんな滅多に起きないとされる事象が立て続けに起きた。報告は上がっているだろうが、できれば当事者から当時の状況を詳しく聞きたい……というのが一つだな」

 そこで言葉を切ったリリアは、紅茶のお代わりを貰いながら再び口を開く。

「そして――そのような災厄と対等に渡り合える力を持つ、ツグナという人族の少年にも関心が向いたのだろう。そこにあるのは、ただ単に人となりを知りたいという目的だけではない。どんなスキルや魔法適性を持っているのか、どんな思想を、価値観を持っているのか……要するに、王国にとって利益となるか不利益となるか、探りを入れたいのだろうよ」
「そう聞くといい気分ではないですね」

 苦い顔を浮かべたシルヴィがため息交じりに呟き、キリアもまた同様の表情で頷く。そんな反応を横目に、リリアはさらに話を続けた。

「確かにそう感じるのも無理はない。ただ彼らとしても、ツグナが『冒険者』という自由な立場だからこそ、敵に回った時の脅威度や対応策の検討も含め、じかに目にしておきたいのだろうさ」

 肩を揺らしながら、どこか愉快げにリリアは自身の見解をまとめた。それとは対照的に口元をゆがませて「面倒だなぁ……」と表情で訴えていたツグナは、深いため息をついた。

「やれやれ。どうせそんなことだろうとは思ってたけどさ。お偉いさんに探られるのはシャクで面倒なことこの上ないんだけど……いい機会だから行ってみるかな」
「……ほう、やけに前向きじゃないか。どうしたんだ? 行きたくないと言うかと思ったが」

 やや意外そうに、リリアはピクリと眉を動かした。

「こっちにもメリットがないわけじゃないからね。国王の関係者と繋がりを持てるし、貴族とかの魑魅ちみもうりょう共から余計な詮索せんさくをされない後ろ盾を得られる。加えて、自分の態度をはっきり示せば、そういったやからや他国への牽制けんせいにもなるだろうし」

 そんなことを平然と述べるツグナに、「は、腹黒い……」という言葉が誰かから聞こえてくる。だが当人に大したダメージはなく、ケロリとした顔のまま「ただ利用されるのは嫌いなんだよ」と返答するのであった。


「ちなみに……なんだけどさ」
「うん? 何だ?」

 妙に歯切れの悪い物言いをするツグナに、リリアの質問が飛ぶ。

「もし、だよ? コレ……断ったらどうなるわけ?」

 ふと浮かんだ疑問を聞いた瞬間、リリアの顔がさらに意地悪な笑みに染まった。

「そうだな……重臣、貴族、その他関係部署から『何故国王の命にそむいた』と散々追及された挙句、もっと面倒な事態に陥るだろうな」
「……聞いておいてよかったよ」

 思わず冷や汗をかいたツグナに、リリアはそれも見越していたのか「国王からの招待を蹴る、などという選択はあり得ないなんて、簡単に分かるだろうに」と笑う。

「そりゃ分かっていたけどさ……」

 分かっていても念のためだよ、と付け加えつつも、テンションだだ下がりの態度を崩さないツグナであった。


  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「くふぁ~……」

 窓の外をゆっくり流れていく景色を眺めながら、ツグナはもう何度目かになるあくびをして目の端に浮かぶ涙を拭った。耳朶じだを打つのは馬蹄ばていがリズムよく地を蹴る音のみで、長閑のどか田舎いなか道が続いている。
 招待状を受け取ってから数日後、ツグナたちはリアベルの街まで出向き、迎えに寄こされた馬車に乗った。来て当然と考えられていたからか、手紙には王国の馬車が到着するはずを取っているとの説明があった。
 招待状を受け取った当初は、「面倒だ」のひと言しか思い浮かばなかったのが、ツグナの偽らざる本音ではあった。しかしながら、国のトップからの招待を蹴ることはさすがにできない。結局、ツグナに拒否権などあるはずもなく、国王の待つ王都へと向かっているのだった。
 このイグリア大陸にある三つの国は、それぞれが非常に明確な特徴を有する。
 まず、普段ツグナたちが拠点として利用しているリアベルが属する、ユスティリア王国。ここは大陸南東に位置し、国王を中心とする王国制を敷く国だ。中枢都市ユズノハは俗に「王都」と呼ばれ、そこに王城がそびえる。特徴的なのは、獣人族が五割、人族が三割、妖精族などその他の種族が二割の比率で構成された人民が、へだてなく生活していることだ。各種族間の付き合いは比較的良好で、大きな抗争は起きていない。
 それでいてやや実力主義的な傾向があり、個々人の武力を含めた能力によって、貴族のしゃくが与えられる。
 大陸の南西に位置するのは、メフィストバル帝国である。中枢都市ライラックは「帝都」と呼ばれ、皇帝が住まう宮殿がある。
 この国の特徴としては第一に、魔族中心の国だということが挙げられる。魔族が総人口の約八割を占め、獣人族と人族が残り一割ずつという種族構成が極端にかたよった国なのだ。魔族は魔法を得意とする種族であり、そうした特性を背景にして、魔法学校が多く設立されている。我が道を行く個人主義的な風潮を持つ国だが、皇帝陛下に対する忠誠があるために内部分裂は見受けられない。また魔族中心ながらも、他種族に対してはい的態度を取ってはいない。
 最後が、ツグナの生まれたレバンティリア神聖国である。この国は人族至上主義を掲げる国として有名である。中枢都市レバノイアは「聖都」と呼ばれ、国を治める王族が住まう宮殿がある。排他的でいんしゅう深い面があり、歴史的に見て権力争いが多い。
 種族構成比としては、人族が八割、その他種族が二割だが、人族以外の種族が要職に就くことはない。種族間に大きな溝があり、明確な上下関係が存在している。一方で、現在大陸中に広く伝わる魔法体系理論を構築した国としても有名で、魔法に関する研究に力を入れている。
 そして「しちこうきょうかい」と呼ばれる組織がレバンティリア神聖国の基盤となっており、魔法体系理論はこのしちこう教会が発祥である。


「これでどう?」
「むっ!? そうきたかっ! ……ならばこうだ!」
「それじゃ、私はここね」
「うぎゃぁ! そんな手があったとは!?」

 ツグナが視線を窓から馬車の中に移すと、そこでは四人の女性が二組に分かれて小さなボードを挟み、顔をつき合わせている。


 無邪気に騒ぎながら遊びに興じているのはキリアとソアラだ。彼女たちは八×八のマスに交互に小さな円盤を置いてはひっくり返している。一方、終始無言で盤上の黒と白の小さな駒を移動させているのが、リリアとシルヴィである。
 このように馬車の中には対極的な空気が入り交じってはいるが、それぞれが遊戯ゲームたのしんでいる様子に、ツグナはふと顔を綻ばせた。異世界の人たちがこうして地球の遊びに興じていることに、少なからず感動を覚えたからだ。

(世界が変わっても、時代背景が違っても、人の根っこは同じ……ということか?)

 ツグナが胸の内で呟いた言葉など知る由もなく、和気わき藹々あいあいと賑やかな声が飛び交う。
 四人が興じているのはそれぞれ、リバーシとチェスである。どちらもツグナが製作したもので、当初は木工スキルを上げるために訓練の合間を縫って作ったのだった。
 当時は、「ただ作るだけじゃ味気ないな」と考え、リバーシならルールも単純だからとキリアやソアラを誘い、夕食後の軽い楽しみにでもしようかと考えていた。ちなみに、駒の色は削った木に焼きを入れただけの簡易な手法を採用している。

「ほぅ、リバーシというのか、これは……」

 ソアラと遊んでいると、まず興味を示したのはリリアだった。いつもリビングで読書を嗜む彼女だったが、楽しげな二人の声に横からそんな声を掛けてきた。ルールを説明すると「なるほど、単純だが奥が深いな」とリリアは呟き、見る間にのめり込んでいった。その様子はついツグナも苦笑してしまうほどの勢いであった。
 その後「他に何かないのか?」とリリアからせがまれ、ツグナは様々なゲームを製作した。リバーシに始まり、チェス、トランプ、将棋に囲碁、はたまた双六すごろくなど。
 おかげで、当初の目的通り木工スキルは上昇したものの、彼女たちのゲームに散々付き合わされる羽目となった。これを自業自得というべきか、悩むところだろう。
 後にリリアから聞いた話では、この世界ではこうした知的遊戯は乏しく、余暇はもっぱら読書か外で遊んで過ごす、とのことであった。
 ちなみにリリアやシルヴィはチェスと将棋を好み、ソアラはリバーシやトランプをよく楽しんでいる。キリアはオールマイティだが、何故か双六が強いという傾向がある。

(あぁ……平和だなぁ~)

 つい最近、キメラロードという災厄が迫ったとは思えないほど長閑な光景に、ツグナからも自然と笑みが零れるのだった。


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