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3巻

3-2

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 2


 しばらくのんびりと進み、街の門が小さくなって来た頃に、ふと俺は思った。

「エリ、魔法都市にはどれくらいで着くんだ?」

 俺はどのくらい離れているのか知らなかった。

「このペースですと……一ヶ月もあれば到着すると思います」
「いや遠いわ!!」

 エリの返事に、思わず大声でつっこんでしまった。
 一ヶ月だなんて、歩いていられない。そんなに急ぐ旅ではないとはいえ、もっとサクサク移動したいのだが……これでは、他の目的地まで回っていたらとんでもない時間がかかってしまうぞ。

「今のペースがゆっくりすぎるというのもありますが……馬車を使えばもっと短時間で着きますし、かなり楽になるのではないかと」
「ああ、うん。そうだね」

 今更感があった。なんで気づかなかったんだ、俺。
 今から街に戻って馬車を借りるというのも、何だか面倒くさい。それに、お別れの挨拶をした人に会おうものなら、気まずくなるのは目に見えている。

「どこか村はない? そこで馬車を調達しよう」
「村ですか? 一番近いところですと……ここから八〇キロほど進んだところに、アルノ村という村があるみたいですね。今のペースで街道沿いに歩いて行けば、三日ほどで着くとは思いますが」

 俺の質問に、エリはどこから取り出したのか地図を広げて、指差しながら教えてくれる。
 それにしても、一番近い村まで三日か、遠いな……
 一応、テントだったり野宿の準備だったりは空間魔法で収納して持ってきているとはいえ、一番近い村がそこまで遠いとは思っていなかった。いや、一切下調べしてなかった俺が悪いんだけどさ。空間魔法でいつでも帰れると思って気を抜いてたな。
 しょうがない、いっちょ時間短縮をしますか。

「それにシン様、村に着いてもですね、馬車があるとは……キャッ」

 未だに地図とにらめっこしていたエリから、可愛らしい声がれた。

「シ、シン様。は、恥ずかしいです」
「少し我慢しろ。このまま、移動するから」

 今の俺は、いわゆるお姫様抱っこをしていた。
 前に一度やった時は、あまりの恥ずかしさにエリが気絶してしまったのだが、今回は大丈夫みたいだな。
 とはいえ今回もかなり真っ赤になってしまっていて、そんな姿を見ているとこっちまで恥ずかしくなる。

「い、移動なら自分でできるので大丈夫ですよ?」
「違う違う。ペースを上げるから」

 エリは恥ずかしさのあまりか下ろしてくれと頼んでくるが、そういうわけにもいかない。
 俺は全身にMPをまとわせ、身体強化をほどこす。
 この身体強化とは、文字通り身体能力を強化する技だ。MPを纏うことで、攻撃力から防御力まで上昇させることができる。
 今回は主に足に強化を集中し、上半身には風の抵抗を減らすために軽めに張る。そして、お姫様抱っこしているエリも囲っていく。
 実はこの身体強化という技は、自分の身体以外にもMPを纏わせることができるのだ。
 例えば、俺がメイン武器にしている、地球から創造召喚で持ってきた銃。こいつに身体強化の要領でMPを纏わせることで、通常の弾の威力が増し、さらにはMPを圧縮して魔力弾として撃つこともできる。
 そのことが判明した際、武器にも適応するということは、防具やそれ以外でも身体に触れているものならば、身体強化の能力の効果が及ぶのではと俺は考えた。
 そして実際にやってみたところ、他人でも触れている間であれば身体強化が可能になったのだ。
 今回もそれを応用してエリに身体強化を施したというわけだ。何故かというと……

「飛ばすよ」
「ま、待ってください!! そういうのはあらかじめ言ってくれないと……」
「ほれ」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 エリに一声かけた俺は、右足に体重を乗せて一気に地面をる。
『走る』というよりも、どちらかといえば『飛ぶ』に近い状態で、たった一歩で数メートル離れた場所に移動する。
 移動しては蹴る、移動しては蹴る……と繰り返すことで、どんどんと進んでいく。
 さっき地図を見た感じだと、街道は曲がりくねっているところがあるため、村の方角にまっすぐ進んで行けば多少は距離を節約できそうだ。
 エリは一度叫んだ後は、ぎゅっと俺の首に手を回してくっついてきた。
 当然、顔と顔の距離が近づいてくる。いつもならドギマギしているところだが、俺は気にしない、というかそんな余裕はない。何故ならば、ドギマギ以前に……

「エリ! もう少し離れてくれ! 苦しいから、苦しいから!!」

 首をめられていた。


 そうして時々街道かられつつも移動を行うこと、半日。日も傾き始めようかという頃に、俺たちは目的の村の近くまで来ていた。
 ここまでは他の旅人や冒険者とすれ違うこともなかったので走り続けてきたが、そろそろ人の目もあるだろうからということで、現在はエリを下ろして一緒に歩いている。
 そのエリだが、大変ご機嫌ナナメなようです。

「すまない、エリ」
「シン様はもう少し私のことを考えてください。怖かったんですよ」
「時間を短縮しようと思ってやったことだったんだ……」
「まったくもう、これからはもっと私のことを考えてくださいね?」
「ああ、わかった。気をつけるよ」
「約束ですからね?」

 そう言うと、エリはご機嫌な様子で鼻唄はなうたを歌い出した。
 なんだかあっさりすぎる気もするが、気まずい空気のままというのも嫌なので、とりあえずよかった。

「それにしても、ここまで全く他の人とすれ違わなかったな」
「そうですね。決して人通りが多い街道ではないとは思いますが、ここまで誰もいないとは……」
「何度か街道から逸れたから、そのタイミングで気づかないうちにすれ違ってた、ってこともあるかもな……お、どうやらあれのようだな」

 話しているうちに、街道の先に木の門が見えてきた。
 料理の街の門に比べると、かなり小さく、村の周りの囲いも木で作られた簡単なものだ。
 門の前まで移動したところで違和感があった。

「あれ、門番がいないな……」
「門も開いたままですよ」

 門の近くにいるはずの門番の姿がなかったのだ。さらに、門自体も開けっぱなしになっている。
 来るもの拒まず的な方針をとっている村なのかもしれないが、門番がいないのはさすがに不用心ではないだろうか。
 これは、何か事件が起きているという可能性もあるな……

「ここで悩んでいても仕方ない、とりあえず入ってみるか」
「はい」

 俺たちはそのまま門をくぐり、中へ入って行く。
 村の中、路上には誰もいない。家の中にいるのか……それとも、人間は誰もいないのか。

「シン様。ドアをノックしても反応がありません。誰もいないようです」
「そうか」

 エリが何軒か訪ねてみたが、どこも一切反応がなかったようだ。
 これはいよいよ、きな臭くなってきたな。

「とりあえず、もう少し探索するか」

 俺たちは、誰もいない村を一通り歩いてみることにした。
 村といってもたいして大きいわけでもない。そう時間がかかることもなく、見て回ることができるだろう。
 村の中心と思われる方向へ歩いて行くと、ここまで見てきた家よりもひときわ大きくて立派な家が見えてきた。
 もしかするとこの中に人が集まっているかもしれないなと思いつつ、ドアをノックしてみる。
 コン、コン、コン。

「すみません。誰かいませんか?」

 三秒ほど待つが返事はなく、俺はエリと顔を見合わせる。
 ここにも誰もいないのか、そう思った時……
 ガチャ。
 ドアがいきなり開き、その隙間から鉄のかぶとと鎧をつけた青年がこちらをのぞいてきた。
 村の中でも鎧を装備しているということは、この青年は門番か何かなのだろうか。

「冒険者の方ですか?」
「まあ、一応そんなところです」
「……少し待ってください」

 青年はそう言い残してドアを閉める。
 しばらくのあいだ中から話し声が聞こえてきて、それからもう一度ドアが開けられた。

「お待たせしました。中へどうぞ」

 部屋の中は人でいっぱいだった。おそらく、村中の人たちがこの部屋に集まっているのだろう。
 中央にはテーブルがあり、部屋の一番奥には中年の男性が座っている。

「前の方へどうぞ。村長が、話があるそうです」

 先ほどの門番らしき青年が、奥の中年男性を手で示しながらそう言ってくる。
 彼が村長さんなのか。そう思いながら俺は前の方へと進む。
 部屋の中を進むたび、村人の視線が俺たちに集まる。
 ギルドで皆から見られていた時とはまた違った居心地の悪さがある。全く知らない土地で、全く知らない人間から凝視ぎょうしされると、こんなに落ち着かないものなのか。
 俺は堂々と振舞うようにしていたが、内心では動揺どうようしていた。同じく視線を集めているエリは、俺の後ろに隠れながらついてきている。
 それにしても……村の人の様子が少しおかしいような気がする。なんとなくせ細って目が血走っているように感じるが、気のせいだろうか。

「アルノ村へようこそ、冒険者殿。私はこの村のおさのウスマンです」
「お初にお目にかかります。冒険者をしているシンと申します。こちらは妻のエリです」
「シン殿、エリ殿、よくぞこの村においでくださりました。ゆっくりしていってください、と言いたいところなのですが……」

 村長さんは言葉をにごした。何か言い辛いことでもあるのだろうか。

「何かあるのですか?」

 このまま待っていてもらちが明かなさそうなので、こちらから聞いてみる。

「……ええ、せっかく村に来てくださった方にお聞かせするような話ではないのですが、聞いていただけますでしょうか」

 村長さんはそう前置きして、この村の状況を教えてくれた。
 周りの村人たちを見て、なんとなく予想をしていたが、まさに想像通りだった。
 簡単に話をまとめると、この村は現在、深刻な食料不足におちいっているとのことだった。
 備蓄びちくしてある食料を村人全員に配っても、せいぜい三日持つかどうかの瀬戸際せとぎわ
 これまでもかなりギリギリな食生活を送っていたようで、満足な食事を取れていなかったようだ。村人たちがどこか痩せ細って見えたのは、そのせいだった。
 いくらなんでも貯蓄が少なすぎる気もするが、なんでも理由が二つあるらしい。一つ目はモンスターによる食料の強奪、二つ目は貴族による徴発ちょうはつだ。
 どうやらそのモンスターは、人間は襲わずに食料のみを奪っていき、積極的に攻撃してくることはないらしい。動きも素早く、平然とさくを乗り越えていくそうだ。村人も警戒しているものの、襲撃は夜に多く、闇夜やみよまぎれて食料を奪われる、ということを繰り返していて、つい昨日もいつの間にか奪われてしまったと言っていた。
 話を聞く限りは猿っぽい印象だが、猿の魔物とかなのだろうか?
 貴族の方は、お金も払わずに食料をかっさらって行くようだ。基本的に自給自足の体制を取っているこの村にとって、こうした微発は致命的だ。しかも今回は、普段以上に食料を持っていかれた上に、人手不足だと言って村の男性の大多数を連れて行ってしまったらしい。先ほどの鎧の青年だけは門番ということで連れていかれなかったが、その他に残っている男は老人と子供、または持病のある者ばかり。こうなってしまっては狩りにも行けず、街道の危険性から街への買いつけも行けずと、食材を調達する手段が失われてしまっている。
 貴族のところへ抗議しに行くのはそう簡単なことではないし、さらにその貴族が用心棒としてAランクの冒険者を雇ったという噂もあり、諦めるしかないようだった。
 そしてこの先どうするのか、この村長さんの家に村人全員で集まって会議しているところに、俺が現れたというわけだ。
 話を聞き終えた俺は、あごに手を当てながら考え込む。

「なるほど、そういうことでしたか……」
「シン様、なんとか助けてあげられないでしょうか」

 エリが俺の服のそでを引っ張りながら、小声で告げてくる。
 そんな俺たちの様子を見た村長さんは、拳を握りしめながら頭を下げてきた。

「シン殿、大変言い難いことではありますが、どうか、食料を恵んでくれませんか?」
「いいですよ」
「そうですよね、それはさすがに……えっ?」

 村長さんは、俺の返事が想像していたものと違ったようで、聞き返してきた。

「いいですよ。食料を提供します」
「あ、ありがとうございます! ですが本当にいいのですか?」
「はい。ただ、条件があります」

 ここで見返りなくお願いを聞いてあげるほど、俺はお人好ひとよしじゃない。
 というわけで、無理のなさそうな範囲で条件を出すことにする。

「その条件というのは?」
「お金はいらないので、馬車と馬をいただきたいんです」

 おずおずと聞いてきた村長さんに、はっきりと要件を伝える。
 そう、そもそもこの村に来たのは、馬車を確保するためだ。
 村に着いたはいいものの、どうやって手に入れるのか考えていた俺にとって、この展開は非常に好都合だった。
 普通に買おうと思ってはいたが、食材を提供するだけでいいなら、創造召喚で持ってきたものを渡せばいいのだから、実質タダだ。地球の食材だけでは怪しまれるだろうから、料理の街で仕入れて空間魔法でストックしてあるこの世界の野菜たちも一緒に出す必要があるかもしれないが、その仕入れ値だって、今の俺の財産からすれば大して痛くない。それに、これだけ困窮こんきゅうしている人たちからお金をもらうのも罪悪感があった。
 ちなみに、この村へと移動している最中、創造召喚を使って地球から馬車を持ってくることも考えた。
 ただ、馬車だけ召喚しても引いてくれる馬がいないし、地球の馬車がこちらと全く同じとは限らないので、下手をすれば大騒ぎになりかねない。というか、そもそも馬車について詳しくもないため上手くイメージできないだろうから、持ってくることは不可能だろう。

「あの……一ついいですか?」

 俺の要求を聞いた村長さんは、一瞬固まった後、手を挙げて聞いてきた。

「どうぞ」
「馬車はお持ちでない、ということですか?」
「はい? 持っていませんよ? なので欲しいのですが……」

 どういうことだ? 俺は村長さんの質問の意図がわからなかった。
 持っていないから欲しいと言っているのに、何故そんな質問を……
 村長さんは一度目を閉じると、先ほどの鎧の青年に声をかける。

「カイ。この人たちを帰らせてくれ」
「わかりました」

 あの青年、カイって名前なのか。いや、そんなことより、今なんて言った?
 俺が目を見開いていると、カイがこちらへと向き直って口を開く。

「すみません、シンさん。この村からすぐに出て行っていただけますでしょうか」
「どうしてです?」

 急な申し出に、俺は困惑してしまう。さっきまでは歓迎ムードっぽい雰囲気だったのに、急にどうしたんだ。

「それは、シンさんには食料がないからです」
「いえ、持っていますが……」
「おそらくお持ちの荷物の中に入っているのでしょうが、一人二人分ではダメなんです。せめて、この村の全員に配れるくらい、欲を言えば一週間分はないと……」

 そこまで言われて、俺はようやく村長さんが急に態度を変えた理由がわかった。
 そうか、俺たちが食料を持っていないと思われているのか……確かに、馬車もない以上は今の手荷物が全ての荷物だと思われてもしょうがない。
 そんなやつが食料を提供すると言ったって、たいした量を持っているわけがないのだ。しかも、見返りとして馬車と馬を要求されても、釣り合いが取れるわけがない。

「村長さん」
「なんでしょうか、シン殿……たとえおどされても、村の代表として引きませんぞ」

 どんな風に思われているんだ俺は……

「少し時間をいただいてもいいですか? 俺たちが食料を持っている証拠をお見せしますので」

 俺はそう言って、エリを連れて家を出る。
 村人たちは怪訝けげんそうな表情を浮かべているが、気にしない。
 そのまま、村長さんの家のドアや窓からは絶対に見えない位置まで行ったところで、俺は創造召喚を発動した。
 今回持ってきたのは、ジャガイモや玉ねぎ、肉など、この世界でも似たようなものがある食材だ。怪しまれないように、この世界の野菜なんかもしっかりと混ぜておく。

「エリ、一緒に運んでくれ」
「はい」

 とりあえず二人で運べる分だけ出したところで、村長さんの家に戻ることにした。

「お待たせしました」
「何……が……」

 大量の食材を持って入ってきた俺たちを見て、村長さんが絶句する。
 ついさっきまでたいした荷物を持っていなかった俺たちが、こうも大量の食材を持ってきたのが信じられないのか、村長さんが固まっていた。他の村人たちも、目を見開いて驚いている。

「これでもダメでしょうか? 必要であればまだまだあるのですが」

 食材を机にドサッと置いた俺は村長さんに問いかけた。
 村長さんはハッと我に返ったかと思うと、ぶつぶつと呟きながら考え込み始める。
 周りにいる村人たちはその様子をじっと見ているが、誰もしゃべらないせいで妙な圧迫感があって息が詰まりそうだ。

「馬車がないと言っていたのに、これだけの量をどうやって……いや、聞かないほうがいいのでしょうね」

 村長さんは首を振ってため息をつく。

「そうですね、冒険者には、一つや二つ秘密があるものですから」
「ええ……しかし、見たことない食材もあるようですね。タマクなんかに似ていますが、コレは……?」

 そう言いながら村長さんが指差したのは、地球から持ってきた食材――玉ねぎだった。さすがに気づくか。

「詳しいことは秘密ですが、珍しい品種というだけで、タマクの一種ですよ」

 まあ、味なんかも微妙に違うはずだけどな。

「そんなものまでお持ちなのですか……それにまだ食材があるなら、一週間は持ちそうじゃないか……? それなら当初の予定通り依頼をしても……」

 村長さんが再び、ぶつぶつと呟き始める。
 なるほど、ようやく話が見えてきた。

「ええ、まあ。それで、これからのことですが……一週間、俺たちのことを雇いませんか? 元々、そうするつもりだったのでしょう?」

 急な申し出に、村長さんは驚いた表情を浮かべる。
 ついさっきカイが言った一週間分という言葉、そしてたった今の村長さんの言葉にピンときたのだ。
 元々村長さんは俺たちを雇い、街にまで買い付けを頼む予定だったのではないかと。
 彼らが気にしている一週間というのはおそらく、街へと食材を買い付けに行くのに必要な日数だろう。街までは徒歩で三日の距離だから、行って買い付けをして戻ってきて、大体一週間だ。馬車ならもっと早いかもしれないが、道中何があるかもわからないから、余裕を見て一週間、というわけだな。
 つまり彼らは、俺たちから一週間分の食材を買い、その後、別の依頼として食材の買い付けを頼むつもりだったのだろう。
 そのことを伝えると、村長さんは頷いた。

「ええ、まさにその通りです」

 よかった、予想が的中したみたいだ。
 ただ、これだけは言っておかないといけないな。

「ただし、買い付けはそちらのカイさんにお願いしてください。俺たちが行ってしまうと、この食材を見たことない方はどう調理すればいいかわからないでしょう? 俺は冒険者ですが、料理人でもあるので、皆さんに教えながら調理すればいいと思うんです」

 実際のところ、空間魔法を使えば一瞬で料理の街まで行って戻ってこられるが、そんなことをしたら怪しまれるのは目に見えている。
 創造召喚で持ってきた食材を大量に売りつけることも一瞬考えたが、そんなことをしたら秘密がバレてしまうからできない。

「ふむ」

 俺の提案に、村長さんは顎に手を当てて考え込む仕草を見せ――

「ぜひ、雇わせてください」

 にっこりと笑って手を差し出してきた。

「交渉成立ですね」

 俺も微笑みを浮かべ、差し出された手を強く握るのだった。
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