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1巻
1-2
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「あ、アレク・ムーンオルトさん? ここは危険ですし、早く家にお帰りになられては……」
しかし、アレクはその言葉通りにはできない。ついさっき、家を追放されてしまったのだから。
言いづらそうに、アレクは女性に答えを返した。
「ご、ごめんなさい。僕、家を追い出されちゃったんです」
「……え? 私ったら耳がおかしくなったのかしら。すみません、もう一回言ってもらえますか?」
目を瞬かせた女性は、笑みを浮かべてそう頼んだ。
「僕は、追い出されました」
女性はまだピンときていないらしく、首を傾げている。
「……追い出されたって、どこから?」
「家。つまり、ムーンオルト家から」
「はああああああっ!?」
驚きのあまり絶叫した女性に、アレクは仕方なく経緯を説明する。
家族からこの紫の髪と瞳を気味悪いと言われ、ずっと遠ざけられて過ごしてきたこと。
そして、とうとう今日、家を追い出されてしまったこと。
全てを聞き終えた女性は、信じられないとばかりに額に手を当ててため息をついた。
しばらくそのまま固まっていたが、ようやくポーズを崩してアレクに向き直る。
何と言えばいいか迷ったすえに、普通に対応することに決めた。
「そうだったんですか……それはお気の毒に。……ということはあなた、もうムーンオルト家の一員ではないのですね?」
「あ、はい」
「じゃあ、堅苦しい敬語はやめるわ。でも、可哀想ね……こんなに綺麗な紫なのに」
自分がムーンオルト家だと、敬語を使わなければならないのだろうか……と疑問に思うアレク。
が、さらりと髪を触られて、くすぐったさでその疑問はかき消されてしまった。
女性は難しい顔をしながら、ブツブツと独り言を言い始める。
「紫の髪に瞳……突然変異? いや、そんなことってあるのかしら……」
「あのー……」
「あっ! ごめんね。私、リリーナ・オルフィス。よろしくね」
「はいっ、よろしくお願いします」
明るい茶髪の女性、リリーナと握手を交わしてアレクは微笑んだ。
自分を受け入れてくれそうな人に出会ってアレクが安心していると、リリーナは思いついたように口にする。
「ねえ、あなたの紫の髪と瞳、目立つから染めたら?」
「そっ、染める?」
驚きながらアレクが聞き返すと、リリーナが「まさか……」と目を丸くした。
「あなた……染める方法、知らない?」
「はい」
「あー……世の中にはとんだ世間知らずの貴族がいるのねー」
「きぞく?」
「……はいはい、わかった。一から説明していくから、いい? ただ、ここは危ないので手短にするわ」
「お、お願いします」
言い聞かせるようなリリーナの態度に気圧され、思わず頷くアレク。
それに満足したのか、リリーナは自慢げに説明を始めた。
「えっと、まず染めるっていうのは……実際にやってみるね。カラーリング」
「!?」
チョンッとアレクの髪にリリーナの指先が触れる。
その瞬間、じわわっとまるで絵の具が染み込んでいくように、アレクの髪と瞳の色は見事金色になった。
「これでどこにでもいる普通の男の子だよ」
「うわぁ~……」
少し長めの自分の髪を触りながら、アレクは不思議でしょうがないといった声を上げた。
リリーナはクスリと笑い、説明する。
「カラーリングっていうのは、自分の髪や目の色を染める魔法よ。簡単だから、習得してみれば?」
「すっ、凄い! ありがとう!」
輝くばかりの笑顔を向けられ、リリーナは恥ずかしくなり赤面してぷいと顔を逸らす。
それを見てアレクは不思議そうに首を傾げた。
「……?」
「あーもー、次よ次! 貴族っていうのは所謂お偉いさんね。ムーンオルト家はもちろん、私も貴族よ」
「???」
「……偉い人! お金持ち! これでいい?」
「いっ、いいです!」
雑すぎるリリーナの説明に違和感を覚えながらも、アレクは頷いた。
リリーナがあとは何を説明すべきかと考えていた、その時――
「キャルフィ!! そんなぁ!!」
「! しまったっ……」
突然、リリーナが叫び声の聞こえてきた方へ全速力で駆け出し、アレクも戸惑いながら慌てて後をついていく。
しばらく走っていくと、瓦礫の上に座り込む人影が見えてきた。
その人影を見つけたリリーナが、焦ったように叫ぶ。
「ティール!! 大丈夫!?」
「リ、リリーナァ……キャルフィが、キャルフィが……」
緑の髪と瞳をした女性が、涙で頬を濡らしながら白馬を抱きしめていた。
見れば、白馬がうつ伏せになって倒れており、その白く引き締まった体は血に濡れていた。
女性は嗚咽を堪えながらたどたどしく説明する。
「魔物が、やってきて、キャルフィが、私のこと守って――」
キャルフィというのは白馬の名前らしい。
それ以上は言葉にできないようで、緑髪の女性は俯いて声を上げて泣きだしてしまった。
白馬は、きっと緑髪の女性の大事な仲間だったのだろう。
すっとアレクは白馬に近づき、首元に手を当てた。
「……まだ、生きてる」
「え!? ……でも、この傷じゃもう……」
「治せるよ!!」
アレクは白馬――キャルフィに手を当て、ありったけの魔力を注ぎ込んだ。
昔から、落ちこぼれの自分に唯一できたこと。
それが、治癒魔法だった。
「ハイパーエクストラヒール!!」
パアアアアッ!
「え……」
「う、嘘、でしょ?」
眩い光が収まった後……キャルフィが何事もなかったかのように立ち上がった。
「キャルフィィィ!!」
今度は感動と喜びで泣き叫び、抱きしめる腕に力を込める緑髪の女性。
キャルフィは少々暑苦しそうにしているが、大丈夫なようだ。
緑髪の女性がアレクに向き直った。
「あなた、助けてくれてありがとう! ……でも、超上級の治癒魔法を使って平然としてるなんて……リリーナ。この子、誰?」
「ええと。僕は……モゴッ!?」
「迷子よ迷子っ!! 確か記憶喪失でっ!! 私が預かることにしたのよ~!!」
慌てるリリーナに口を塞がれてしまい、アレクは驚いて暴れる。
それを必死で押さえるリリーナ。
(ここは黙ってたほうが……よ……さそう……って何、この子!? すっごくひ弱そうなのにめっちゃ押さえるの苦労する!)
リリーナはアレクの腕力に戸惑いながらも、緑髪の女性に向けてぎこちない作り笑いを続けた。
「ふぅん……どうにも怪しいわね」
「あは、あはははは~」
「棒読みな笑い方だし……」
ジロジロと、疑うような緑髪の女性の視線を必死でかわし、リリーナは冷や汗をかきながら心の中で叫んだ。
(頼む! 見逃してくれぇっ!)
「……ま、いっか!」
緑髪の女性が諦めてくれて、ほっと胸を撫で下ろすリリーナ。
それと同時に、やっとリリーナの拘束から解放されたアレクが、ふう、と安堵の息を吐いた。
そんなアレクを興味深そうに見つめてから、緑髪の女性は自己紹介をする。
「私はティール・ルージェント。貴族よ。あなた、名前は?」
「僕は、アレク・ムーンオルトです」
リリーナが止めようとするも、先にアレクが答えてしまう。
アレクの名前を聞いて、ティールは怪訝そうな顔をした。
そして、くるりとリリーナの方へ向いて問い詰める。
「ちょっとちょっと! 記憶喪失じゃなかったの!? きっちり名前覚えてるじゃない! それに……ムーンオルトって」
「そう! 英雄一族のね! でも、ここまでどうやって来たかは覚えてないの! 軽度の記憶喪失! あははは~」
「あんた……嘘が下手だよねぇ。ねえアレク君。あなた、何も覚えてない?」
「えっと……覚えてます」
アレクは戸惑いながらも、ティールに真実を告げた。
それを聞いたティールが納得したように頷き、リリーナはしまったと硬直している。
ティールはリリーナをギロリと睨みつけた。
「リリーナ……? あなた、どういうつもり……?」
「……参りました。全部話しますよ」
しぶしぶとリリーナは白旗を掲げる。
ティールは呆れながらも、リリーナに強い口調で聞いた。
「なんで嘘ついたの?」
「……この子、家から追い出されたんだって」
「……はぁ?」
「だから、その……しょうがないか。カラーリング、解除」
すると、ジワワワワッと絵の具が落ちるかのように、アレクの髪や瞳の金色が溶けていく。
「……嘘、でしょ?」
「この子、髪と瞳が紫なのよね」
「あの、その……なんか、ごめんなさい?」
アレクの髪と瞳を見て、開いた口が塞がらないティール。思わずアレクの髪を触って何度もまばたきをパチパチと繰り返し、呆然とリリーナに質問を繰り返す。
「あの、さ。人間に紫髪っていたっけ?」
「いないわね」
「じゃあ、アレク君は別の種族なの?」
「人間よ」
「……なんで紫?」
「……突然変異? 私もわからないわよ。でも、こんな事情だから説明しづらくて。それに……ほら……あんた、口が軽いじゃない? すぐに言いふらしそうだし……」
「失礼ね!」
プンスカと地団駄を踏んで怒るティール。
が、すぐにそれは疑問の表情に変わる。
「……それにしても、何かバラしてマズいことでもあるの?」
「頭使って! 彼の髪や瞳の色が突然変異だったとして……変な連中に知られたら実験場送りになるかもよっ!?」
「じ、実験場!?」
その言葉にサーッと顔を青くしたのはアレクだ。
実験場など、何をされるかわかったものじゃない。そこは全力で遠慮したい。
リリーナの説明はまだ続く。
「紫の髪に瞳なんて……前例がないから異端児として扱われるかもしれないし、アレク君が危険よ。注目もされるし……だったら、黙っていたほうがいいだろう、と思ったの。実際、アレク君はその髪と瞳の色が原因で家から追い出されたらしいし」
「あっ、はい。そうなんです。昔からずっと気味悪がられてて……」
しかし、ティールはどこか腑に落ちない様子だ。
「こんなに可愛いのに」
「そうね。でも、そうは思わない人の悪意がアレク君に向くかもしれない。だから、カラーリングしたの」
「へえ。あんた……ちゃんと考えてるのね」
ティールが納得して頷いたのを見て、リリーナはほっとした……のだが。
「じゃあ、英雄一族がアレク君を追い出したって、普通に言っちゃえばいいじゃない!」
「……人の話、聞いてた?」
「だ~か~ら! そんな非道なことをしたと世間に知られれば、ムーンオルト家は一気に落ちぶれるでしょ? 一矢報いるならそれがいいじゃない!」
「バ、バカァ! アレク君が家に帰れなくなるし、保護者がいなくなっちゃうでしょ!?」
「私達がなればいいじゃん」
「んもぉ!」
二人がしばらく言い合っていたので、アレクはおずおずと間に入った。
「あの……僕が英雄一族だってこと、黙っててもらえません?」
「え!?」
「ほら! アレク君だってゴチャゴチャは嫌よね?」
リリーナが同意を求めるが、アレクは首を振る。
「そうじゃなくて……いや、それもあるけど。騒がれたくないんです。なるべく、目立ちたくない。だから……今日から僕は、ただのアレクです」
アレクの真剣な様子を見て、リリーナとティールは表情を引き締める。
「アレク君……わかったわ! 黙ってる!」
「ティールと一緒に頑張るからね!」
不安そうに震えるアレクを見て、二人は任せろとばかりに自らの胸をドンと叩く。
リリーナとティールががっちりと決めた誓いだった。
◆ ◆ ◆
その後、リリーナとティールが周囲を調べた限り、近くに魔物はいなかった。
ティールの前に現れた魔物も、別の獲物を見つけたのか、立ち去ったらしい。
落ち着いたところで、リリーナは改めて質問する。
「アレク君。あなた、行く当てはある?」
「あ、ないです。だから、これからどうしようかと……」
困ったアレクは腕を組んで唸った。
それを見て、ティールがにんまりと笑う。
リリーナはティールが何を言い出すのか感づき、ギョッとして彼女を見つめた。
一方、ティールもリリーナが自分と同じことを考えていると読み、先手必勝とばかりに胸を張って言い放つ。
「そう……じゃ、私が面倒を見るわ! 安心して、アレク君!」
「ティール!? 私が見るのよっ!!」
ティールの肩を押さえて、大声で割り込むリリーナ。
一歩も譲らず、軽く睨み合う二人をよそに、アレクは周囲を見渡した。
(ここは――瓦礫ばっかりだ)
『街』というより廃墟というべきであろう凄まじい荒れっぷりは、アレクが初めて見るものだった。草木は枯れ、動物一匹すらいなそうだ。
アレクは、リリーナとティールに向き直った。取っ組み合いを始めた二人に、遠慮しながらも声をかける。
「あの……」
「「ふぇ?」」
二人はアレクに気がつき、取っ組み合いをやめた。
アレクはそのことにほっとしながら、気になっていたことを質問する。
「ここって、街……じゃないですよね?」
「ええ。ここはナハールの街の隣街だったけど、数日前に魔物が複数発生して壊滅しちゃったの。で、その発生した魔物というのがフレイムドラゴン」
「ドラゴンッ!?」
アレクは素っ頓狂な声を上げた。
それもそのはず、ドラゴンといえば強大な力を持ち、腕利きの戦士でなければ戦うことは困難。一般的な兵士程度では命の危険があると言われているのだ。
ドラゴンが複数発生――それはもう、地獄のような被害となるだろう。
リリーナは頷くと、話を続ける。
「ドラゴンが複数発生だなんて、信じられないわよね。そのドラゴンはどんどん人を殺していったけど、人もドラゴンを倒していった。そうして何とかドラゴンの数を減らしたものの、まだ残りがいるみたいで。私達のところにも依頼が来てね……私達は、ナハールの街から討伐しに来たの」
「依頼?」
「ええ。私達は英雄学園に通いながら、ギルドにも所属しているのよ」
リリーナが少々自慢げにえへん、と説明してみせた。
が、アレクはキョトンとして、聞き慣れない単語を繰り返す。
「英雄学園……? ギルド?」
「……まさか、知らないなんて言わないわよね?」
「知らないです!」
「はぁ~~~」
深くため息をつき、「まさか、ここまで世間知らずだったなんて……」と思わずこぼすリリーナ。
そんなリリーナに代わってティールが説明する。
「いい? 英雄学園っていうのは、英雄を育てる学校のことよ! 英雄はつまり、あなたのご先祖様みたいな人のことね! もっとも、そこに通えるのは才能・知識ともに優れた生徒だけだけど……入ったら楽しく授業を受けられるし、世間の憧れの的にもなれるわ!」
「へぇえ~! 僕も通ってみたいですっ! 入れますか?」
「えっ? ……確か英雄学園に入れるのは十二歳からで……」
「入れないんですか……」
アレクは入学できないと聞いてしゅん、と落ち込んだ。
それを見て、ティールの目が僅かに潤む。
しかし涙を拭き取って気を取り直し、ドンと胸に手を当てて宣言した。
「……まかせて! 私が学園長先生を説得してみせるわ!」
「簡単に言うけど、果たして納得してくれるかしらねー」
リリーナが諦めたような口調で言うが、ティールは張り切って「まかせてよーっ!」と燃えている。その勢いのまま、説明を続けた。
「次に! ギルドっていうのは、ランクごとの依頼をこなしてお金を貰うところよ。あなたのお姉さんとお兄さんも入ってるでしょ? まあ……二人は伝説のSSSランクだけど」
「はい! 入ってます! そっか、それでよく姉様と兄様は『依頼が入った』って言ってたんだ……」
ガディとエルルはどこかに出かける時、「おのれ……依頼めっ!! アレク、ごめんねぇ~!」とよく言っていた。そして、別れ際に毎回撫でられまくっていたことを思い出したのだ。
すると、ティールがビシッと鋭く人差し指をアレクに突きつけて言う。
「とにかく! 話を戻すけれど、アレク君。ここには今後、一切近づいたらダメだよ? Aランクのフレイムドラゴンがいるから」
「フレイムドラゴン……とっても、危険なんですね?」
「会ったら、超危険。間違いなくアウト。オッケー?」
「お、おっけー」
迫りながら言うティールに、アレクは深く頷いた。
それを見て安心したらしく、ティールは大きく息を吐く。
話が一区切りついたところで、リリーナがパンと手を叩いて二人の注目を集めた。
「よし! じゃあ、街に戻ろうか。アレク君の今後のことはすぐに対応する必要があるし、依頼は断りましょう。他にも受けている人がいたから、問題ないはずよ」
「わかった! キャルフィ、立てる?」
「ヒヒィイン!」
ティールの問いかけに答えるように、キャルフィは強くいなないた。
そうして、三人と一頭は、街に向かって歩きだした。
第四話 アレク、学園へ
廃墟を出てからおよそ三十分後、アレク達はナハールの街についた。
大通りにはいろいろな店が並んでおり、石畳の道は先が見えないほど遠くまで続いている。
流石、王都だけあって、街は活気に満ち溢れていた。
リリーナは意気揚々とアレクに言う。
「さあ~ついたわよ! ここが、ナハールの街!」
「わぁあ~!」
アレクは久しぶりに見るナハールの街に、すっかり感動していた。
人々の賑やかで楽しそうな様子を眺めるのが昔から好きだったのだが、もう一度この光景を目にすることができ、とても嬉しい。
両親がアレクの存在を隠そうとするので、これまであまり外出できなかったのだ。
それに、ムーンオルト家は使用人の数は多いのだが、皆どんよりとしていた。まるで、屋敷内に雨が降っているかのように。
アレクと話す時には皆、笑顔になってくれる。が、その表情には疲れがある気もした。
そんな雰囲気とは全く異なる街を見渡し、アレクの頬は自然と緩む。
すると、リリーナが「行くよ!」と一声かけて、アレクに手を差し出した。
その手を掴み、アレクは頷く。
リリーナはそれを確認すると、手を引いて歩きだした。
……後ろでキャルフィと歩くティールが、ぐぬぬ、と羨ましそうな顔で見ていたことに、アレクは気がつかない。
リリーナはティールに見せつけるように、自慢げな表情で歩いていた。
アレクはというと、いろいろなものに目移りしてしょうがない。
ふと、道の先に水が出る白塗りの大きな機械が置いてあることに気づいた。
本で見たことがあるし、昔、ナハールの街に来た時も、一緒にいた兄と姉にこの機械の名前を聞いた覚えがある。
けれど、どうしても思い出せないので、アレクはリリーナに聞いてみることにした。
しかし、アレクはその言葉通りにはできない。ついさっき、家を追放されてしまったのだから。
言いづらそうに、アレクは女性に答えを返した。
「ご、ごめんなさい。僕、家を追い出されちゃったんです」
「……え? 私ったら耳がおかしくなったのかしら。すみません、もう一回言ってもらえますか?」
目を瞬かせた女性は、笑みを浮かべてそう頼んだ。
「僕は、追い出されました」
女性はまだピンときていないらしく、首を傾げている。
「……追い出されたって、どこから?」
「家。つまり、ムーンオルト家から」
「はああああああっ!?」
驚きのあまり絶叫した女性に、アレクは仕方なく経緯を説明する。
家族からこの紫の髪と瞳を気味悪いと言われ、ずっと遠ざけられて過ごしてきたこと。
そして、とうとう今日、家を追い出されてしまったこと。
全てを聞き終えた女性は、信じられないとばかりに額に手を当ててため息をついた。
しばらくそのまま固まっていたが、ようやくポーズを崩してアレクに向き直る。
何と言えばいいか迷ったすえに、普通に対応することに決めた。
「そうだったんですか……それはお気の毒に。……ということはあなた、もうムーンオルト家の一員ではないのですね?」
「あ、はい」
「じゃあ、堅苦しい敬語はやめるわ。でも、可哀想ね……こんなに綺麗な紫なのに」
自分がムーンオルト家だと、敬語を使わなければならないのだろうか……と疑問に思うアレク。
が、さらりと髪を触られて、くすぐったさでその疑問はかき消されてしまった。
女性は難しい顔をしながら、ブツブツと独り言を言い始める。
「紫の髪に瞳……突然変異? いや、そんなことってあるのかしら……」
「あのー……」
「あっ! ごめんね。私、リリーナ・オルフィス。よろしくね」
「はいっ、よろしくお願いします」
明るい茶髪の女性、リリーナと握手を交わしてアレクは微笑んだ。
自分を受け入れてくれそうな人に出会ってアレクが安心していると、リリーナは思いついたように口にする。
「ねえ、あなたの紫の髪と瞳、目立つから染めたら?」
「そっ、染める?」
驚きながらアレクが聞き返すと、リリーナが「まさか……」と目を丸くした。
「あなた……染める方法、知らない?」
「はい」
「あー……世の中にはとんだ世間知らずの貴族がいるのねー」
「きぞく?」
「……はいはい、わかった。一から説明していくから、いい? ただ、ここは危ないので手短にするわ」
「お、お願いします」
言い聞かせるようなリリーナの態度に気圧され、思わず頷くアレク。
それに満足したのか、リリーナは自慢げに説明を始めた。
「えっと、まず染めるっていうのは……実際にやってみるね。カラーリング」
「!?」
チョンッとアレクの髪にリリーナの指先が触れる。
その瞬間、じわわっとまるで絵の具が染み込んでいくように、アレクの髪と瞳の色は見事金色になった。
「これでどこにでもいる普通の男の子だよ」
「うわぁ~……」
少し長めの自分の髪を触りながら、アレクは不思議でしょうがないといった声を上げた。
リリーナはクスリと笑い、説明する。
「カラーリングっていうのは、自分の髪や目の色を染める魔法よ。簡単だから、習得してみれば?」
「すっ、凄い! ありがとう!」
輝くばかりの笑顔を向けられ、リリーナは恥ずかしくなり赤面してぷいと顔を逸らす。
それを見てアレクは不思議そうに首を傾げた。
「……?」
「あーもー、次よ次! 貴族っていうのは所謂お偉いさんね。ムーンオルト家はもちろん、私も貴族よ」
「???」
「……偉い人! お金持ち! これでいい?」
「いっ、いいです!」
雑すぎるリリーナの説明に違和感を覚えながらも、アレクは頷いた。
リリーナがあとは何を説明すべきかと考えていた、その時――
「キャルフィ!! そんなぁ!!」
「! しまったっ……」
突然、リリーナが叫び声の聞こえてきた方へ全速力で駆け出し、アレクも戸惑いながら慌てて後をついていく。
しばらく走っていくと、瓦礫の上に座り込む人影が見えてきた。
その人影を見つけたリリーナが、焦ったように叫ぶ。
「ティール!! 大丈夫!?」
「リ、リリーナァ……キャルフィが、キャルフィが……」
緑の髪と瞳をした女性が、涙で頬を濡らしながら白馬を抱きしめていた。
見れば、白馬がうつ伏せになって倒れており、その白く引き締まった体は血に濡れていた。
女性は嗚咽を堪えながらたどたどしく説明する。
「魔物が、やってきて、キャルフィが、私のこと守って――」
キャルフィというのは白馬の名前らしい。
それ以上は言葉にできないようで、緑髪の女性は俯いて声を上げて泣きだしてしまった。
白馬は、きっと緑髪の女性の大事な仲間だったのだろう。
すっとアレクは白馬に近づき、首元に手を当てた。
「……まだ、生きてる」
「え!? ……でも、この傷じゃもう……」
「治せるよ!!」
アレクは白馬――キャルフィに手を当て、ありったけの魔力を注ぎ込んだ。
昔から、落ちこぼれの自分に唯一できたこと。
それが、治癒魔法だった。
「ハイパーエクストラヒール!!」
パアアアアッ!
「え……」
「う、嘘、でしょ?」
眩い光が収まった後……キャルフィが何事もなかったかのように立ち上がった。
「キャルフィィィ!!」
今度は感動と喜びで泣き叫び、抱きしめる腕に力を込める緑髪の女性。
キャルフィは少々暑苦しそうにしているが、大丈夫なようだ。
緑髪の女性がアレクに向き直った。
「あなた、助けてくれてありがとう! ……でも、超上級の治癒魔法を使って平然としてるなんて……リリーナ。この子、誰?」
「ええと。僕は……モゴッ!?」
「迷子よ迷子っ!! 確か記憶喪失でっ!! 私が預かることにしたのよ~!!」
慌てるリリーナに口を塞がれてしまい、アレクは驚いて暴れる。
それを必死で押さえるリリーナ。
(ここは黙ってたほうが……よ……さそう……って何、この子!? すっごくひ弱そうなのにめっちゃ押さえるの苦労する!)
リリーナはアレクの腕力に戸惑いながらも、緑髪の女性に向けてぎこちない作り笑いを続けた。
「ふぅん……どうにも怪しいわね」
「あは、あはははは~」
「棒読みな笑い方だし……」
ジロジロと、疑うような緑髪の女性の視線を必死でかわし、リリーナは冷や汗をかきながら心の中で叫んだ。
(頼む! 見逃してくれぇっ!)
「……ま、いっか!」
緑髪の女性が諦めてくれて、ほっと胸を撫で下ろすリリーナ。
それと同時に、やっとリリーナの拘束から解放されたアレクが、ふう、と安堵の息を吐いた。
そんなアレクを興味深そうに見つめてから、緑髪の女性は自己紹介をする。
「私はティール・ルージェント。貴族よ。あなた、名前は?」
「僕は、アレク・ムーンオルトです」
リリーナが止めようとするも、先にアレクが答えてしまう。
アレクの名前を聞いて、ティールは怪訝そうな顔をした。
そして、くるりとリリーナの方へ向いて問い詰める。
「ちょっとちょっと! 記憶喪失じゃなかったの!? きっちり名前覚えてるじゃない! それに……ムーンオルトって」
「そう! 英雄一族のね! でも、ここまでどうやって来たかは覚えてないの! 軽度の記憶喪失! あははは~」
「あんた……嘘が下手だよねぇ。ねえアレク君。あなた、何も覚えてない?」
「えっと……覚えてます」
アレクは戸惑いながらも、ティールに真実を告げた。
それを聞いたティールが納得したように頷き、リリーナはしまったと硬直している。
ティールはリリーナをギロリと睨みつけた。
「リリーナ……? あなた、どういうつもり……?」
「……参りました。全部話しますよ」
しぶしぶとリリーナは白旗を掲げる。
ティールは呆れながらも、リリーナに強い口調で聞いた。
「なんで嘘ついたの?」
「……この子、家から追い出されたんだって」
「……はぁ?」
「だから、その……しょうがないか。カラーリング、解除」
すると、ジワワワワッと絵の具が落ちるかのように、アレクの髪や瞳の金色が溶けていく。
「……嘘、でしょ?」
「この子、髪と瞳が紫なのよね」
「あの、その……なんか、ごめんなさい?」
アレクの髪と瞳を見て、開いた口が塞がらないティール。思わずアレクの髪を触って何度もまばたきをパチパチと繰り返し、呆然とリリーナに質問を繰り返す。
「あの、さ。人間に紫髪っていたっけ?」
「いないわね」
「じゃあ、アレク君は別の種族なの?」
「人間よ」
「……なんで紫?」
「……突然変異? 私もわからないわよ。でも、こんな事情だから説明しづらくて。それに……ほら……あんた、口が軽いじゃない? すぐに言いふらしそうだし……」
「失礼ね!」
プンスカと地団駄を踏んで怒るティール。
が、すぐにそれは疑問の表情に変わる。
「……それにしても、何かバラしてマズいことでもあるの?」
「頭使って! 彼の髪や瞳の色が突然変異だったとして……変な連中に知られたら実験場送りになるかもよっ!?」
「じ、実験場!?」
その言葉にサーッと顔を青くしたのはアレクだ。
実験場など、何をされるかわかったものじゃない。そこは全力で遠慮したい。
リリーナの説明はまだ続く。
「紫の髪に瞳なんて……前例がないから異端児として扱われるかもしれないし、アレク君が危険よ。注目もされるし……だったら、黙っていたほうがいいだろう、と思ったの。実際、アレク君はその髪と瞳の色が原因で家から追い出されたらしいし」
「あっ、はい。そうなんです。昔からずっと気味悪がられてて……」
しかし、ティールはどこか腑に落ちない様子だ。
「こんなに可愛いのに」
「そうね。でも、そうは思わない人の悪意がアレク君に向くかもしれない。だから、カラーリングしたの」
「へえ。あんた……ちゃんと考えてるのね」
ティールが納得して頷いたのを見て、リリーナはほっとした……のだが。
「じゃあ、英雄一族がアレク君を追い出したって、普通に言っちゃえばいいじゃない!」
「……人の話、聞いてた?」
「だ~か~ら! そんな非道なことをしたと世間に知られれば、ムーンオルト家は一気に落ちぶれるでしょ? 一矢報いるならそれがいいじゃない!」
「バ、バカァ! アレク君が家に帰れなくなるし、保護者がいなくなっちゃうでしょ!?」
「私達がなればいいじゃん」
「んもぉ!」
二人がしばらく言い合っていたので、アレクはおずおずと間に入った。
「あの……僕が英雄一族だってこと、黙っててもらえません?」
「え!?」
「ほら! アレク君だってゴチャゴチャは嫌よね?」
リリーナが同意を求めるが、アレクは首を振る。
「そうじゃなくて……いや、それもあるけど。騒がれたくないんです。なるべく、目立ちたくない。だから……今日から僕は、ただのアレクです」
アレクの真剣な様子を見て、リリーナとティールは表情を引き締める。
「アレク君……わかったわ! 黙ってる!」
「ティールと一緒に頑張るからね!」
不安そうに震えるアレクを見て、二人は任せろとばかりに自らの胸をドンと叩く。
リリーナとティールががっちりと決めた誓いだった。
◆ ◆ ◆
その後、リリーナとティールが周囲を調べた限り、近くに魔物はいなかった。
ティールの前に現れた魔物も、別の獲物を見つけたのか、立ち去ったらしい。
落ち着いたところで、リリーナは改めて質問する。
「アレク君。あなた、行く当てはある?」
「あ、ないです。だから、これからどうしようかと……」
困ったアレクは腕を組んで唸った。
それを見て、ティールがにんまりと笑う。
リリーナはティールが何を言い出すのか感づき、ギョッとして彼女を見つめた。
一方、ティールもリリーナが自分と同じことを考えていると読み、先手必勝とばかりに胸を張って言い放つ。
「そう……じゃ、私が面倒を見るわ! 安心して、アレク君!」
「ティール!? 私が見るのよっ!!」
ティールの肩を押さえて、大声で割り込むリリーナ。
一歩も譲らず、軽く睨み合う二人をよそに、アレクは周囲を見渡した。
(ここは――瓦礫ばっかりだ)
『街』というより廃墟というべきであろう凄まじい荒れっぷりは、アレクが初めて見るものだった。草木は枯れ、動物一匹すらいなそうだ。
アレクは、リリーナとティールに向き直った。取っ組み合いを始めた二人に、遠慮しながらも声をかける。
「あの……」
「「ふぇ?」」
二人はアレクに気がつき、取っ組み合いをやめた。
アレクはそのことにほっとしながら、気になっていたことを質問する。
「ここって、街……じゃないですよね?」
「ええ。ここはナハールの街の隣街だったけど、数日前に魔物が複数発生して壊滅しちゃったの。で、その発生した魔物というのがフレイムドラゴン」
「ドラゴンッ!?」
アレクは素っ頓狂な声を上げた。
それもそのはず、ドラゴンといえば強大な力を持ち、腕利きの戦士でなければ戦うことは困難。一般的な兵士程度では命の危険があると言われているのだ。
ドラゴンが複数発生――それはもう、地獄のような被害となるだろう。
リリーナは頷くと、話を続ける。
「ドラゴンが複数発生だなんて、信じられないわよね。そのドラゴンはどんどん人を殺していったけど、人もドラゴンを倒していった。そうして何とかドラゴンの数を減らしたものの、まだ残りがいるみたいで。私達のところにも依頼が来てね……私達は、ナハールの街から討伐しに来たの」
「依頼?」
「ええ。私達は英雄学園に通いながら、ギルドにも所属しているのよ」
リリーナが少々自慢げにえへん、と説明してみせた。
が、アレクはキョトンとして、聞き慣れない単語を繰り返す。
「英雄学園……? ギルド?」
「……まさか、知らないなんて言わないわよね?」
「知らないです!」
「はぁ~~~」
深くため息をつき、「まさか、ここまで世間知らずだったなんて……」と思わずこぼすリリーナ。
そんなリリーナに代わってティールが説明する。
「いい? 英雄学園っていうのは、英雄を育てる学校のことよ! 英雄はつまり、あなたのご先祖様みたいな人のことね! もっとも、そこに通えるのは才能・知識ともに優れた生徒だけだけど……入ったら楽しく授業を受けられるし、世間の憧れの的にもなれるわ!」
「へぇえ~! 僕も通ってみたいですっ! 入れますか?」
「えっ? ……確か英雄学園に入れるのは十二歳からで……」
「入れないんですか……」
アレクは入学できないと聞いてしゅん、と落ち込んだ。
それを見て、ティールの目が僅かに潤む。
しかし涙を拭き取って気を取り直し、ドンと胸に手を当てて宣言した。
「……まかせて! 私が学園長先生を説得してみせるわ!」
「簡単に言うけど、果たして納得してくれるかしらねー」
リリーナが諦めたような口調で言うが、ティールは張り切って「まかせてよーっ!」と燃えている。その勢いのまま、説明を続けた。
「次に! ギルドっていうのは、ランクごとの依頼をこなしてお金を貰うところよ。あなたのお姉さんとお兄さんも入ってるでしょ? まあ……二人は伝説のSSSランクだけど」
「はい! 入ってます! そっか、それでよく姉様と兄様は『依頼が入った』って言ってたんだ……」
ガディとエルルはどこかに出かける時、「おのれ……依頼めっ!! アレク、ごめんねぇ~!」とよく言っていた。そして、別れ際に毎回撫でられまくっていたことを思い出したのだ。
すると、ティールがビシッと鋭く人差し指をアレクに突きつけて言う。
「とにかく! 話を戻すけれど、アレク君。ここには今後、一切近づいたらダメだよ? Aランクのフレイムドラゴンがいるから」
「フレイムドラゴン……とっても、危険なんですね?」
「会ったら、超危険。間違いなくアウト。オッケー?」
「お、おっけー」
迫りながら言うティールに、アレクは深く頷いた。
それを見て安心したらしく、ティールは大きく息を吐く。
話が一区切りついたところで、リリーナがパンと手を叩いて二人の注目を集めた。
「よし! じゃあ、街に戻ろうか。アレク君の今後のことはすぐに対応する必要があるし、依頼は断りましょう。他にも受けている人がいたから、問題ないはずよ」
「わかった! キャルフィ、立てる?」
「ヒヒィイン!」
ティールの問いかけに答えるように、キャルフィは強くいなないた。
そうして、三人と一頭は、街に向かって歩きだした。
第四話 アレク、学園へ
廃墟を出てからおよそ三十分後、アレク達はナハールの街についた。
大通りにはいろいろな店が並んでおり、石畳の道は先が見えないほど遠くまで続いている。
流石、王都だけあって、街は活気に満ち溢れていた。
リリーナは意気揚々とアレクに言う。
「さあ~ついたわよ! ここが、ナハールの街!」
「わぁあ~!」
アレクは久しぶりに見るナハールの街に、すっかり感動していた。
人々の賑やかで楽しそうな様子を眺めるのが昔から好きだったのだが、もう一度この光景を目にすることができ、とても嬉しい。
両親がアレクの存在を隠そうとするので、これまであまり外出できなかったのだ。
それに、ムーンオルト家は使用人の数は多いのだが、皆どんよりとしていた。まるで、屋敷内に雨が降っているかのように。
アレクと話す時には皆、笑顔になってくれる。が、その表情には疲れがある気もした。
そんな雰囲気とは全く異なる街を見渡し、アレクの頬は自然と緩む。
すると、リリーナが「行くよ!」と一声かけて、アレクに手を差し出した。
その手を掴み、アレクは頷く。
リリーナはそれを確認すると、手を引いて歩きだした。
……後ろでキャルフィと歩くティールが、ぐぬぬ、と羨ましそうな顔で見ていたことに、アレクは気がつかない。
リリーナはティールに見せつけるように、自慢げな表情で歩いていた。
アレクはというと、いろいろなものに目移りしてしょうがない。
ふと、道の先に水が出る白塗りの大きな機械が置いてあることに気づいた。
本で見たことがあるし、昔、ナハールの街に来た時も、一緒にいた兄と姉にこの機械の名前を聞いた覚えがある。
けれど、どうしても思い出せないので、アレクはリリーナに聞いてみることにした。
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