keen

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SF 連載中 長編
人類は今や月、金星、火星、果てはそれよりも遠くまで、その文明の手を伸ばしていった。 宇宙進出という新たな時代の幕開けに際し、新たな暦「星歴」が誕生したのが今から75年前。 そして、新たな暦と共に誕生したのが、地球圏と内惑星に広がる国家群を統合した「汎宙統合連盟(United Cosmo Federation=U.C.F.)」である。 連盟は、新たな時代の巨大な秩序となり、大きな権力を得ていった。 だが星歴63年。 地球中心の体制、そして圧政と搾取に反旗を翻し、外惑星の荒野より独立国家群が蜂起。 「星界自由戦線(Stellar Autonomous Front=S.A.F.)」と名乗る独立勢力は、火星圏の資源施設を瞬く間に掌握。そしてその中で新たな兵器が産み出される。 ──「アーマーレイド(AR)」。 そのように呼ばれた機動兵器を大量に生産した星界は、当初の戦闘を有利に進めた。 だが、様々な手段で機動兵器の生産技術を奪取した連盟は、地球圏に広がる生産力で応戦。戦火は金星軌道や小惑星帯にまで拡大していった。 ──人類は、宇宙(そら)に羽ばたいても、戦いの記憶が忘れられないでいた。 星歴75年。 戦端が開かれて12年が経ち、地球、月、火星、金星とその周囲に浮かぶコロニー群のほとんどは、連盟か星界、どちらかに寄った立場をとっていた。 だが、連盟は大きな独立を許してなお、自身の正義と秩序を信じる傲慢な姿勢を崩さない。 そして、連盟の圧政に立ち向かう名目で結成された星界は、勢力の主導権を握りたい野心家による権力闘争が激しく、内戦が多発し、一枚岩になりきれずにいた。 そんな二つの巨星が覇権を争う中、その重力の狭間に、どちらにも属さぬ薄汚れた塵のような場所がある。 ──月軌道上居住型ステーション「グレイ・アーク」。 月のラグランジュポイントに浮かぶこのステーションは、表向きは低所得者層向けの居住用宇宙ステーション……とうたわれているが、実態は流れ者、浮浪者、ホームレスが集うような場所で、“宇宙の吹き溜まり(スペース・スラム)”とも呼ばれるような場所であった。 行き場を失った者、法に追われた者、そして鉄屑を拾って生きる者たちが身を寄せ合う、灰色の箱庭──それが、グレイ・アークという場所である。 そこに住むジャンク屋の少年、リクト・ラインバーグ。 機械の「音」が聞こえるという不思議な力を持つ彼が駆るのは、連盟と星界から払い下げられた旧世代機のキメラ機体「ハウンド・リゼクター」。 「音」を頼りに直感で駆ける「再生した猟犬」が2大勢力の狭間を駆け抜ける。 駆け抜けた先に待つのは――――? ※作成に際して、一部補助的にAIを使用しています。
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文字数 12,071 最終更新日 2025.12.03 登録日 2025.11.28
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