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「別れたい。」
長年の付き合いで結婚間近だと思っていた彼から電話越しに告げられたのは離別の言葉だった。今日は彼の誕生日で私は祝う気持ちで胸いっぱいであったが、突然の出来事で驚くも気丈に振る舞い理由を問う。しかし彼は別れたいとしか言わず理由を教えてくれない。押し問答が延々と続き、彼は早く終われといわんばかりの声色で話す。埒が明かない為、私は彼が待ち望んでるであろう言葉を紡ぐ。
「分かった。いいよ、別れよう。」
私の言葉で彼は安堵し申し訳なさそうな声で謝ってきた。そして私は本来伝えたかった言葉を伝えた。
「今日君の誕生日だよ。おめでとう。プレゼント用意したんだ。直接渡したかったけど送るね。最後だから受け取って。貴方が一番欲しがってたモノだよ。それじゃ、大好きだったよ...さようなら。 」
別れの言葉を残して私は電話を切った、と同時に涙と彼への想いが溢れ身を丸くして蹲る。誰にも気づかれない様声を殺して泣いた。
__どれくらいの時間がたっただろう。泣き疲れたのか私は眠ってしまっていたようだ。辺りは暗くなっており、時間を確認しようと端末を手に取ると先程、別れを告げた彼からの着信履歴で埋め尽くされており私は折り返した。電話越しの彼は何故か酷く動揺した様子であった。
「はは、凄い声。プレゼント受け取ってくれたみたいだね?良かった。貴方、大切なものは変わらぬ姿でずっと手元に置いておきたいって言ってたよね?あのサイズなら貴方の家の冷凍庫に入ると思うわ。ハッピバースデー、プレゼント大切にしてね。用意するのに手間が掛かったからさ。あっ、違ったプレゼントと末永くお幸せに。……私が何も知らないと思った?」
彼は恐怖と絶望を含んだ悲鳴をひたすらあげていた。それを劈くように私は冷淡な声で言葉を紡ぐ。
「貴方が誰と会っていたかも、何をしていたかも、全部知ってるわ。」
私はそっと立ち上がりある場所へと向かった。
「ねえ、覚えてる? 私たち、結婚したら子供が欲しいねって話したよね……あはは、ごめん。もう関係ない話だったね。実はもう一つプレゼントがあるんだ。窓の外じっと見ててね。それじゃあ、今度こそ本当にさようなら。」
私は端末に口付けをし、ある唄を口ずさむ。
__かごめ かごめ
かごの中の鳥は(私と君の愛で囲われた愛しい子は)
いついつ出やる(いつになったら会えるかな)
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った(私と愛しい子は身を投げてしまった)
後ろの正面だあれ(誰のせい?)
歌い終わると同時に彼と目が合った。
彼の表情に私は満足し恍惚な笑みを浮かべる。
「ああ、これで私も変わらぬ姿で貴方の側にいられる。」
文字数 1,076
最終更新日 2026.11.08
登録日 2026.11.08
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