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蝉時雨が猛り狂う安アパートの一室。
莫大な借金によって「あらゆるもの」を奪われた黒川蓮と、血の繋がらない母・紬の傍らには、かつての豊かな暮らしの記憶である重厚なマホガニーのテーブルだけが、不釣り合いに鎮座していた。
肩を並べて座るしかない窮屈な距離。
逃げ場のない熱気の中で、呼び覚まされた原始的な渇望は、ついに「母」と「息子」の建付けを融解させていく――。
文字数 9,477
最終更新日 2026.06.08
登録日 2026.06.08
世間に対して「完璧な公的正義」を掲げる、有能でカリスマ的なマドンナ議員・橘麗子。
だが、人々の視線が届かない深夜の事務所という密室に入った瞬間、彼女は綺麗な仮面を剥ぎ取り、私設秘書・野々村樹の尊厳を削り取る執拗な支配者へと変貌する。
公的な成功がもたらす歪んだ全能感をまとった麗子は、圧倒的な権力を武器に、逃げ場のない樹を都合のいい手駒として扱い、大人の「女」としての自身の情欲や快楽をも貪欲に貪り尽くしていく。
一度踏み越えた一線は、いつしか他人の目を盗み、死角で繰り返される暴力的で執拗な蹂躙へと発展していく。麗子の作り出す完璧な世界の奴隷として、理不尽に支配される毎日。しかし、突如として与えられる「背徳的な快楽」という褒美は、色のない灰色だった樹の生活を、歪んだ充実感へと変質させ始めていく。
【完結済み短編】
文字数 10,342
最終更新日 2026.06.08
登録日 2026.06.08
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