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元気いっぱいで、いつも走り回っているお兄ちゃん。
その一方で、妹はおとなしく、手のかからない子でした。
両親がお兄ちゃんを追いかけている間、妹に渡されたのは一冊の本。
でも、妹はまだ字が読めません。
それでも絵を眺め、読める言葉をつなぎ合わせ、想像しながらページをめくっていきます。
やがて絵本から文字の多い本へ。
読めない漢字があっても、前後の文章から意味を想像する。
知らない言葉を覚えるたび、妹の世界は少しずつ広がっていきました。
そして、いつしか本を読むスピードは驚くほど速くなり、図書館では十冊の本を借り、本屋さんでは立ち読みで何冊も読み終えてしまうほどに。
さらに、本から覚えた難しい言葉をそのまま日常会話で使うものだから、幼稚園の先生や友達はびっくり。
「その言葉、どこで覚えたの?」
「本です。」
本を読むことは、知識を増やすだけではありません。
静かな女の子は、本の中でたくさんの世界を旅し、自分だけの世界を作っていたのです。
ページを開けば、知らない国へも、遠い昔へも、宇宙の果てへも行ける。
子どもの「好き」が、その子だけの世界を育てていく――。
本が大好きな子にも、これから本と出会う子にも届けたい、読書と想像力をめぐる物語です。
文字数 1,656
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.08.14
大阪と京都への家族旅行。
その前日、病院にいるおじいちゃんに会いに行った子どもたちは、昔話を聞きながら、楽しい時間を過ごします。
「楽しんでおいで。」
「お土産、買ってくるね。」
それが、おじいちゃんとの最後の会話になるとは、誰も知りませんでした。
旅行の途中、おじいちゃんの病状が急変。
家族が帰る前に、おじいちゃんは旅立ちました。
そして、お通夜の日。
旅行中に大阪城の前で撮った家族写真を見ていると、何枚もある同じ写真のうち、一枚だけ、大阪城の上に不思議な形の雲が写っていました。
その雲は、まるでおじいちゃんの顔のようでした。
偶然だったのかもしれません。
でも、もしかしたら――
おじいちゃんも、最後の旅行を一緒に楽しんでいたのかもしれません。
大切な人との別れと、心の中に残り続ける思い出。
「さようなら」ではなく、「またね」。
空を見上げるたび、大切な人を思い出せるような、家族の絆を描いた物語です。
文字数 1,159
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.08.14
まだ、うまく言葉を話せなかった小さな男の子。
保育園の帰り道、お父さんの自転車の後ろで、道ばたの葉っぱを見つけるたびに「はっぱ、はっぱ」と嬉しそうに笑っていました。
そういえば、服も靴も、いつも緑。
「みどり」という言葉を知らないその子にとって、「はっぱ」は大好きな色を伝える言葉だったのかもしれません。
時が流れ、男の子は高校生になりました。
もう自転車の後ろには乗りません。
でも――選ぶ服も、履く靴も、やっぱり緑。
お父さんは、幼い日の小さな声を思い出します。
「ずっと、好きだったんだな。」
子どもの頃の「好き」は、いつの間にか大人になっても残っている。
親子の何気ない日常と、子どもの成長を描いた、ちょっと懐かしくて、心があたたかくなるお話です。
文字数 853
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.08.14
『憑いてる。』 あらすじ
この世界では、強い人間ほど“何か”に憑かれている。
成績上位者、人気者、カリスマ、勝者。
人より抜きん出た者の背後には、普通の人間には見えない存在がいる。
それは、歴史上の英雄や偉人たちの「分霊」。
諸葛亮孔明、織田信長、石田三成――かつて強烈な意志を残した者たちの欠片が、現代の人間に憑き、その才能や野心を押し上げていた。
中学二年生の綾小路将太は、誰にも憑かれていない少年だった。
周囲の人間には次々と異形の影が見えるのに、自分の背後には何もいない。
彼は、強者たちの世界において“空席”と呼ばれる異常な存在だった。
そんな将太に近づいたのは、石田三成の分霊。
三成は最初、将太を自分と同じ「見届ける者」だと思う。
だが、やがて気づく。
将太はただ見えるだけの人間ではない。
憑かれていない空白そのものに、何かが集まり始めているのだと。
将太は、停止した時間の中へ足を踏み入れる。
そこでは街も人も動かず、ただ観測する者だけが歩くことを許される。
白い駅、東京駅に現れる巨大な影、観測地図、謎の足跡。
そして、「一人目」「二人目が近い」という不気味な言葉。
一方、周囲でも異変が起こり始める。
孔明に憑かれた少年、信長を宿す少年、影が薄くなっていく少女。
受験、模試、順位、学校生活という日常の裏で、見えない存在たちの戦いが進行していく。
憑く者。
憑かれる者。
観る者。
そして、誰にも憑かれていない“空席”。
将太は、自分がなぜ選ばれたのかを知らない。
三成も、まだ本当の答えには辿り着いていない。
だが世界は、すでに動き出していた。
これは、ただの異能ではない。
才能の裏側に潜むもの、勝者に取り憑くもの、敗者を見届けるもの、そして人間の空白に集まる何かを描く、現代ダークファンタジー。
『憑いてる。』
少年はまだ知らない。
自分の“空席”こそが、この世界で最も危険な席だということを。
文字数 141,840
最終更新日 2026.08.04
登録日 2026.05.28
「三国志の軍師・諸葛亮孔明が現代の小学生に転生し、“偏差値”という数値戦争に挑む。しかしそこは、才能ではなく“環境と課金”が支配する戦場だった。」
最初に言っておく。
この話に“気持ちのいい成功”はない。
中学受験は、努力すれば報われる世界じゃない。
むしろ逆だ。
・課金
・環境
・情報量
それらが、勝敗を決める。
そんな戦場に、ある日“軍師”が現れた。
偏差値を兵力と見なし、
問題を戦術で切り捨て、
再現性で勝ち続ける存在。
――だが。
どれだけ戦略を極めても、
越えられない壁があった。
これは、
「勝てなかった物語」ではない。
“戦い方を知ってしまった者”の物語だ。
文字数 165,368
最終更新日 2026.06.22
登録日 2026.05.26
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