ぬヌ

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ぬヌです。よろしくお願いします。
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恋愛 連載中 長編
「……そういや、俺らのファーストコンタクトって、めちゃくちゃタイミングが悪かったよな。」 ふと、昔を懐かしむようにおもむろに呟いたのは、机を挟んで正面の椅子に腰掛ける彼。 「……確かに、そうね。」 私も当時を思い出して苦笑する。 その際、一瞬胸に浮かんだのは、旧懐の念と少々の寂しさ。 「……でも。」 しかし、直ぐにそれらの感覚は消え去って、私は正面に座る彼を見据えて微笑んだ。 「……あの時にキミと出会ってなかったら、今の私はいないと思うな。」 胸を満たすは温もり。 『永遠に埋まることはない』と、そう思っていたはずの空洞は、彼の存在が満たしてくれた。 「……それを言うなら俺もだよ。」 恥ずかしそうに頬を掻き笑う彼もまた、私に向ける表情は柔らかい。 「…………。」 この世に、『絶対』も『永遠』も無いように。 いつまでも続くかのように見えるこの『幸せ』にだって、きっといつか終わりがくる。 ―――死んで灰になったその後は、きっと一人になってしまう。 ……だから。 「―――愛してる。」 「……へ?」 「ふふっ何でもない、言ってみただけ。」 二人で笑みを交し合える『今』に、限りない愛しさを溢れさせるように。 ―――重なり合った手の平が、最期の最期まで離れてしまわないように。 それまでは、こうやって…… ―――『幸せ』の中で、生きていたいと思うの。
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文字数 8,641 最終更新日 2023.11.04 登録日 2023.11.04
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