ゆきちゃん

ゆきちゃん

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ファンタジー 連載中 長編
残業続きで倒れ、死を悟った瞬間──俺は一本の通知を受け取った。 まるで“家系という巨大な木の根が枯れる未来”を告げるようなメッセージだった。 『お前の家系は三百年後に滅ぶ。原因は──お前が家系を作らなかったことだ』 気づけば俺は異世界の小さな村で赤ん坊として目を覚ましていた。 その視界には、まるで誰かが血で描いたような、不吉な家系図が浮かんでいた。 俺に与えられたのは【家系図スキル】。 人の血筋と未来が“幹と枝”のように見える能力で、 ・どんな力を持つか ・どんな人生を辿るか ・その結果、家系がどう伸びるか が薄い光の線となって視える。 行動を誤れば枝は黒く枯れ、未来は滅びに向かう。 正しく導けば枝は太く育ち、繁栄の可能性が広がる。 そんな“未来を剪定する力”だった。 しかし家系図の奥に、一本だけ異様に黒く濁った枝があった。 七代後──そこに「世界を滅ぼす魔王」が生まれる可能性が記されていた。 逃げることもできた。 家系を絶てば魔王は生まれない。 けれどそれは“自分のせいで終わった家系”を受け入れる行為でもあった。 一方、導き方次第ではその魔王候補は“世界を救う聖王”にもなり得る。 未来は一本ではなく、分岐する迷路のように広がっている。 どの枝を選ぶかは、俺の行動次第だ。 弱い力しか持たない転生者の俺ができるのは、 戦って勝つことではなく、 “選択によって未来を作ること”。 泣き虫だけど芯の強い幼なじみ・リナ。 罪を背負いながらも真っ直ぐ生きようとする戦士・ガルド。 血統の真実を追う学者・エリア。 彼らと関わるたびに枝は増え、家系は伸び、運命は形を変える。 やがて現れる“歴史を守る者たち”との戦いの中で、 俺は家系図の奥底に隠された“魔王枝”の正体を知ることになる。 三百年後の未来を変えられるのは、家系の始祖となった俺だけだ。 滅びの未来を断ち切り、希望の枝を育てるため── 俺は家系と世界の未来を選び続ける。
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文字数 56,607 最終更新日 2025.12.21 登録日 2025.12.10
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