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――目が覚めたら、異世界だった。
佐々木或人(ささきあると)二十三歳。
どこにでもいる普通の会社員だった。
……はずだった。
目を覚ました彼がいたのは、見渡す限り岩だらけの謎の洞窟。
「ここは……どこだ?」
なんてカッコよく言えるはずもなく、
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
と叫び散らかすところから、彼の異世界生活は始まった。
そこへ現れたのは、無表情なサポートAI――ナビ。
彼女から告げられたのは、たった一つ。
五十のクエストをクリアしなければ、元の世界には帰れない。
報酬は金銀財宝、特殊能力、さらには一国すら与えられることもある。
だが、失敗すれば――死。
しかも或人は、剣を握ったことすらない。
戦闘経験ゼロ。
魔法も使えない。
体力もない。
あるのは、
「帰りたい」という気持ちと、異常なほどのツッコミ力だけ。
そんな彼の前に現れたのが、第一の守護者――墓守だった。
「剣を拾え。」
「持ったことないんだけど!?」
「構えろ。」
「構え方知らないんだけど!?」
「一万回振れ。」
「ブラック企業よりブラックなんだけど!?」
こうして始まった、或人の過酷すぎる修行。
少しずつ戦う術を学び、初めて敵を倒し、仲間との絆を築いていく。
しかし――。
この世界には、最初から奇妙な違和感があった。
絶対に近付いてはいけない墓。
存在するはずのないシステムエラー。
ナビすら知らない、この世界の秘密。
そしてある日。
或人は、決して触れてはいけなかった墓を――
壊してしまう。
その瞬間。
世界を管理していたシステムに、初めて赤い警告が表示された。
【FATAL ERROR】
【重要クエストの破壊を確認】
【対象:佐々木 或人】
【状態:異常者】
そして、世界そのものが告げる。
「シナリオを再構築します。」
――本来、クエスト通りに進むはずだった異世界。
――本来、存在するはずだった運命。
――本来、帰るはずだった或人。
そのすべてが、少しずつ狂い始める。
これは、最強の英雄になる物語ではない。
何も知らない。
何もできない。
ただ帰りたいだけだった一人の青年が、
五十のクエストを通して戦い方を学び、
仲間と出会い、
世界の真実に触れ、
やがて――
「アルティマクエスト」そのものを壊す物語。
笑って。
戦って。
時々泣いて。
最後に世界のルールさえひっくり返す。
異世界転生ギャグファンタジー――
『アルティマクエスト』
「……なぁナビ。」
『はい。』
「俺、ちゃんと元の世界に帰れるんだよな?」
『……その質問には、まだ回答できません。』
「怖ぇよ!!」
文字数 11,457
最終更新日 2026.08.24
登録日 2023.08.15
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