アネモネ

アネモネ

1
恋愛 連載中 短編 R15
「セレナは悪くない。君が少し我慢すればいい」 侯爵夫人のエリザベスは、夫の従姉妹であるセレナに、何をされても夫は彼女を庇った。 エリザベスの大切なものを壊されても。 夫婦の時間を邪魔されても。 身に覚えのないことで責められても。 夫を愛していたエリザベスは、いつか彼が自分を選んでくれると信じて耐え続けた。 そんなある日、エリザベスは妊娠する。 愛する人との子供。 これでようやく、本当の家族になれる――そう思っていた。 だが、セレナはエリザベスの妊娠を知ると、あからさまに敵意を向けるようになった。 そしてある日、彼女の悪意によって、エリザベスは大切な我が子を失う。 泣き崩れるエリザベスに、夫がかけた言葉は―― 「……子供は、まだ早いと思っていた。 それに、子などまたつくればいい」 その瞬間、エリザベスの中で何かが切れた。 「……そうですか」 もう、この人のために耐える必要はない。 夫の家を出たエリザベスは、行く場所を失い、実家へ戻る。 けれど、そこでも待っていたのは冷たい言葉だった。 「夫婦喧嘩に実家を巻き込むな」 「お前にも悪いところがあったんだろう」 そして彼女は、実家からも追い出された。 雨の降る夜。 ひとり彷徨う私の前に、一台の馬車が止まる。 そこから降りてきたのは―― 幼い頃からずっと憧れていた、十二歳年上の公爵。 エリザベスの初恋の人、アダムだった。 「……エリザベス?」 もう誰にも必要とされないと思っていた私を、彼だけが迷わず手を差し伸べる。 「行く場所がないのなら、俺の屋敷へ来ればいい」 これは、愛する夫に捨てられ、すべてを失った令嬢が、かつての初恋の人に救われ、もう一度幸せを掴む物語。 そして―― 自分が何を失ったのかを知った元夫の、遅すぎる後悔が始まる。
24h.ポイント 2,963pt
小説 412 位 / 229,975件 恋愛 228 位 / 66,440件
文字数 3,534 最終更新日 2026.08.25 登録日 2026.08.25
1