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江戸の呉服屋の娘・結音には、心を通わせる恋人がいる。
相手は、礼儀正しく穏やかな青年――伊庭八郎。
人前では節度を忘れず、それでもふたりきりになれば驚くほど甘く結音を愛してくれる人だった。
穏やかな逢瀬を重ねる日々の中、結音の前に幼なじみ・朝倉恒一が現れる。
懐かしい思い出を共有する彼の存在は、結音の心を揺らしはしない。けれど、伊庭の静かな嫉妬と、胸の奥に秘めた独占欲を浮かび上がらせていく。
昔を知る人。
今を見つめてくれる人。
その狭間で結音が選んだのは、ただ一人、伊庭八郎だった。
やわらかな春の江戸を舞台に描く、
すでに恋人同士であるふたりが、あらためて互いを選び合う甘やかで切ない恋物語。
文字数 8,703
最終更新日 2026.09.13
登録日 2026.09.13
文久の江戸。
由緒ある武家・香月家の次男、香月悠臣は、幕府公認の香月流剣術道場を開き、若き剣士たちを育てていた。
道場に集うのは、没落士族の青年天城朔也、名門出身の理知的な剣士御影直熙、陽気な仮面の裏に過去を隠す桐原篤哉、誠実な町人出身の真木智久、寡黙な努力家朝倉洸太ら、さまざまな出自を持つ若者たちが集う。
そして悠臣の妹・香月美織は、兄の道場を支えながら、香と医術を学ぶ日々を送っていた。
だが、尊攘派の不穏な動きが江戸の町に広がる中、香月道場は次第に時代の濁流へ呑み込まれていく。
門弟による“誤斬事件”、道場への疑惑、そして江戸を焼く陰謀――。
守るために剣を取る者たちは、やがて「ただ強いだけでは守れないもの」があると知る。
一方で、美織をめぐる恋もまた静かに動き始める。
朔也の真っ直ぐな想い、幼い頃から胸に残る土方歳三への憧れ、そして家の名を背負って持ち上がる縁談。
それぞれの誇りと想いが交錯する中、江戸の若き剣士たちは、“守る”とは何かを問いながら時代の裂け目へ踏み出していく。
家のために生きるのか。
心のために生きるのか。
恋を選ぶのか、義務を選ぶのか。
これは、京の新選組とは別の場所で、
江戸を守ろうとした者たちの、もう一つの”誠”の記録である。
文字数 2,021,005
最終更新日 2026.07.19
登録日 2026.01.27
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