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雪の街で、音だけが浮いていた。
アヤは、まだ何者でもない。
放課後と夜のあいだを行き来しながら、
自分の輪郭を決められずにいる。
小さなライブハウスで聴いた音が、
なぜか忘れられなかった。
それは希望でも、救いでもない。
ただ、衝撃だった。
出会った女の子たちは、よく笑う。
くだらない話をして、可愛くて、楽しそうで、
どこにでもいそうに見える。
一緒に音を出す時間が増える。
バンドは、いつの間にか居場所になる。
正解はなく、答えもない。
それでも、音は鳴る。
誰も自分の話をしない。
大事なことほど、言葉にしない。
その沈黙が、少しだけ冷たい。
甘さのないキャンディのように、
噛むほどに味が変わる時間。
これは、可愛い女の子たちの話だ。
――少なくとも、最初は。
『Sugarless SugarLady』
名前のない色で、歌いはじめる物語。
毎日21:00更新。
※本作は他サイトにも掲載しています。
文字数 45,227
最終更新日 2026.04.10
登録日 2026.04.10
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