人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

「小さな会社を買う」「趣味を極める」今の職場にしがみつかないリストラ時代の生き方

リストラ時代を生き抜く、さまざまな生存戦略

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和/講談社)という本が少し前に話題になりました。

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中小企業の約7割が後継者難。株式1円で買える好業績優良中小企業もゴロゴロ。キャリアを生かして社長として活躍し、最後は売り抜けようーー。そういう趣旨の本で、「300万円で会社が買えるんだ」と私も驚きました

テレビでも特集されていましたが、確かに地方には後継ぎのいない小さな会社がたくさんあります。300万程度の初期投資だったら、そういう選択もありかもしれません。

コロナになる前の話ですが、民泊がすごく伸びているときに、専門清掃を個人で独立してやって稼いでいる人もたくさんいました。こうした業種もそれほど多くの初期投資は必要ないですし、伸びているところにうまく入り込めれば、成功できるかもしれません。

リストラ時代を生き抜く戦略として重要なのは、多方面から今後のライフプランを考えることです。多額の初期投資が必要な選択はリスクが高いですし、今は飲食店なども厳しいかもしれません。しかし、会社に依存しなくても生きていける方法はたくさんあります。

やるなら興味のあること。趣味を極める道もある

300万円で会社が買えるのなら、やってみたらいいのではないでしょうか。ただし、興味があること、自分が本当に好きなものにすべきだと思います。

会社を買って誰かに経営を任せることができるなら話は別ですが、自分自身で経営するとしたら相当なビジネスセンスが必要になるでしょう。ニッチな分野だったら、なおさら経営者の「想い」が重要になります。自分が興味のあること、本当に好きなことでなければ、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。

私の知り合いで、音楽業界で働いていた人がいます。いろいろな趣味に半端ない凝り方をする人で、近年は流行りのソロキャンプにハマっていました。キャンプ道具などの造詣をどんどん深めて、遂にはキャンプ道具のブランドを立ち上げてしまいました。

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趣味に没頭することで、人生を新しく切り開く。このような選択もありだと思います。

趣味の延長で「〇〇コンサルタント」と名乗って、着付けや発酵食品などの小規模なクラスを開いて、身近な人に教えている人たちもいます。大儲けはできなくても、それだけで食べている人たちも少なくありません。

例えば、日本酒を好きな人が、後継者のいない小さな酒造メーカーを買って、デザインから流通、ブランディングまで、何から何まで自分のこだわりを貫き通してやる。

このように自分が趣味として本当に好きだったことをビジネスに重ねることができれば、やりがいもあって、成功する可能性も高くなるのではないかと思います。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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