上司1年目は“仕組み”を使え!

「自分で考えて行動する部下」を育てるたった一つのコツ

2022.11.03 公式 上司1年目は“仕組み”を使え! 第37回
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自分で考えるようにさせる

5つのステップのうち、もっと大切なステップ1について解説します。
主体的な人を育てるうえで、もっとも大事なキーワードは「問い」です。部下は、自分で問いを生めるようになってもらわなければなりません。たとえば、「いま、なんの仕事をしたらいいか?」「どうすればこの問題を解決できるか?」「誰か相談できる人はいないか?」「もっといいアイデアはないか?」といった問いがある状態を主体的だといいます。

主体的でない人には、この問いがありません。ただ作業をこなす、仕事を終わらせることにだけ着目し、「どうすれば?」「なぜ?」といった問いがないので、説明しても耳に入らず覚えないのです。逆に言えば、常に自身に問いがある状態にできれば、部下を主体的な人に変革させることも可能です。問いさえあれば、自ら考えて行動できるようになるのです。

では、どうすれば問いを持ってくれるようになるのか。そこで重要になるのが、リーダーの質問力です。部下の育成において、伝達、指示、確認を「質問」に変えると、部下の問いのレベルが飛躍的に高まります。

① 伝達 … 「伝達」を「質問」に変え、相手の「関心」を高める
② 指示 … 「指示」を「質問」に変え、相手に「考え」させる
③ 確認 … 「確認」を「質問」に変え、相手の「理解度」を高める

伝達、指示、確認は、リーダーとして日々、部下におこなっていることだと思います。この3つをすべて質問に変えてしまうのです。

①「伝達」を「質問」に変え、相手の「関心」を高める

人は、質問されると関心が高まります。

「今月の目標は〇〇円です」
「来月は〇〇に取り組みます」

というように、決まっていることを伝えるだけでは、部下の関心がない場合には右から左に聞き流され、ほとんど覚えてもらえません。あとになって「伝えたよね」「聞いてないです」という不毛なやりとりが繰り返されてしまいます。

「今月の目標はいくらだと思う?」
「来月は何に取り組んだらいいと思う?」

このように「伝達」を「質問」に変えるだけで、部下の関心を高めることができます。

②「指示」を「質問」に変え、相手に「考え」させる

また、人は質問されるとつい考えてしまうものです。「今日のごはんは何を食べたい?」と質問されると、食べたいものを考えます。「明日の予定は何?」と質問されると、明日のスケジュールを考えます。「来月の目標は何?」と質問されると、来月の目標を考えるようになります。そして「将来の夢は何?」といつも質問されていると、将来の夢を常に考える人になります。
「どうやったらうまくいくと思う?」「この情報は誰が持っているかな?」「前に教えた方法でできないかな?」「いつまでに終わらせたらいいと思う?」といったように、部下に問いを与えて、毎回考えさせることが理想です。

とはいえ実際には、問い与えることなく指示してしまうことのほうが多いでしょう。しかし、そのように指示出しを続けていると、部下は指示待ち人間になり、自分で考えなくなります。部下に考えてほしいことを指示ではなく質問に変えることで、部下はそのことについて、否応なしに考えるようになります。このやりとりが、部下の問いのレベルを上げていくのです。

③「確認」を「質問」に変え、相手の「理解度」を高める

あなたは指示を出したあと、部下が理解したかどうか、どのように確認していますか? この確認でも、「〇〇は理解できた?」「〇〇は大丈夫?」と1つひとつを「質問」することが重要です。ちなみに、私の前職のコンサルティング会社では、上司が部下に仕事を依頼する際、必ず復唱してもらうという習慣がありました。伝えたつもりでも、復唱してもらうと、思った以上に理解できていなかったり、抜け漏れがあったりするのです。
確認の際には質問に加えて、「いま言った指示を復唱してくれる?」とまるまる答えさせると、部下は指示内容を深く理解し、自分で考える癖がつくようになります。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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高野俊一 /
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その仕事、部下に任せなさい。

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