――他の若手選手に対しては、どんな接し方を心がけていますか? たとえば、廣岡大志選手に対しては、代打だけではなく、ファーストやセカンド、外野など、さまざまなポジションで刺激を与えているように感じられますが。
高津 そうですね。廣岡の場合は「ずっと使い続ければ、彼は何とかなるんじゃないのか?」という思いは、二軍監督時代からずっと持っています。あれだけ身体も大きくて肩も強くて、長打力もあって。本当は「大型ショート」として、ショートで固定できればいいけど、現状ではそれが難しい。だから、少しでもチャンスを与えてモチベーションを高めたいという思いはありますね。
――どうですか、その効果は感じられますか?
高津 効果は出ていると思いますよ。ショート、サードだけでは試合に出られなかったけど、ファーストもやる、セカンドもやる、そして外野もやる。そうなったことで、格段に試合に出るチャンスは増えたし、本人も生き生きしながらセカンドも外野もやっています。「生き返った」というと大げさだけど、楽しそうにバットを振っているという気がします。
――確かに、試合前の練習を見ていても、明るくはつらつとしている印象があります。
高津 そうなんですよ(笑)。守備練習中にボールを追いかけている姿を見ると、すごく楽しそうなんです。新しい挑戦は始まったばかりだけど、思い切ってスタートしてみてよかったなって、今は感じています。
――他の若手選手についてはいかがですか?
高津 モチベーションを高めること、成長させること、そのために一番なのはやっぱり「経験」なんです。プロ野球の世界というのは「勝敗」が大きなウエイトを占めているので、実力もないのにその舞台に立たせるわけにはいかない。けれども、実力だけを評価基準にしていると、いつまで経っても、若手の出場機会はなかなか増えない。理想を言えば、結果を度外視してでもどんどん試合に出して、勝つ喜びを知り、負ける悔しさを知ることで、選手たちは一気に成長します。でも、そういうわけにもいかない。結果を求めつつ、若い人にチャンスを与えるというのは、とても難しいことなんだと痛感しています。
――二軍監督時代の「育てるためには負けてもいい」という考えは当然、一軍監督にはあり得ない考え方だと思います。その上で、長期的な育成をどのように実現させていくお考えですか?
高津 二軍監督時代は、ほぼ「育成」だけを考えていればよかった。でも、一軍監督となった今は、一にも、二にも「勝利」優先です。その一方で、三年後、五年後も見据えています。さまざまな試合展開や状況の中で、期待の若手を使う機会を見つけて、積極的に起用しながら何かをつかんでほしい。そんな思いでいます。
――次回は、ベテラン選手や外国人選手との接し方について伺いたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
高津 わかりました。シーズンも中盤を過ぎ、とにかく目の前の一戦を全力で戦っていきます。引き続き、『応燕』をよろしくお願いします。