2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

奮闘する投手陣が首位キープの原動力!
コーチ陣のマネジメントがうまく機能している

あえて変化を生じさせて、チャンスや刺激を生み出す

――一方で、先ほどお話に出た打撃陣ですが、なかなか調子が上向かないのも現状です。この点については、どのようにとらえていますか?

髙津 なかなか点数が取れないこと、本拠地の神宮球場で勝てないこと、いずれも原因があるとは思います。打撃コーチとしても、いろいろ対策は練っているけれども結果が出ていないのが現状です。ただ、楽観的な言い方になってしまうかもしれないけれど、「このまま終わることは絶対にない」と思っています。逆に言えば、今は投手陣が好調だけど、夏場に向けて疲労がたまってくることを考えると、投手陣が苦しくなる時期も必ずあると思っています。

――いろいろ手を打ちつつも、打撃陣の調子が上がるのをじっと待つ。それが、現在できることなのでしょうか?

髙津 選手たちには、「打てないときこそ、しっかり守れ」ということは伝えたいと思います。無駄な進塁を防ぎ、無駄な失点を許さないように丁寧に守っていれば、少ないチャンスでも勝つ可能性は高くなる。もちろん、打つだけ打って、余裕を持って勝てるに越したことはないけれど、それが難しい現状ならば、「しっかり守る」ことで、打撃陣の復調を待つことが大切だと考えています。

――不振にあえいでいる選手への対応策、ケアの仕方について伺います。5月21日の対横浜DeNAベイスターズ戦では、なかなか代打で結果が残せなかった川端慎吾選手をスタメン起用しました。その一方では、スタメンで起用し続けているものの打率が低迷している青木宣親選手、ホセ・オスナ選手に休養を与えるケースも目立ちます。

髙津 僕がいつも考えているのは、チームとしても、個人としても元気が大切だということです。調子が悪いときには、どうしても元気がなくなって、ムードも暗くなってしまう。そういうときには何か変化を生じさせることでチャンスや刺激を生み出せないか? そんなことを考えています。

――試合が硬直状態にあるときに、打開策として積極的にヒットエンドランをかけるように、選手起用においても打開策としての「変化」が重要であると。

髙津 そうです。青木やオスナを休ませる、川端をスタメンで起用する。僕がチームを動かすことで元気が出るのであれば積極的に動きたいし、「何かいい打開策はないだろうか?」というのは常に考えています。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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