2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

奮闘する投手陣が首位キープの原動力!
コーチ陣のマネジメントがうまく機能している

パ・リーグへの反骨心を胸に交流戦を戦う

――そういう意味では、川端選手が最初の打席で初球を見事にライト前に弾き返した瞬間は、監督としても「してやったり」と思いだったのでは?

髙津 いや、「してやったり」というよりは、「ホッとした」というのが正直なところですね。あとは素直に嬉しかった。いかにも彼らしいヒットだったし、その後の打席はヒットは出なかったけれど、「スタメンで起用した甲斐があったな」と思いました。なんとなく去年のことを思い出しましたね。

――どんなことを思い出したのですか?

髙津 去年、川端の代打をアンパイアに告げるとき、僕は内心で「川端はこのピッチャーをどうやって打つのかな?」と思っていました。すると彼は初球のストライクゾーンであれば積極的にバットを振っていき、いとも簡単にヒットにする。去年、何度も経験したあの場面を思い出しました。

――交流戦までの44試合で印象に残っている試合、転機となった試合はありますか?

髙津 うーん、何だろうな? ちょっと最近のゲームになるけど、阪神戦でサヨナラ勝ちした試合ですかね。

――5月17日、神宮球場での阪神タイガース戦ですね。0対1でリードを許して、なかなか点数が取れないまま9回裏に突入したものの、青木選手の同点打、オスナ選手のサヨナラ犠飛で見事な逆転勝利を飾りました。

髙津 相手は岩崎(優)投手でしたので、「このままアッサリと負けてしまうのか、それとも何とか追いついて延長戦に持ち込めるのか」と考えていたら、それ以上のサヨナラ勝利という結果になった。チームの粘り強さを感じたし、翌日以降のモチベーションにも大きく影響した試合でした。……でも、まだ残り100試合近くあるから、それほど強く印象に残っているわけではないですけどね(笑)。

――監督にとっては、交流戦に突入した現在でも、まだ「シーズン序盤」という感覚なんですか?

髙津 序盤ですね。今から、いろいろなことが起こるんだろうなと思っています。もちろん、勝敗に関しては勝てば嬉しいし、負ければ悔しいけど、まだまだこれからですから。

――現在、交流戦の真っ最中です。どんな意識で、これからの試合に臨まれますか?

髙津 やっぱり、セ・リーグとパ・リーグを比べられることが多いので、「パ・リーグには負けたくない」という思いは強いです。個人的には「佐々木朗希くんを生で見たい」とか、注目している選手はいますけど、「パ・リーグ相手にしっかりと勝ちたい」という思いの方が強いですね。

――やはり、セ・リーグの一員として、パ・リーグに対する反骨心は強いものですか?

髙津 もちろん、反骨心はありますよ。ただ、これまで交流戦にしても、近年の日本シリーズにしても圧倒的にパ・リーグの方が成績を残している時期が続いていました。去年の交流戦はセ・リーグが勝ち越したし、日本シリーズは我々が勝利した。今年も、パ・リーグに負けない交流戦にしたいと思っています。応燕よろしくお願いします!

 

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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