2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

史上最速M点灯! 首位快走の秘訣――
ゆとりあるローテーションと選手のリフレッシュ

「ゆとりローテ」の効用とチーム内競争の激化

――シーズン中盤を折り返し、今後の展望について伺います。7月には9連戦を控え、8月中はずっと6連戦が続きます。この先をどのように見据えていますか?

髙津 次の区切りは、7月26、27日に行われる「オールスターまでをどう過ごすか?」ということでしょうね。そして、前半戦いちばんのポイントは来週7月12~20日までの9連戦でしょうね。夏場を迎えてさらにしんどくなってくる頃なので、ピッチャーの登板間隔を空けつつ、ファームの選手を上手に起用しながら適度に休ませていく。より繊細な選手起用が重要になってくると思います。

――投手起用については、中10日前後の間隔による、いわゆる「ゆとりローテーション」が続いています。この起用法については、手応えを感じていますか?

髙津 理想を言えば6人のエースがいて、週一回彼らが投げてくれるのがいちばんいいと思うんです。6人の先発投手で一週間を乗り切るのが、勝つ確率は高いと思います。でも、現実的にはどのチームも6人もエースがいるわけではない。だからうちの場合、現在はこの起用法が続いています。

――理想形は2003年のシアトル・マリナーズのような展開ですね。

髙津 いいですね、それが理想ですね(笑)。アメリカの場合は中4日で回るんですけど、誰もケガをしないで一年間投げ切ってくれるのが理想です。でも、現在のスワローズは5番目、6番目、7番目、8番目ぐらいのピッチャーでもちゃんと試合を作ってくれているのでありがたいですね。

――「ゆとりローテ」の効用として、実戦を通じて、投手陣全体がレベルアップするということはありませんか?

髙津 確かに、全員がいい方向に引っ張られていくということはあると思いますね。ただ、ローテーションを組むのは本当に難しいですけどね(笑)。先発投手に限らず、リリーフ投手についても競争が激しいから、「負けられない」というチーム内のライバル心は強くなったと思います。僕が「しっかりしろ!」というのも刺激の一部かもしれないけど、自発的なライバル心はいちばんの刺激になりますからね。現状はそういう、いい状態になっていると思います。

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載