2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

いよいよペナントレースも佳境へ――
髙津監督が捉える「チームの今」と、大記録へ挑む村上への信頼

ドラフト1位ルーキー・山下輝に期待すること

――先ほども述べたように、現在は勝負となる10連戦の真っ最中です。先発を任されていた高橋奎二、小澤怜史投手もコロナの影響によって離脱を余儀なくされています。台風による雨天中止などもありましたが、先発ローテーションのやりくりはかなり大変ではないですか?

髙津 もう、その通りです。本当にしんどいときに、本当に長い連戦がきてしまったということで、非常に頭を悩ませています。でも、「先発投手の枚数が足りないな」ということはキャンプの時点からわかっていました。さらに故障があり、コロナがあってやりくりが大変なのも事実です。弱音を吐くのはイヤですけど、ラクではないのは確かです。編成面もそうだし、僕たち首脳陣としても万全の態勢が整えられなかったということは反省するところだと思います。

――とはいえ、日々の戦いは続いています。9月16、17日の対ドラゴンズ戦では一軍昇格後すぐに、昨年大活躍した川端慎吾選手がいい活躍を見せました。投手陣をカバーするための打者に対する奮起であったり、起爆剤としての新たな顔触れであったり、何らかの方法での打開策が必要となりますね。

髙津 これまで何度も言ってきたように、何かを変えるには「新しい人」がとても重要な役割を果たします。僕が何かアクションを起こす必要もあるかもしれない。節目、節目ではいろいろなことを伝えてきたつもりだけれど、また何か必要になることもあるかもしれない。その辺りはきちんと見極めたいと思います。

――「新しい人」と言えば、昨年のドラフト1位ルーキー・山下輝投手が待望のプロ初先発を果たしました。残念ながら結果は負けがつきましたが、これは翌年以降の飛躍を意図して、一昨年のドラフト1位・奥川恭伸投手をシーズン最終戦に登板させたことと同じ意味合いもあるのですか?

髙津 もちろん、そうです。それは山下に限らず、どんな選手でもそうです。「チャンスがあれば一軍に呼びたい」という選手はたくさんいます。ここで経験することが、今後必ず生きるときがくる。それは間違いなくそう思います。山下の場合も、時間はかかったけれど、このチーム状況の中で一軍で登板できるなんて、なかなかあることではないのでこれをいい経験にしてほしいと思います。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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