トランプがAI規制に転換?強まる「安全保障」ファクター、今後を見据える4つの焦点

2026.06.24 Wedge ONLINE

 第四に中国企業による脆弱性発見・エクスプロイト生成で高度な能力を持つAIモデルの開発・獲得である。中国は日本や米国等に対して、最も洗練されたサイバー攻撃を継続してきた。それは、ハイバリューターゲットの通話記録や国民データへのアクセス・諜報活動、知的財産の強制移転と産業スパイ活動、有事を見据えた重要インフラへの「前方配置」と多岐にわたる。中国の軍や情報機関はこうしたサイバー攻撃キャンペーンに民間のリソースを多いに活用してきた。

 25年2月、DeepSeekの大規模言語モデルR1が一時的に米国最先端モデルに近い性能を発揮した。スタンフォード大学の調査では、今日まで、米国産の先端モデルが中国産をリードしているが、過去1年間のリード幅は一桁%台にとどまっている。

 別の能力評価では、最先端モデルは全て米国で開発され、中国が同水準のモデルを開発するまでに要した期間は平均7カ月だ。ただし最小差は4カ月で、最大差は14カ月である。

 仮に6月2日の大統領令が「90日間」の審査期間を与えていれば、公開時点の格差は短縮される。ポリティコによれば、中国は「せいぜい6~12カ月」でMythosやGPT 5.5-Cyberに相当するモデルを開発ないしアクセスするとみる。中国企業によるフロンティアAI(ないしMythos級モデル)の開発は、サイバー安全保障を劇的に変化させる可能性がある。

 多くの企業がフロンティアAIの開発状況とアクセス範囲を注視している。その際、ベンチマーク評価や経済合理性に加えて、従来以上に国家安全保障ファクターが重要性を増していることを再確認すべきだ。(脱稿日:2026年6月14日)

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