ドイツ・メルツ政権が挑む最大“任務”社会保障改革、今、行うべき日本と同じ事情…国民の不満を超え企業競争力を回復できるか?

2026.07.03 Wedge ONLINE

 企業で働く就業者の社会保険料は、原則として就業者だけでなく企業も負担する。したがって社会保険の収支悪化によって保険料率が上昇すると、企業の収益率が低下し、外国などで販売するドイツ製品の値段が他国に比べて高くなってしまう。

 ドイツの社会保険料が賃金に占める比率は、15年には39.6%だったが、25年には41.9%に上昇した。ドイツの経営者団体は「このままでは社会保険料が賃金に占める比率は、35年には46.3%に達する」と警告していた。

 ドイツの人件費の高さは、産業の空洞化につながる。実際、製造業界の国内での生産額は年々減っており、メルツ政権は社会保障支出カットによって、この流れを食い止めようとしている。

 ただしこの改革が、国民に痛みを強いるものであることは間違いない。改革に対する不満が多くの有権者を伝統的政党から離反させ、極右政党に走らせる危険がある。

 今年5月のインフラテスト・ディマップ社の世論調査によるとメルツ氏への支持率は16%で、歴代の首相の中で最低。極右政党ドイツのための選択肢(AfD)に対する政党支持率は、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を抜いて首位となった。社会保障改革が大詰めを迎えることで、メルツ政権にとって本格的な試練が始まろうとしている。 

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