新報道官が5日で退任…トランプはどう人選しているのか?もはや適任者はいないのか

2026.10.20 Wedge ONLINE

 米ホワイトハウス当局者は10月16日、新任のケイティ・ザカリア大統領報道官が退任すると明らかにした。12日に職務に就いたばかりで、わずか5日での退任となる。

わずか5日で報道官を退任することになったケイティ・ザカリア(AP/アフロ)

 これまでの最短記録は、第一次トランプ政権の広報部長に指名されたアンソニー・スカラムーチが11日間(メディアによっては10日間)で更迭されたのが最短で、米政界では短い期間を表すスカラムーチという単位(1スカラムーチ=11日間)が生まれたりしたが、それよりもさらに短期間での退任となった。

 中間選挙を来月に控えた重要な時期になぜそのような失態が発生したのか。そしてそれは何を意味するのだろうか。

初会見と経歴詐称疑惑

 ザカリアの初仕事は、13日の記者会見であった。基本的に用意された原稿を読み上げ、わずか14分で会場を後にするという、褒められた出来ではなかった。

 しかも受け付けた記者からの質問は、リベラルな伝統的メディアを避けて、保守系メディアや新メディアの3社の記者だけであった。また、その答えも満足いくようなものではなく、多くのメディアが批判した。CNNは、「ぎこちなく、気まずかった」とする関係者の声を報じたが、それが代表的であった。

 ただ、この時点では、政権がザカリアを守る気満々であった。スティーブン・チョン広報部長は、ザカリアは「素晴らしいスタート」を切ったし、会見場を「掌握していた」と投稿した。その後もホワイトハウスは彼女の「圧倒的」パフォーマンスを称賛するプレスリリースを出し、チョン部長は、任期が終わるころには「最高の一人」として記憶に残るだろうとまで主張した。

 問題となったのは、初回の記者会見の不出来ではなく、経歴詐称疑惑であった。ザカリアはそれまでネット上やテレビで活躍していたが、その際は自らを弁護士と称していた。ところが、12日の広報官就任直後から、彼女が関係ありそうな州の弁護士名簿に名前がないとネット上で騒ぎになり始めていたのである。

 それで記者たちが、13日に、初会見を終えたばかりのザカリアを伴って大統領専用ヘリに乗り込むトランプに、「どの州の司法試験に通ったのか」という質問をぶつけた。トランプは、付き従うザカリアの方を振り向き、ザカリアは「中国に移住した時に……」という曖昧な返答をした。

 この州名を即答できなかったことに、記者たちは裏取りの動きを強め、14日、ウォールストリートジャーナル紙が「ホワイトハウス広報官のケイティ・ザカリアは司法試験に受からなかった」と報じた。精査の結果、ペパーダイン大学法科大学院を卒業したもののカリフォルニア州の司法試験を受けて不合格だったという事実が確認されたのだった。明らかな経歴詐称と言えた。何よりまずかったのは、トランプも彼女の経歴を信じ、指名時に「法科大学院を優秀な成績で卒業した弁護士」として紹介していたことであった。

評価を分けた共和党系メディアへの出演

 彼女の命運は尽きかけていたが、まだ終わりではなかった。翌15日午後から、ザカリアは立て続けに共和党系メディアに登場した。ダメージコントロールの機会が与えられたように見えた。

 最初は、保守系チャンネルのリアル・アメリカズ・ボイスのジャック・ポソビエックの番組に登場した。弁護士資格については問わないわけにはいかなかったが、ザカリアは、弁護士資格はないが、法律の学位はもっているので法律家と名乗るのは間違いではないと苦しい言い訳をした。

 ポソビエックは最初からザカリアに好意的で、彼女に自由に話させた。鮮やかな赤いワンピースに身を包んだザカリアは、自分が如何に忙しく、そのために弁護士資格を取得する機会がなかったかことを長々と説明した。

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