お金が貯まらない人ほど小さい財布がいい理由

お金が貯まらない人の共通点とは……(写真:遥花/PIXTA)
「長財布を持てば、お金が貯まる」──かつてこんな話が広まり、右も左も長財布を持っている時代がありました。しかし、PayPay(ペイペイ)やLINE Pay(ラインペイ)などキャッシュレス決済が浸透する今、「財布は小さいほどお金が貯まる」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭氏です。その理由を横山氏の新刊『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』をもとにひもといていきます。

財布を小さくすれば無駄遣いが減る

お金が貯まらない人の財布には、ある共通点があります。それは、財布の中にクレジットカードやポイントカードがたくさん入っていることです。

こうしたカード類は、勧められるままに作っていると、どんどん増えていきます。会計時に、「今日のお買い物からポイントが貯まります」「貯まったポイントでお買い物ができます」と言われると、おトクな感じがしてポイントカードを作ってしまう気持ちはよくわかります。

クレジットカードについても、カード独自のポイントやマイルが貯まるからと言われて、つい何種類も持ってしまう。気持ちはわかりますが、本当にその恩恵を受けるような使い方ができているでしょうか?

実際はそれほどの頻度で使ってはいないはずです。むしろ、持っているすべてのカードから恩恵を受けられるほど使っているとしたら、それはカードの使いすぎです。複数のクレジットカードを並行して使うのは、「支出」を見えにくくし、よくわからないままお金が消えていく原因にもなります。

私はこうした人たちに対して、財布を新調することを勧めています。それも「できれば、小さな財布」にするように提案しています。というのも、財布を小さくすると、物理的に入れられる量が限られてくるからです。

まず、場所を取るクレジットカード、キャッシュカード、ポイントカードの枚数を見直すことになります。

本当に持ち歩く意味があるポイントカードはどれか絞り込むうち、日頃の無駄遣いに気づくこともあるでしょう。また、レシートを乱雑に突っ込んでおくこともできなくなるので、必然的に1日、2日で財布の外に出すことになります。

そのタイミングで自分の買ったものを振り返り、「ちょっと買いすぎたな……」と思ったら、翌日から「引き締めていこう」と気持ちを切り替えることもできるでしょう。つまり、財布を新調し、小さくするとお金自体に意識が向くようになるのです。財布からのお金の出入りに気が向くようになれば、管理をきちんとしようという意識が芽生え、「お金が貯まらない人」から卒業する一歩を踏み出すことになります。

スマホがあれば余計なカードはいらない

財布にカードが1枚、2枚しか入っていなくても、キャッシュレス決済が身近になった今、困ることはないでしょう。

これまでもクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済の方法がありましたが、最近はスマートフォンで決済ができるPayPayやLINE Payといった「スマホ決済」のアプリが続々と登場しています。高いポイント還元率や利便性、さらなる還元率アップが狙えるキャンペーン攻勢もあって、多くの人がスマホ決済を試し、日常的に使うようになってきました。

また、ポイントカードのアプリ化も進んでいます。TSUTAYAのTポイントカードは、「モバイルTカード」の名称でアプリに、そのほか、ドラッグストア系、家電量販店系のポイントカードもそれぞれのアプリが登場。これまでのポイントをアプリに引き継ぐことができるようになってきました。

つまり、スマホを持っているのなら、財布の中からクレジットカードやポイントカードを一気に減らせる環境が整ってきたというわけです。