「忘れるのが早すぎる」自分を変える簡単なコツ

「復習」のベストなタイミング、記憶力と想起能力(思い出す力)をアップさせる方法について、メンタリストDaiGo氏が紹介します(写真:Dragon Images/PIXTA)
「えーっと、あれ、ほら、なんだったかなぁ……」。せっかく読んで覚えたはずなのに、どうしても思い出せない……なんてこと、ありませんか? 本から得た知識を自在にアウトプットするためにはどうすればいいのか、そのヒントをくれるのが『知識を操る超読書術』を上梓したメンタリストDaiGo氏です。記憶の流出を防ぐ「復習」のベストなタイミング、記憶力と想起能力(思い出す力)をアップさせる方法などについて聞きました。

「忘れないうちに復習するといい」はウソ

人間の記憶には短期記憶と長期記憶の2つの段階があるのはご存じでしょうか。

例えば、本を読み、覚えたと思ってもすぐに忘れてしまうのは、記憶が長期記憶になっていないからです。短期記憶に記憶しても、新しい情報が入ってくるとすぐに忘れてしまいます。

では、どうすれば長期記憶に残りやすくなるのでしょうか。その仕組みについては世界中の脳科学者や心理学者が研究を進め、記憶の流出を防ぐ「復習」のタイミングに関しては答えが出ています。

ベストな復習のタイミングは「忘れた頃に復習すること」です。要するに「あれ、何だっけ?」「ここまで出かかっているんだけど……」という瞬間がベストなタイミング。長らく「忘れないうちに復習するといい」とされてきましたが、これは間違いでした。

忘れないうちの復習は、短期記憶を何回も何回も繰り返しているだけ。そのときはしっかり覚えたように感じても、長期記憶への定着は進んでいないのですぐに忘れてしまいます。

一方、忘れかけたときに復習すると「生存に関わる重要な情報を優先して記憶する」という脳の性質が働きます。そのとき生まれる、口惜しい、もどかしいという「強い感情」が記憶のキーになります。「わざわざ思い出そうとしている=重要な情報に違いない」と長期記憶に定着しやすくなる、というわけです。

つまり、タイミングよく復習をし、思い出す作業=「想起」を行うことが脳と感情への刺激となり、記憶の定着につながるのです。

こうした記憶の仕組みを利用し、読んだ本の内容を覚える方法として私も実践しているのが、「ミニテスト」です。手順は簡単。

①覚えたい内容の書かれたページを読んだら、いったん本を閉じます。
②今、読んだページにどんな内容が書かれていたかを「想起」します。

読んだばかりのページなら簡単に思い出せそう……と思うかもしれません。しかし、実際にやってみるとわかりますが、私たちの記憶力は曖昧で1、2分前に読んだページの内容もすぐにおぼろげなものになってしまいます。

最初は記憶に残したい1ページごとに「ミニテスト」を行い、慣れてきたら「1つの大見出しごと」「1章ごと」などで区切り、本を閉じましょう。そして、「著者がいちばん言いたかったことは何だろう」「ここでいちばん面白い概念は何だっただろう」と、自分の頭の中でまとめていきます。

ペンも紙もいらず、見ないで思い出す「想起」を挟むだけ。これで長期記憶に定着する確率は50~70%上がることがわかっています。

一夜漬けは、長期記憶に残りにくい

さらに、読んだ本の内容を鮮明に記憶し、活用していくために役立つ復習法が、「分散学習」です。

これは復習の間隔を少しずつ延ばしていくテクニック。間隔を空けながらミニテストを繰り返すイメージです。一度、長期記憶に定着させた情報を思い出すことで、自分が持っているほかの記憶と結び付き、さらに深く覚えることができます。