そこまでやる?新幹線の「コロナ対策」初公開

車両基地では通常の清掃に加えプラスアルファの消毒を行う(記者撮影)

5月25日に政府の緊急事態宣言が全面解除され、人々の移動が再び始まろうとしている。

とはいえ、不特定多数の人が利用する乗り物での移動は不安だという人も少なくないだろう。そこで、鉄道各社が新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みについて、ホームページなどで発表している。

そんな中、JR東海が、東海道新幹線における感染対策を28日、報道陣に初めて公開した。

走行中の新幹線では、車内を巡回する乗務員が消毒液でトイレのドアノブやボタンなど、乗客が触れる場所を丁寧に消毒する。車内のワゴン販売を担当するパーサーも、車内にある準備室など担当範囲について消毒する。近年は警備員が乗車して車内を巡回しているが、さすがに警備員は消毒作業は行わない。それでも新幹線の車内を乗務員が2往復すれば、消毒作業を4回行うことになる。

気密性と換気を両立させる秘訣

最近の通勤電車では、車内の窓開けによる換気が当たり前になったが、新幹線は窓が開かない構造になっている。気密性を高めることで車内の気圧を一定に保ち、高速でトンネルに入るときなどの気圧の変動によって生じる「耳ツン」を防ぐためだ。

しかし、車内に新鮮な空気を取り入れる必要もあり、新幹線では空調・換気装置を使ってつねに外の空気との入れ替えを行っている。換気装置が取り入れた空気は、空調装置で冷やしたり温めたりすることで最適な温度にしてから車内に送り込まれる。荷物棚の下にある吹き出し口から出た空気は、車内を循環して座席の下にある排出口を通じて車外に排出される。

車内の空気は6~8分で外の空気と入れ替わる。空気の入れ替えに伴い気密性が損われないか気になったが、「取り入れる空気の量と排出する空気の量を同一にすることで気密性が保たれる」とJR東海の担当者は話す。

なお、空調・換気はもともと新幹線車両が備えている機能であり、感染症対策として特別なことはしていないという。

所定の走行を終えて車両基地に戻ってきた列車は、次の出動に備えて、車内の清掃作業が行われるが、そこに消毒という新たな作業が加わった。清掃スタッフが座席の肘掛けやテーブル、トイレのドアノブやボタンを次々と消毒していく。通常の清掃作業では殺菌効果があるアルカリ性電解水を用いているが、プラスアルファとして、次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を使っている。

これらの消毒作業は、東京駅などで折り返す際の清掃時には行わないが、車両基地では「1日に1回は必ず行う」(担当者)。座席1つ1つを消毒するとなるとそれなりに時間がかかる。清掃時間が増えて運行の効率性に支障が出ないか気になるところだが、「作業内容が増えたので時間がかかっているとは思うが、所定の時間内に収まっているので、運行に支障はない」という。

切符売り場でも消毒

駅の改札口や切符売り場でも消毒が行われている。東京駅の改札口では駅係員が、自動改札機の切符投入口や取り出し口をこまめにアルコール液で消毒していた。利用客がタッチする場所を中心に消毒するという。係員が交代するタイミングなどに合わせて、毎日定期的に実施。「お客様に安心して快適にご利用いただけるよう、こまめな消毒やご案内に努めてまいります」と、この係員は話していた。

東京駅の切符売り場では、券売機の列に並ぶ人が途切れたタイミングで、券売機のタッチパネルやお金の投入口、お釣りの取り出し口などの消毒が実施されていた。また、券売機で指定席券を購入する場合には、シートマップで埋まっている席、空いている席がわかるので、自分で好きな座席を指定できるという点でコロナ対策になる。係員がいる窓口でも乗客どうしの間隔が空くように座席を選んでいるという。