「姿勢が悪い人」が実は緊張状態にある意外な理由

呼吸は常に「いま・ここ」にあります。いかなるときも自分から片時も離れず、寄り添ってくれている存在です。「過去」「未来」「自分」「他人」に思い悩むのではなく、呼吸によって「いま・ここ」に立ち戻るのです。どんなに心身が乱れたときも、息の出し入れに耳を澄ませば、呼吸とゆらぎが「いま、この瞬間、この場で生きている」ことを証明してくれます。

(イラスト:『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』より)

図のように、いつも真ん中にあるのは、「いま・ここ」である呼吸です。上下左右の「4つのよけいな思考」にとらわれそうになったときも、真ん中の「いま・ここ」に立ち返ってくれば、自然体の「本来あるべき自分」を取り戻せるのです。

私たちが「正しい」と思い込んでいるものには、逆に私たちを縛ってしまっていることが少なくありません。一番典型的なのは、筋肉をかためた「気をつけ」の姿勢ですね。いままで正しいと思ってやってきたことの中に、落とし穴が潜んでいるようなものです。

でも、「正しい」っていったい何なのでしょう。私たちはたいてい、子どもの頃から「正しいことを正しいやり方でしなさい」と言われて育ってきました。だけど、それを信じきってしまうと、もしそれが間違っていた場合、「もう戻りようがない」「もう取り返しがつかない」ってことになっちゃいますよね。

それに、いまの時代は情報があまりに多すぎるし、正しいと見せかけたフェイク情報も蔓延していて、どれが正しいのか見分けがつかなくなっています。

「正しさ」に当てはめると体が緊張する

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「どこかに正しさがある」「誰かが正しさを提示してくれる」というのは幻想にすぎません。そもそも、正しさとは時と場合によりますし、時代によっても変わってきます。かつて大切にされていた「密なコミュニケーション」が、コロナ禍で避けられるようになってきたことも、1つの例だと思います。

私は、そんなに「正しさ」にとらわれる必要はないと思います。「正しさ」の型に自分を当てはめようとすると、あせりや緊張から自分を窮屈に縛ってしまい、かえって理想とはかけ離れてしまいます。

では、いったいどうすればいいのか。私は、「正しさ」ではなく、「ラクさ」「快適さ」「自然さ」など感覚の質を追い求めていくべきだと思います。つまり、何らかの答えを見つけたいなら、呼吸に耳を澄ませ、体の声に耳を傾けて、より快適なほう、より自然でラクそうなほうを選びなさいということ。私たちが「追い求めるべきもの」はいつも自分の体の中にあるのです。