なぜか機嫌がいい人がしている「なるほど」な工夫

(イラスト:Jam)

待つことを、イライラした時間にしないための1つの方法は、待たないことです。つまり、「相手を待つ時間」ではなく、積極的に「自分の時間」にしてしまうこと。

たとえば、私の待ち合わせの場所は、大抵、本屋さん。これで1時間ぐらいまでは待たされてもOK。「申し訳ない。遅くなる」と電話があっても、「気にしないで。どうぞ、ごゆっくり」、相手が来たら「えー、もう来たの? 私もちょうどいい本を見つけたところ」などと言える。これで、相手の罪悪感もとり除いてあげられます。

イライラしないためには、「ちょうどよかった!」とつぶやいてみるといいでしょう。でも「ちょうどよかったとは思えない」ということもありますよね。

恋人から連絡が3日来なくても…

たとえば、「恋人から連絡がもう3日来ない」というとき。1日に何度もスマホをチェックしては、がっくりと肩を落とし、時間が経つにしたがって、さらにイライラ。「なにかあったのかな」「嫌いになったってことはないよね」という不安が、だんだん腹立たしさに変わっていきます。そんなときも、「ちょうどよかった」はあるのです。

「これを機に、連絡のマメさで愛情を測るような幼い付き合いから脱皮しよう」「それだけ私に甘えてくれてるってことね。次に会うときは相当うれしいだろうな」。待つのは忍耐力を要します。イライラが大きくなると、恨みがましい物言いになるので、できるだけ楽観的に。

(イラス:Jam)

仕事では、いろいろなことを期待されます。「いい部下」「いい後輩」「いい先輩」「いい社員」……そんないろいろな期待にすべて応えようとがんばると、疲れてしまうはずです。

私も、初めて上司の役職が与えられたときは、部下から尊敬され、慕われる上司、会社からも認められる管理職になろうと必死にがんばり、毎日クタクタ。部下は思い通りに動いてくれず、自分も理想の上司になれないことで、イライラは慢性化していきました。

いま思うと「いい人でありたい」「嫌われたくない」という気持ちが強かったのです。裏を返せば、そのままの自分がどう思われるか、自信がなかったのだと思います。でも、未熟な部分を見せてもいい、むしろ見せたほうが周りから助けてもらえるということも、いまだからよくわかります。

役割や仕事を与えられたとき、「人の期待に応える」ということは大事です。相手の期待を1%でも超えることで相手は喜び、信頼してくれるようになります。ただ、すべての期待に応えるのではなく、「ここだけは期待に応えよう」というポイントを押さえればいいのです。

できない部分は、素直に「ちょっと難しい」「助けて」と言っても大丈夫。成長しようとすることは大事ですが、できるだけ素の自分でいられる人間関係を目指しましょう。

「お茶碗を洗うタイミング」でケンカに

(イラスト:Jam)

以前、友人のAさん、Bさんが共同生活をすることになりました。気持ちよく共同生活を送るために「掃除は当番制」「必要のない電気は切る」など、細かくルールをつくって壁に貼り、楽しくやっているように見えていたのですが、この生活は半年ももちませんでした。

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原因は茶碗洗いです。Aさんは食事をしたあと、すぐにお茶碗を洗うタイプ。一方、Bさんはしばらく水につけておくタイプで、そのまま朝まで放置することも。Aさんは当初、目をつぶっていたのですが、ある日「ねぇ、すぐに洗おうよ」と注意したところ、口ゲンカになり、そのまま険悪な状態に突入。数日後、「もう、一緒に住むのはやめましょう」という結論に。

いえ、茶碗洗いはきっかけにすぎず、日ごろからたまっていた鬱憤があったのです。人間は自分に甘く他人には厳しいものです。自分基準で相手を見て、イライラします。でもイライラするポイントは人それぞれ。待たされること、礼儀がなっていないこと、食べ方が汚いこと……。相手にどの程度、好意をもっているかも関係してくるでしょう。

相手はなにを大事にしている人か、なににイライラするかのポイントを知って対処することで、人間関係もスムーズにいくようになります。「私、こういうところでイラつくのね」と自分の性質を知っておくと同時に、「自分にも至らないところがある」と謙虚になることも大事かもしれません。