「医師からの説明」でなぜ患者は不安になるのか

また、インフォームドコンセントの中には、治療の内容や起こる可能性のある副作用を医師が淡々と読み上げ、実際の治療方針の決定は「自己決定権」として患者に丸投げするようなものが少なからず存在します。そしてその丸投げとなる選択肢も、医学的知識が必要なため、その場では完全に理解できず、結局、医師に言われるままの選択になりがちです。

ただでさえ病気に対して不安がある中で、複雑で医学的な知識に基づいて重要な決断を迫られるような状況はかなりのストレスです。私も以前に何度かインフォームドコンセントを受けた経験がありますが、ひととおり基本的な医学知識を教科書で学んだ医師という立場であっても、「専門的な部分は知識がないところもたくさんあるし、もう一度家に帰って詳しく勉強してから質問・返事をしたい」と思いました。

説明している医師にとっては何度も話している内容でも、患者にとっては初めて聞くようなことが多く、このギャップを埋めることも重要であると考えます。

結果的にどのような治療方法を選んだとしても、自身が選んだ選択なのだから大丈夫だ、と思えればきっと前向きな気持ちで病気に向き合えるはずです。

そのためにも、医師をはじめとした医療スタッフや、家族・友人とのコミュニケーションを通して少しでも不安な気持ちを解消し、納得したうえで治療を受けていただければと思います。