Netflix新作に「こんまり夫婦」登場の深い意味

「職場では母親失格で、家庭では経営者失格だと感じる」。そうため息交じりに話すジョアンナさんの気持ちに共感できるワーキングマザーの方は多いのではないでしょうか。ワーキングマザーに限らずとも、仕事と生活が入り組みがちであることは、コロナ禍になって初めてリモートワークを体験した方も感じ始めていることかもしれません。

その解決方法として、仕事場の空間を片づけることを推奨していくわけですが、さらに一歩踏み込んで、片づけをきっかけに根本的な問題を見出していきます。どのエピソードにも共通する流れで、これこそ今回のシリーズタイトルの“もっと”を象徴するもの。面白みでもあります。

前作の配信開始後、近藤麻理恵さんのもとにさまざまな「こんまりメソッド」体験談が寄せられたそうです。その中に「自宅だけでなく、職場も片づけたい」「人間関係も片づけたい」という意見があり、それが今回のシリーズの企画につながっていきます。近藤麻理恵さん本人にもこの経緯を確認し、このとき、家族で出演した理由も明かしてくれました。

「単なる片づけという側面ではなく、片づけは人生の一部だと思っています。だから、片づけることによって“ときめく”感動をどのようにして磨くことができるのか、人生にどのように活かすことができるのか。お見せしたいと思い、家族揃って出演しました」

片づけが終わった後にやってくる普段の暮らしのなかで、どうすれば、“ときめく”ことができるのか。これを今回とことん追求するために身をもって伝えたというわけです。

この10年の間に自身の生活も大きく変化した

近藤麻理恵さん自身もこの10年の間に毎日の暮らしが変化したことが大きかったようです。結婚し、子どもを3人授かり、片づけのことしか考えていなかった独身の頃と比べると、「家庭生活を重視するようになっていった」と言います。

「思えば、以前は片づけ一筋の仕事人間でした。それが、暮らしの中で家族にとって“ときめく”ような毎日にするにはどうしたらいいんだろう。片づけによって毎日の暮らしをより丁寧にしていきたいと思うように至りました」

家から飛び出し、職場や地域コミュニティが「ときめく片づけ」の新たな舞台。職場でよくある片づけの悩みを「こんまりメソッド」で解決していく(画像:Netflixシリーズ『KonMari ~"もっと"人生がときめく片づけの魔法~』全世界独占配信中)

ワークライフバランスが今作のまさにテーマ。今回登場した3組も仕事好き人間という共通点があります。でも、大事な家族との生活や関係性も大事にしたい。そんな悩みに近藤麻理恵さんも共感できるからこそ、仕事と暮らしが密接につながった片づけを勧めることに説得力が増していると思うのです。

何より番組を通じて伝えたかったのは「自分の場合は?とご覧になっていただいた方に片づけのアクションを起こしていただき、人生を見つめ直すきっかけを作ってほしい」という想いだったそうです。実際に番組を見て、まずは片づけ欲が高まるかどうか。試す価値はあると思います。