「家賃は年収の何割がいいか」をデータで読み解く

葉 / PIXTA

「家賃は年収の何割に抑えるのが適切か?」という問いをインターネット上でよく目にする。これに対し、「年収の1/3」なんて書いてある記事も多い。しかし、これは貸し手側(不動産業者や物件オーナー側)の言い分に過ぎない。日本の平均年収は433万円(『令和2年分民間給与実態統計調査』)で、家賃をこの1/3とすると年間144万円、月々12万円にのぼる。高すぎる印象を持った人が多いのではないだろうか。

そこで、別の調査結果を調べてみた。国土交通省の調査では、民間賃貸住宅に住む人の平均世帯年収は486万円で、平均月額家賃は7.6万円、平均共益費は4575円だった(『令和2年度住宅市場動向調査報告書』)。この平均的な賃貸住まい世帯の場合、年収に占める家賃(共益費含む)の割合は約20%となる。このくらいの水準が日本の平均的な割合と考えていいだろう。

ハイクラス賃貸物件の場合は?

一方で、J-REIT(日本版不動産投資信託)が運用しているマンションの入居者の場合は平均25%と試算している(公表データや著者が運営するマンション情報サイト「住まいサーフィン」が保有するデータを基に著者が算出)。

J-REITが運用するマンションは比較的品質の高いマンションになるが、私はこの結果を見た時「高い!」と衝撃を受けた。なぜかと言うと、住宅ローン返済の延滞発生確率が上がり始めるラインと変わらなかったからだ。

年収に対する住宅ローンの支払い額を返済比率と言うが、これが25%以内だとほぼ延滞はないと言われる。が、これを超えると延滞率が上昇を始める。住宅ローンは35年などの長期で返済するものなので、支払えなくなるほど借りないし、貸さないものだ。実際、フラット35の返済者の総返済負担率(1カ月あたりの予定返済額を世帯月収で割った数値)は平均22.2%である(住宅金融支援機構『2020年度フラット35利用者調査』)。

つまり、家賃が収入の25%となると、持ち家以上に住居費を払っていることになるし、住宅ローンの延滞の危険性が増す目安である25%がJ-REIT運用マンション入居者の平均的な家賃割合ということは、半数の人はこの「危険ライン」を超えていることになる。

家賃の場合、延滞に対する対処は二重三重にされている。家賃保証会社に委託して延滞時には家賃を肩代わりしてもらう契約は全体の75%に及ぶし、連帯保証人を立てたり、預り金である敷金を充当したりする。

先ほどのJ-REITの運用物件の入居者の場合、100%に近い確率で保証会社に入っている。そうなると、リスクは保証会社が負っていることになる。家賃の延滞が発生したら、マニュアルに従って粛々と対応することになる。要は債権を回収して、退去させるのである。

日本賃貸住宅管理協会が行った「家賃債務保証の利用状況調査」の結果では家賃保証会社の入居不可の割合は、外国人が4.4%、生活保護受給者が4.0%、単身の高齢者(60歳以上)が3.4%となっている。つまり、ほとんどのケースで許可しているということだ。それに甘んじて住み始める人は多いと想定される。

J-REITが運用する物件で年収にしめる家賃の割合が増えているのには、他にも理由がある。それは、住宅手当の増額である。日本では労働力人口が既に減少している中で働き手不足が深刻である。新卒などの採用が激化する中で、住宅手当などの福利厚生が手厚くなる傾向がある。特に、上場企業などの大企業やIT関連の企業は住宅手当を増やしている。これにより、実質的な家賃負担は年収比率より軽減されていることになる。

同じ「年収の25%」払うなら