「配属ガチャ」「上司ガチャ」が何とも不毛すぎる訳

本来は、ガチャに一喜一憂するのではなく、個人としては、中長期のキャリアを見据えて主体的に行動していくことが大切だ。

そのためには、主体的に個人から情報を取りに行くことはもちろんだが、直近で完全に希望に沿わなかったとしても(そもそも100%の希望に沿った機会というものはほぼないだろう)、成果を出し、成長し、次の機会をつかめる土台をいかに創るかも大事になる。それは、期間内は我慢しろということではなく、環境が変わっても転用できる市場価値を身に付けるということだ。

それに加えて、受動的な姿勢に限らず、同時に、主体的判断をするための、組織に対する客観性・俯瞰性を持っておくことが求められる。

「部下ガチャ」と嘆く前に

今の環境に居続けることが妥当なのか、本当にリセットを考えるべきなのか、長いスパンで自分のキャリアを相談できる相手を、社外にも見つけておくことも欠かせないだろう。例えば転職エージェントもそうだ。一般的な転職エージェントはサービスを利用したいときにたまたま付いてくれた人が担当になるケースが多い。「エージェントガチャ」を仕方なく受け入れるのではなく、自分が信頼できる相手を主体的に選んでいくことが、前向きなキャリア形成を実現するには必要かもしれない。

最後に、上司世代は、「部下ガチャ」と嘆くのではなく、多様な人材のマネジメントを行えることが上司の役割として認識し直すことが必要だ。若手側の特性やタイプをあらかじめサーベイ等で把握し、タイプに応じたマネジメントを行うための管理職向けのトレーニングを行うケースも増えているが、これは、管理職個人の自己流マネジメントに任せず、組織として支えるフェーズに来ているということなのかもしれない。

結局、若手世代と管理職世代の、こうした価値観の違い論争は、お互い押し付けあってもいい結果にはならない。お互いが生きてきた時代背景の違いを踏まえた相互理解のきっかけになれば幸いだ。