微妙に上から目線の若手に上の世代が向かうコツ

つまり、古今東西いつの時代にも、こういう議論が交わされていたわけです。オトナ世代が若手社員に感じるストレスは、極めて普遍的な問題であるといえます。

しかしながら、令和の職場を生きるオトナ世代が感じる「今どきの若いやつは……」というストレスは、先人たちのそれとは明らかに一線を画すレベルなんじゃないかと思うのです。それは、この時代、イライラモヤモヤを吐き出すことが、なかなか難しいからです。その昔、理不尽な発言がある程度まかり通っていた時代であれば、ストレスを感じたとしても、もっと発散しやすかったはずです。

しかし、このご時世、ものすごく気を遣って発言していても、いつ自分が「パワハラ」の当事者になるか分かりません。負のエネルギーを放出できない……。ここまで我慢を強いられているのは、令和のオトナ世代だけなんじゃないでしょうか。

一方で、今どきの若者は「SNS村社会」の住人と言われる世代です。ツイッターやインスタグラムで会ったことのない人とも容易につながり、仲間関係が、横に横に広がっていきます。そこには年上も年下もなく、経営者でも会社員でも、あるいは国籍が違っても、個と個でつながっています。

会社という“閉じられた垣根”も、役職という“タテの関係性”もありません。ですから、目上の先輩への過度な敬意も上司への服従も、その必要性を感じなくなってきています。

こんな価値観がベースにある若手に対して、上司や先輩はパワハラリスクを回避しようとする意識から、つい腰の引けた対応になってしまう。こうしたゆるいコミュニケーションは、当然ながら若者の言動を増長させることになります。
 
「今の課長のアイデア、フツーによかったっす」

結果、目上の上司に、こんな発言をする若手社員が散見されます。賛同してもらっていること自体はありがたいのですが、微妙にタメ口っぽい物言い……。「目上の相手に向かって失礼じゃないか!」と声を荒げるレベルでもないけど、「もうちょっと言い方ってあるんじゃないの?」とモヤモヤします。しかし、今どきの若手には、こんなオトナ世代のサイレントなストレスはいっさい届いていません。

世界でも稀有な上下関係

もちろん、目上の人への敬意がないがしろにされるのは問題でしょう。しかし、ここまで上下関係を気にする日本という国は、グローバル視点からは、かなり稀有な存在でもあります。

日本における上下関係について少し歴史を遡ってみましょう。徳川幕府で公式な学問となった朱子学(儒教)や、家長や長子相続を旨とする日本の家族制度が、上下関係を重んじる風土に大きな影響を与えたと言われています。

長子相続の法令は、第二次世界大戦後に廃止されました。にもかかわらず、こうした上下関係の概念は、日本社会の根底をなす価値観として残っていきます。そしてその慣習は、高度経済成長の企業文化として引き継がれました。

それが「メンバーシップ型雇用」と言われる日本特有の雇用システムです。労使が固い絆で結ばれた関係性で成り立っていて、閉ざされた会社の中で、強固なタテのヒエラルキーが形成されていきました。

世の中間管理職は大変です。

若者に対しては立派に振る舞いたいけど、組織の中での立場もあるからこそ、板挟みになることも往々にしてあります。「在宅」「出社」、「上座」「下座」といった問題などは、自分の上司と若手社員の間で、気を遣わざるをえない代表的な例といえるでしょう。

そんな状況下で、少しでも若手社員にイライラモヤモヤしなくてすむには……。その第一歩は、若者の脳内を知ることでしょう。彼らの言動の背景にある価値観が分かる、ほんの少しでも共感できる。これだけで意外とスッキリすることもあります。