知ってると安心「仕事で失敗する人」3つの共通点

失敗する人の共通点について解説します(写真:tkc-taka/PIXTA)
ビジネスで成功するには何に気をつければいいのでしょうか。そして、よりよりキャリアをつくる方法はあるのでしょうか。GE(ゼネラル・エレクトリック)のリーダー育成機関・クロトンビルで日本人として唯一リーダーシップ研修を担った田口力氏は「こうすれば失敗するという要件がある」といいます。新著『次世代型リーダーの基準』を上梓した田口氏がその要件を解説します。

成功する人とそうでない人を分ける要因

世の中には「こうすれば成功する」「成功する人の条件」といった類いの本がたくさんあります。「成功」そのものについて、どのように定義するかは個人によって異なります。ある人にとっての成功は、ほかの人にしてみれば成功とはいえないかもしれません。

また、人生における成功なのか、会社に勤める人としてのキャリア上の成功なのかによっても、成功の定義やイメージは変わるでしょう。

私は若いころから、幸運にも多くの経営者や、さまざまな分野で顕著な成果を収めた人たちと、仕事でご縁をいただきました。そして、いわゆる“成功者”と世間で言われる人たちの、その成功のための要件を抽出してみようと長年考えてきました。

一方で、私と同年代の人たちを約30年間観察してきて、私から見て成功している人とそうでない人を分ける決定的な要因は一体何なのだろうと考え続けてもいます。

残念ながらまだその答えは見つかっていません。何とかして3つ程度にその決定的要因を絞り込んでみようと努力はしているのですが、どうしても「運」という大きな要因が割り込んできてしまうのです。

人のキャリアや人生の成功は運次第、と気軽に割り切れるものではありません。努力を積み重ねたうえに成功があると信じたいものです。しかし、まじめに努力さえしていれば必ず成功が約束されているかと言えば、そうとも言えないのが現実です。

つまり、成功の要因を特定しようとしても、やはり自分ではどうにもならない「運」という偶然性がつきまとうのは確かです。

しかし、その偶然性を呼び込むための努力は続けるべきであり、もしその機会=運が目の前に訪れたら、自分の価値観やキャリアの最終ゴールとの整合性を勘案して、その運を生かすかどうかを判断すべき、というのが今のところの私の見解です。

失敗の研究はさかんになされている

ちなみにGEにおける成功要因として教えているものの中で、取りも直さず筆頭に来るのがGEバリューと言われるものです。これは価値観ではなくGEにおける行動規範です。以下、リーダーシップ・スキル、商才、GEに対する理解、自分の価値観に対する認識、コミュニケーション・スキル、プレゼンテーション・スキルなどが挙げられます。

このように、GEの“社内”では明確な成功要因があるので、成功に向けた努力の方向づけも比較的容易です。しかし前述のように、一般論として通用するような成功のための要因の特定はかなり難しいのです。

一方で、失敗する要因はかなりの確率の高さでわかっています。アメリカをはじめとして、実は失敗の研究はさかんになされているのです。研修のときも、GEにおいて成功するために必要な事柄と共に、こうすると失敗するということも、「転ばぬ先の杖」として教えています。

ここでは、3つご紹介しましょう。

①柔軟性(Flexibility)

変化への対応力と言ってもよいと思います。別の言葉で言えば「適応力」です。新しい職場環境や仕事、対人関係などに柔軟に適応できるかどうか。

②社会的責任(Social responsibility)

チームの一員として他のメンバーに対して協力的であり、貢献することができるかどうか。他者に対する配慮ができるかどうか。