単純に考え誰も気づかない発想閃く人が最強の訳

ABどちらかに傾き、仮にAが軽く、Bが重くなった場合には、Aの中に軽いボールが一つあるか、Bの中に重いボールが一つあるか、のいずれかになりますので、Cの正常なボールを使いながら残り2回の実験を行うと、違う重さのボールを特定できます>
 

この問題は、注意力も試されますし、いかに頭の中をシンプルにして整理できるか、といった要素が詰まっている問題です。

この問題を解くのも、仕事での問題解決も、頭の使い方は同じです。ポイントは、いかにシンプルになれるか、です。複雑に考えすぎるよりも、シンプルに考えることで、問題解決の糸口が見えてくるはずです。

誰も知らないけど必ず存在する「抜け道」

この「12個のボール問題」は、いわば「正攻法」でのシンプルな思考が試される問題です。

しかし、「他の人より大きな成果を出したい」と考えるのであれば、その「正攻法」だけでは十分ではありません。常識に囚われない、誰よりも尖った戦略を立てるためには、競争相手の誰もが気づかない「抜け道」を見つける思考が求められます。

私自身が戦略を立てる際も、この「抜け道」、すなわち「サードドアを」探すことを何よりも優先しています。

「サードドア」とは何でしょうか? 百貨店の入り口をイメージしてみるといいでしょう。

まずは「ファーストドア」。これは誰もが知っていて、誰もが使う、一般的な正面玄関です。

「セカンドドア」はVIP専用の入り口。外商部などに直通で案内されている、大金持ちだけが使っている入り口を想像するといいかもしれません。

最後の1つが「サードドア」。これは、誰も教えてくれない「裏口」のことです。

基本的には、「裏口」の存在を客の誰もが知らないし、店員も教えてくれません。しかし、どこかには必ず存在している、秘密の抜け道へと繋がる扉です。

正面突破の「ファーストドア」が正しいとは限らない

戦略論に置き換えると、誰もが知っている「ファーストドア」からの真っ向勝負が、よい戦略になるとは限りません。

誰でもアクセスできるファーストドアでは、すでに並んでいる人と一緒に順番待ちをしたり、その他大勢の人たちと競ったりする必要性が出てきます。それは、すでに戦いを許容した前提であり、消耗戦を強いられます。

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「自分だけの戦略」を立てたいなら、消耗戦を避け、戦わずして勝つための「サードドア」の戦略を目指しましょう。

『サザエさん』を例に挙げると、三河屋のサブちゃんのように、勝手口という「サードドア」から磯野家(=お客さま)に接触する方法は、たしかに存在しています。頭を柔らかくして、その「サードドア」という抜け道を探し出すことが、筋のよい戦略を立てるポイントです。

特に、これからの時代は「いかに早く抜け道に気づくかどうか」が勝負になってきます。そしてその抜け道の発見は、圧倒的な成果に直結します。

日本ではUberEatsでお馴染みのUberを例に挙げましょう。

タクシー代わりとして、自家用車とその運転手の時間を活用しお客さまを目的地に運ぶサービスが海外のUberです。その結果、通常のタクシーと比較しても遜色ない価格で、使いたいときに同じように移動できる革新的なサービスがもたらされました。

サービスは革新的ですが、「非稼働の一般車を有効活用する」という発想自体は、極めてシンプルです。これはまさしく、サードドア的思考の代表例と言ってよいでしょう。

もう1つ例を挙げると、Airbnbも同様です。「空き家になる間だけ他人に部屋を貸すという」サードドア的思考によって、「旅行の際はホテルに泊まらないといけない」という固定観念はぶち壊されました。こういった革新的なサービスが、WEBサイトやスマホアプリのみで作り上げられたことにも驚かされます。