アメリカ人の「マリオ愛」がもたらした映画化成功

ジェレニックは、「子供時代、学校から帰ってきて、いつもこのゲームで遊んだものだ。僕はこれを、子供の頃、ゲームをしながら感じたことを映画として体験できるものにしたかった。その感情をスクリーンに持ち込みたかったんだ」と語っている。

ホーヴァスも、「僕たちが重視したのは、キャラクターと彼らの世界を忠実に描くこと。それで僕らはゲームを見直し、最もよく出てくる要素を探して、ディテールを極めた、信憑性のあるデザインを作った。観客がつい手を伸ばして触りたくなるようなものを」と述べる。

音楽にしても同様。作曲家のブライアン・タイラー(50)によれば、この映画のサウンドトラックには、マリオのゲームから取った要素が最低でも130個あるとのこと。タイラーは、近藤浩治によるゲームの音楽を新たにアレンジしたり、抽象的に変えてみたり、自分が書いた曲の一部として含めたりしながら、広げていった。

「オリジナルのゲームの音楽へのラブレターとしてこれらの音楽を書いた」とも、タイラーは語っている。観客は音からも、これはマリオの世界だと感じるのだ。

これらの人たちは全員40代から50代で、まさにマリオ世代。デイは、自分がマリオの映画に出ることを子供が喜ぶのはともかく、大人である友人たちも同じくらい興奮したことに驚いたとも語った。事実、アメリカでは、午後7時以降の回にも十分人が入っている。それはつまり、子連れ以外の層にもアピールしているということ。半世紀近くも人気を保ってきたゲームならではのパワーだろう。

ローゲンは、「『プレミアにわが子を連れて行っていい?』とこんなに聞かれたのは初めて。みんなすごくこの映画を楽しみにしているんだ」とも語っている。そんな世代を超えたゲームのファンは、この映画を見て、これぞマリオの世界だと感じたのだ。

マリオ
ピーチ姫役のアニャ・テイラー=ジョイ(写真:Kayla Oaddams/Getty Images)

当然のことながら、興奮したファンの間では、早くも続編にはどのキャラクターを出すべきか、その声を誰が演じるべきかなどの論議が起きている。そういう想像をめぐらせるのも楽しいものだ。

イルミネーションと任天堂は、続編に関してまだ何も発表していない。しかし、クレジットの最後には、次へのヒントを匂わせるシーンが用意されている。28日、日本でついに公開された際には、ぜひ最後までしっかり席に座って、その会話に参加してほしい。