2023年上半期「売れた商品ランキング」全国版

(写真:Mills/PIXTA)

新型コロナの感染状況が落ち着いてきたことで、消費動向にも変化が表れてきた。全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、約6000店舗の販売動向を追っている「インテージSRI+」のデータを基に、2023年上半期に「売り上げが伸びた商品・落ちた商品」をランキング化した。

販売金額を前年比で見たランキングで、コロナ前と比較するため2019年比も掲載している。

「売り上げが伸びた」商品トップ30の顔ぶれ

売り上げが伸びた商品ランキングで好調が際立つのが医薬品で、トップ10のうち6つを占める。

1位の検査薬は、前年の2倍超、コロナ前の2019年比では4倍近くまで販売が増加。コロナ用の抗原検査キットが牽引した。感染者数が多かった年始に販売のピークがあったが、その後も感染していないかを自身で確認する需要は底堅く推移したようだ。

2位の強心剤、4位のビタミンB1剤、11位の整腸薬などの医薬品は、インバウンド需要の回復を受け伸長した。日本の医薬品の一部は「神薬」と呼ばれ、アジアを中心とする訪日観光客に人気だ。

2022年10月に水際対策が緩和されてから、訪日観光客が増加傾向にあり、インバウンド需要が活況となっている。ビタミンB1剤や整腸薬は、健康への効果が注目を集めるなど国内需要も堅調で、コロナ前の2019年を上回るまで販売が伸びた。

6位の総合感冒薬、7位の鎮咳去痰剤、8位の口腔用薬と感染症治療薬も上位に入っている。インバウンド需要だけではなく、国内需要の伸びも見られた。国内で風邪やインフルエンザなどを発症する人が増えているためだ。背景として、3月にマスク着用が個人の判断となり、5月にはコロナが感染法上の「5類」に移行するなど、感染予防に対する意識の変化がありそうだ。

外出機会の増加で化粧品も好調だ。3位の口紅と10位のほほべに(チーク)は、とりわけ大きく伸長した。マスクを着用せずに人に会う機会が増えてきたことが需要回復につながっている。

雑貨や食品・飲料でも同様の傾向がある。12位の日焼け止め、14位のリップクリームは、外出時のセルフケア需要で伸長。18位の果汁飲料は、熱中症対策の商品が好調で、外出時の水分補給として人気となっているようだ。

26位の育児用ミルクも、値上げによる販売金額の伸びが見られたものの販売数量も堅調。外出時に手軽に与えられることから伸長したとうかがえる。

「売り上げが落ちた」商品トップ30の顔ぶれ

続いて、販売金額が落ちたものランキングを確認したい。コロナ禍に伸長していた商品が、反動により落ち込んでいる。

1位の体温計、2位の殺菌消毒剤、4位のマスクは、感染予防対策で爆発的に売れた商品である。それでも、マスクの販売金額は2019年の2倍を超える水準を維持しており、感染対策にマスクを買っている人は少なくないようだ。

3位の麦芽飲料や8位のオートミールも、コロナ禍に健康やダイエットいい商品として人気になったが、反動により減少している。ただ、オートミールについては、2019年比では11倍を超える規模となっており、ブームをきっかけとして食卓に定着した食品だと言えるだろう。