副業で300万円のジム買った会社員の成功の極意

最初は頭のなかが「?」マークでいっぱいでしたが、読み進めるうちに腑に落ちることがたくさんありました。

マッチングサイトを利用する

最初はM&Aマッチングサイトや日本政策金融公庫、事業承継・引継ぎ支援センターに登録し、幅広く会社を探しましたが、仕事をしながらだったので、次第にマッチングサイトを主に使うようになりました。

気になった会社に何件かアプローチしたものの、競争入札に負けてしまったり、基本合意まで行ったけれど事業性に不安があって買収を断念したりといったことがあり、一時は熱が冷め、会社探しをやめてしまった時期もありました。

久しぶりにマッチングサイトを見た2022年1月17日、ちょうどその日に公開された案件が目に留まりました。それが今回購入したパーソナルジムでした。

後で聞いたところによると、関東で6店舗経営しているパーソナルジムで、元K―1選手がオーナーをしていたのですが、オーナーが農業系ベンチャーを始めることにしたため、ジムは売却することにしたそうです。

6店舗あるうちの5店舗は各店舗のトレーナーなどが買い取ることで話がまとまったのですが、群馬県前橋市にある1店舗だけ後継者が決まらない。そこで事業譲渡を考えているとのことでした。

ジムは市の中心地にあり、国道沿いの交差点の角地という好立地。そのわりに家賃は8万円ほどと安く、すでに5年以上の運営実績がありました。会員も40名ほどいて、営業利益もしっかりと出ている。

当時、私は東京に住んでいましたが、本業の関係で移住する予定だった群馬県にあるというのも気に入りました。売却希望金額は300万円。まさに本のタイトル通りだと思い、気持ちが躍りました。すぐに秘密保持契約を結んで実名交渉をはじめ、2日ほどやりとりをして面談のアポを取りました。

なぜこんなに安いのか?

オーナーの方に聞いたところ、最初にアプローチしてきたのが私で、その後すぐに4~5人続いたそうです。オーナーはそのうち私を含めて3人と会ったそうですが、「最初にメッセージをくれた人にはグッと思い入れができるよね」と言ってくれました。躊躇せず、すぐにアプローチしたのは正解だったと思いました。

面談前に先方から送られてきたP/Lは、前月の単月分のものでしたが、業績は上々でした。単月で25万円ほどの利益が出ていました。そのまま年間に直せば、ちょうど300万円ですから、現在のまま運営するだけで買収金額はわずか1年で回収できることになります。

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』には「純資産+営業利益の3~5年分」が買収金額の一つの基準だと書かれていたため、ちょっと安すぎるのではと思いました。話ができすぎている。

また、販管費は家賃とトレーナー1人分の人件費しか書かれていない。「いいな」と思うのと同時に、「怪しいな」という思いも浮かんだ私は、オーナーに1年分のP/Lを見せてほしいとお願いしました。

数日後に1年分のP/Lが送られてきて確認したところ、やはり営業利益が年間300万円近く出ていました。8月の売り上げがゼロでしたが、それはトレーナーが新型コロナウイルスに感染して、1カ月まるまる店を閉めたからだと説明を受けました。私はなぜこんなに安いのかという疑念を拭えないまま、面談に臨むことになりました。

東京から車で2時間かけて前橋市の店舗に行きました。やはり店の立地は最高でした。ロードサイドで視認性がよく、人も車もバンバン通る。そこに駐車場が3台分ついている。これで8万円という家賃は都内では考えられません。

お客様とトレーナーのマンツーマンレッスンなので、店舗にいるのはトレーナー1人でいい。入金はキャッシュレスでレジに現金を取りにいく必要もなく、オーナーの手間もかからない。会員制で固定客はついている。スケジュールを見せてもらうと、予約の枠はまだまだ空いているのに、利益は十分に出ている。スケジュールを埋められれば、さらに利益が上がることもわかりました。