「職場の苦手な人」で心を消耗しない2つのコツ

(写真:metamorworks/PIXTA)
「頑張っているのになぜか仕事で成果が出せない――。こんな経験、みなさんもしたことあるでしょう。実は、こういう時、その人にとっての最大の敵(うまくいかない要因)が、その人『自身』であることが少なくありません。『自分には才能がないから』などと余計なことを考えたり、『だから自分はダメなんだ』などとダメ出ししたりして、どんどん自分で自分の心やメンタルを追い詰め、パフォーマンスを下げてしまっているのです――」と語るのは、キャリア教育研究家で『『会社、仕事、人間関係で 心が疲れない仕事術』の著者の福山敦士氏。仕事における人間関係が楽になる考え方について話を聞きました。
 

苦手な人は「気にしない」

「仕事をしたくない」「働きにくい」と感じる理由の多くは、職場の人間関係です。「周りのみんなとうまくいかない」「苦手な同僚がいる」などの理由で退職を決意する人も少なくありません。ですが、日本だけでも約1億2500万人いるうえに育ってきた環境も性格も皆違います。つまり、相性が悪い人がいて当たり前。どこの職場も変わりません。そのことで悩むより、相性の悪い人との付き合い方を身につけておくといいでしょう。

では、相性の悪い人とどうやって付き合っていけばいいのか?

結論は「気にしないこと」につきます。

苦手な人とは「上手に距離をとったほうがいい」という意見もあります。しかし、鉢合わせしないように気を使っていると、かえってその人の動向が気になり、余計に疲れてしまいます。苦手な人間関係を克服するには、やはり自分の心の持ちようを変えるのが一番です。

そのために、まず知っておくべきことがあります。それは、起こった出来事に対するネガティブな気持ちも、ポジティブな気持ちも、すべてあなた自身の心が作り出したものだということです。

毎日顔を合わせる職場の人を「ウザい」と思っているのなら、その人が存在するという事実だけを受け取り、感情は持たない、つまり、なんとも思わない訓練をしましょう。

ロボットじゃないから「なんとも思わない」ようにするなんて難しいと思われるかもしれません。では、その相手のことを、「水とタンパク質の塊」と思ったらどうでしょう? 人間は皆、水とタンパク質とが集まってできたものです。「ウザい」態度を取ってくる人も、最後には皆、同じように焼かれて消えてしまう存在です。「ウザい」と思う理由があったとしても、「いずれは消えていく……」と考えたら、イヤな気持ちが少しは軽くなる気がしませんか?

「偉い」人はいない

たとえば、そのウザい人が上司だったとします。上司はあなたに対して逐一指図したり、注意したりしているかもしれません。そのため、あなたは「上司=偉い人」だと錯覚するかもしれませんが、上司は偉いのではなく、あなたより先に組織に入っていたり、上司として必要なスキルと経験を持っていたりするので上の立場にいるだけに過ぎません。

つまり、上司は偉いのではなく、会社(組織)の方針にのっとって部やチームを運営する役割を担っている人だと理解しましょう。組織を運営するために指示をしているのです。このように相手の立場を正しく理解することで、余計な感情を抱くことが少なくなります。

だからと言って「ウザい」という感情が湧いてしまうのは防ぎようがありません。上司がウザい時は「人間は水とタンパク質の塊」と思い出してください。そして、起きた出来事だけに目を向けて「ウザイ」と思うまでもない状況にしてしまいましょう。起こった出来事に対する感想、感情はあなたの心がつくり出すもの。事実だけを淡々と受け止め、心を無駄に動かし、わざわざ疲れさせないことです。