スキルが高く愛想が良くても「低評価」のなぜ

ジョーの仕事ぶりは、ダメなシステムの典型です。

顧客の満足度という観点から見ても、仕事の効率が悪く、評判もよくありません。お客さんを怒らせることも多く、せっかくの修理の腕が高い評価につながりません。

「評価されるシステムの特徴」とは

ダメなシステムの特徴」を挙げてみましょう。あなたに当てはまることがないか、考えてみてください。

特徴1 仕事に制限を設定していない
特徴2 新しい仕事にすぐに反応する
特徴3 同時にいくつもの仕事をする
特徴4 1日にできる仕事量を把握していない
特徴5 毎日、1日分の仕事を終えられない
 

一方、ミックの仕事のシステムはまったく違います。修理の腕はジョーに一歩譲るものの、顧客からの評価は抜群です。

評価されるシステムの特徴」を挙げてみましょう。

特徴1 仕事に制限が設定されている
特徴2 集中力を散漫にしていない
特徴3 一事に集中している
特徴4 1日にできる仕事量を把握している
特徴5 毎日、1日分の仕事を終わらせている
 

修理の技術はジョーの方が高いのですが、ミックの方がジョーの店より早く修理が終わります。ミックは仕事の整理ができているので、結果的にたくさんの車の仕事が可能になるのです。

チェック・リストのおかげでミックの店では修理モレもありません。顧客の評価も高く、整備の腕を超えた収入を得られることになります。

2人の仕事ぶりの決定的な違いを一言で言えば「場当たり的かどうか」ということに尽きます。

ジョーの仕事はすべてが場当たり的です。「1日に何台修理するか」「今日、どんな修理をするのか」「このクルマの修理はいつ完了するか」。すべては状況次第です。

ミックの場合も、お客さんからの依頼がいつ来るかわからない点は同じですが、依頼が来たら、すぐに仕事を整理します。それで場当たり的な要素をなくしているのです。

不測の事態があっても、即座に仕事のシステムに組み込んで対応するようにしているということになります。

自分と仕事の間に距離を取る

では、ミックは、いつ来るかわからない仕事をどうやって整理しているのでしょうか。

答えは、ミックは「自分自身と仕事との間に距離を置いている」です。別の言い方をすれば、次々に来る仕事を入れる「バッファー・ゾーン」を設け、そこで一度整理しているのです。

ジョーには、このバッファー・ゾーンがありません。だからジョーは、仕事が来たらその都度、反応するしかないのです。

ダメなシステムと評価されるシステムの違い
(出所:『仕事に追われない仕事術マニャーナの法則・完全版』)

バッファー・ゾーンを持っているミックは、新しい仕事との距離を置くだけではなく、そこで仕事を整理しています。

距離を置くだけなら仕事を「先送り」してため込むだけになります。実は、この「距離を置くこと」そして、そこで「仕事の整理をすること」が優れたシステムの基本になるのです。

EXERCISE → 新しい仕事にすぐ反応しない
 

夕方、今日1日を振り返り、発生した仕事にすぐ反応したことがなかったか、考えてみてください。

● パソコンにメール着信の表示が出たので、仕事をやめてメールを読んだ。
● プロジェクトの仕事に手をつけず「忙しいだけの仕事」ばかりした。
● クライアントから電話で要望があり、仕事を中断して依頼に応えた。
●上司から仕事を命じられ、その日の予定をすべて変更した。
●「面白いウェブサイトがある」と聞いて、仕事を中断してそのサイトを見た。
● 忘れていた仕事を思い出したので、予定を変更し、それに取りかかった。
 

このようにすぐに仕事に反応するような状況はいろいろあります。思いつくものをすべて書き出してみてください。

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