新型コロナでマンション価格下落が確実に…テレワーク普及でオフィス賃料も下落

 私はこの地域限定の特殊な不動産価格の上昇を「局地バブル」と呼んできた。そして、これから顕在化するコロナウイルスの蔓延を原因とした世界同時不況が、この局地バブルの崩壊を早めるだろう。

 そもそも、この局地バブルは実需に基づかない価格上層であったので、いつかは崩壊することが自明であった。当初は東京五輪の終了後、緩やかな下落カーブを描くと私は想定していたが、このコロナ騒動で事態が早まりそうに思える。すでに中古マンション市場では2018年頃から売買の停滞が見え始めていた。少なくとも、価格が上昇しているという気配は窺えなかった。

 2018年にはかぼちゃの馬車やスルガ銀行の問題発覚で、「収益モノ」と呼ばれている個人投資家向けのアパートや1棟マンションの価格が低下し始めた。2019年には、個人間の実需売買が中心の中古マンションの市場も、取引が鈍った。

 もっとも、このどちらのカテゴリーも市場動向を把握している正確な統計数値は存在しないので、価格低下や市場停滞は現場での肌感覚で掴むしかない。

需給による価格形成へと急速に是正

 今回、コロナウイルスの感染伝播で多くの企業は在宅勤務(テレワーク)を実施したと伝えられている。商品を移動させるような業務を除いて、通常のオフィスワークならネット環境とPCさえあれば可能なはずだ。多くの企業が、今回の騒動でそのことに気付いたはずだ。つまり、たいていの業務は社員が同じ空間に存在しなくてもこなせる。会議や打ち合わせはネット上でも行える。

 ここ数年の人手不足で、多くの企業は人材の採用しやすい好立地で見栄えの良いオフィスを求めた。渋谷エリアでは坪5万円の予算でもオフィス確保が難しい、などといわれたものだ。しかし、こういった流れも今回のコロナ騒動で見直される可能性が出てきた。

 2013年の異次元金融緩和以来、都心を中心とした一部エリアの不動産価格は、かなり不健全な需要によって本来の実力以上に上昇した、と私は見做している。それが、今回のコロナ騒動によって本来の需給による価格形成へと急速に是正される可能性が高まってきた。

 すなわち、局地エリアのマンションバブルは崩壊。一部エリアのオフォス賃料が下落。東京五輪が開催されてもされなくても、この動きは最早避けがたいのではなかろうか。

(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)