恐いテレワーク明け後“うつ”…1週間前からすべきこと&通常勤務戻り後のコツ

 メンタル不調者が復職の際に「スーツを着るだけで仕事の緊張感で疲れた」「化粧して外出できる自分をつくるのが大変」などとよく漏らします。出社緊張にも注意が必要です。テレビ会議でも顔しか出ないように、テレワークではあまり人から見られませんでした。

 テレワーク時でもたまには、化粧をしたり、出社着に着替えて仕事をすることを勧めます。窮屈な服は心に緊張感をもたらしますので、慣れておけば出社時の緊張が少し和らぎます。仕事着で最寄りの駅まで出勤時刻に出かけるなど、模擬出勤を1週間ほど続けてみるのはどうでしょうか。これらのことを生活リズム表(起床就寝時刻、日中の活動状況などの日ごとの記録表)につけ、生活を「見える化」し通常勤務の準備に活用しましょう。

通常勤務に戻ってからも無理は禁物

 通常勤務に戻ったからといって、がんばりすぎないことが大切です。テレワークで落ちた体力に負荷をかけることで心身ともに不安定になりやすいのです。特に中年以上の方は体力面で最初からフル稼働は困難なこともあり、また、テレワークではできなかった仕事が職場に溜まっている方も、これを一気に片付けようとしては心身ともについていけなくなります。テレワークレベルから通常勤務レベルに心身のエネルギーを上げるのは容易でないことを覚えておきたいものです。

(文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表)

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山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。