ニトリ、時価総額でイオンを逆転…アパレル本格進出へ、ユニクロとの“二強”時代幕開け

 緊急事態宣言で止まっていた人の動きが、解除を受けて徐々に戻りはじめた。それとともに、「リベンジ消費」への期待が高まった。リベンジ消費とは、コロナ・ショックにより外出を制限され、不要不急の買い物を我慢してきた人々の購買意欲の高まりを指す。「リベンジ消費」されやすい商品・サービスは、ファッション、化粧品・美容グッズ、レジャー、宿泊施設、スポーツ・ヘルスケア、家電、家具・インテリアなどだ。

 コロナ後の消費は二極化する。コストパフォーマンスの良いものを重視する傾向がいっそう強まる。コスパに優れ、機能性が高いニトリやユニクロの商品が選好されやすくなる。ニトリは「リベンジ消費」の本命といわれている。既存店の売上推移を見ても、「巣ごもり消費」から「リベンジ消費」への移行を、はっきりと読み取ることができる。

【ニトリの月次国内既存店売上高の推移】(前年同月比、単位%)

          20年3月   4月   5月   6月

既存店売上高      10.9   ▼4.0   0.6    47.4

客数          13.1   ▼1.0   6.7    43.8(▼はマイナス)

 既存店の売上は緊急事態宣言が発令された直後の4月に前年同月を4%下回ったが、外出自粛やテレワークの継続で、収納用品やキッチン・ダイニング家具の売れ行きが徐々に上向いてきた。5月は0.6%増。臨時休業した110店舗は国内店舗の5分の1にあたる。このため「(前年比)90%を割るんじゃないかと思っていた」(似鳥氏)が、開いていた店が前年実績を2~3割上回った。「巣ごもり消費」の効果がはっきり出た。

 5月25日、緊急事態宣言が解除された。6月(5月21日~6月20日)の既存店売上高は47.4%増、客数は43.8%増となった。「10万円の特別給付金が入ったり、外食をやめたり、洋服を買わなくなったりした予算を、家の中に回しているのではないか」(同)。いままで禁欲的にならざるを得なかった人々が「リベンジ消費」に動いたということだろう。

 似鳥会長は「新たな消費動向に対応する商品開発を急ぎ、来年以降、物流施設にも投資する」と語る。4月の会見ではコロナ禍の景気後退で「建築費が下がり、手当て済みの土地への投資や出店のチャンスが増える」としていた。

(文=編集部)